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111:お久しぶりです。先輩っ!

「先輩、ありがとうございます!」

「いやいや。中々面白かったよ。このRX-8。テクニカルなら俺のGC8に勝てるだろ。」

「そうなんですか?」

「ドライバー歴もお前の方が長いし、技量だったら俺をとうの昔に置いていっちまってるだろう。」

「そういうものなんですかね。」

「そういうもの。」

「プレアデスの後輩さん……だったわね。その車、そんなに速いの?」


 会話を断片的に聞いていた貴族ママがふらりと現れ、葉月にそれって本当!?とでも言いたげに聞いてくる。


「葉月です。そうですね……テクニカルなら速いですかね。」

「てくにかる?」

「前のモナコみたいなコーナーが多いようなコースのこと。」

「あぁ。ああいうコースね。」

「ターボ着ければパワー出るのに。って思うんだがな。」

「RX-8はNAだからいいんですよ。」

「・・・そういえばこの車、ずっと吹かしてたけど何やってたの?」

「ROM弄ってたの。」

「ろむ?」

「車の頭脳だな。分かりやすく言ってしまえば。」

「ルーシャルさん。俺もそろそろ帰ろうと思って……お前、帰ってたのか!」

「おや一平ちゃん。」

「へ?」


 葉月の思考回路は今の一言でほぼ停止した。

 仕方もない。17年前に崖に落ちた人なのだから。


「まったく。心配したんだぞ。」

「スマンスマン。」


 葉月は嬉しさのあまりあたふたとしはじめる。


「あれ?まさかそこに居るのって……?」

「ああ。葉月後輩。」

「久しぶりだな!どうだ?RX-8は。」

「すごく……調子がいいです……!」

「なんだ、泣きそうじゃないか。」


 葉月の目は涙ぐんで


「また3人で会えたのがうれしくて……!」

「そういうもんか。」

「ええ……!」

「そういや葉月後輩、テクニカルなら俺に勝てるって言ってたんだけどさぁ……。」

「それじゃあ俺にも勝てるってことか?」

「ざっと320は出るようにしたんだけどな?RX-8。それで俺に勝てるってことはさ。お前にも勝てるんじゃねえかぁ?」

「おっとそれは聞き捨てならんな。」

「え?」


 二人はニヤニヤと悪だくみをしている顔で葉月に一言告げた。


「モナコで誰が一番早いのか決着をつけようじゃないか。」


 プレアデスが一言声を上げるとそれに平志も便乗する。


「そいつはいい!リベンジしようじゃないか!」

「え?え?」


 何のことだかさっぱりな葉月からすればとんとん拍子で進む勝負にとてもではないがついていけなかった。

 ただ、ロクでもないことだけは理解できた。


「先輩……?なにを……?」

「(。´・ω・)ん?今からモナコ行ってレースする。」

「今から行ったとしても夜だぞ。」

「じゃあ一晩泊まって明日レースでいいか?」

「それでいいか。」

「話はずっと聞いてたわ。」


 腕を組んで仁王立ちしている貴族ママが声を上げた。


「私が掛け合って明日もう一度あそこでレースができるように掛け合っておくわ。」

「ホントか?」

「あの地域はレースの熱気が収まるまでに1週間はかかるのよ。その1週間の間なら意外とレースしやすいのよ。」

「そういうものなのか?」

「ええ。1対1で決着つけたいって連中が1週間以内にそのままタイマン張るくらいにはね。」

「それならピッタリじゃないか。」

「そうね。けど、やるからにはいろいろ揃えたいわね。」

「(。´・ω・)ん?」

「まずは国王様を呼んで、興味のある貴族を連れて……」

「大がかりすぎやしないか?ルーシャルさん。」

「国力の宣伝にはなるから絶好の機会なのよ。」

「国力の?」

「ええ。プレアデスは世間的にはザリア王国陣にいてあなたはラズヴィーチャ連邦陣にいるからリベンジマッチとしては十分なのよ。」

「なるほど。」

「あと、興味のある貴族はまだ残ってるわね。大体。」

「1週間のあれか?貴族ママ。」

「そうそう。あの熱狂を楽しむ貴族も居るのよ。」

「熱狂する人たちを見ているとこっちまで楽しくなるからな。」

「そうそう。仕事が多い貴族や日常が退屈な貴族はよく秋季レースの後の熱狂でリラックスしてるのよね。」

「そうだったのか……」

「それじゃあ、声掛けて来るわね!」

「おう、たのんだぞ!」


 そうして貴族ママの声掛けにより、モナコには再び国の要人が集まり始めるのだった。

 これにより、開催日が明後日にまで引き伸びたのはここだけのお話。

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