102:大接戦!フランスと日本とイタリア!
「みんな速いネ!けど。」
911は全くペースを落とすことなく、むしろペースを上げてランエボのもとへ食らいつく。
「撒けたと思わないことネ!」
「ほんとよ。あまり私たちを舐めてもらっては困るわ。」
気づけばU字コーナーことグランドホテル・ヘアピンではアルピーヌトップのインプレッサ達が縦1列につながっていたのだ。
「大接戦だな。」
「流石にここまで全員が粘るとは……」
「誰が勝つか、ますますわからなくなってきたわね……!」
彼らはゾクゾクとしたように血が騒いでいたのだった。
手に汗握るとはまさにこのことだろう。
「いっくよ~!」
「ここだっ!」
〘Go!〙
「曲げるぞ、ランエボッ!」
〘もちろん!〙
「角度キツめにネ!」
「突っ走るわよっ!」
アルピーヌがブレーキを掛け、リアを軽く振り、ドリフトの体制に入り、それに追従してインプレッサ、ランエボ、911、ジュリアが並んでドリフトの体制に入る。
「みんな……!」
「おぉ、おぉ!全員でドリフトかッ!」
「ラリーストの血が騒ぐな!」
「ミンナ考えることは同じなんだネ!」
「寄せていくわよ!」
「そうこなくっちゃ!いくよ、アルピーヌ!」
5台が並んでグランドホテル・ヘアピンをドリフトで流していく。
立ち上がりは全員ほぼ完璧。
加速勝負ではインプレッサとランエボが群を抜いてトップクラス。
しかしそれを抑えるアルピーヌに後ろからじわじわと追い上げる911とジュリア。
そんな構図が仕上がっていた。
「三つ巴ならぬ五つ巴だな。」
彼らはポルティエ・コーナーに既に差し掛かっていた。
「次はトンネル。」
「ここで抜きにかからせてもらう。伊達にプロを名乗ってるわけじゃないんだ。」
アマチュアとは訳が違うんだ。
地元レーサーだろうが気にしねえ。
勝たせてもらう。
「斬りこむz」
「割り込ませてもらうヨ!」
ランエボがポンティエ・コーナーを曲がろうとするインコースに911がするりと飛び込んできていたのだ。
「おいおい嘘だろう!?」
思わずアクセルを緩め、ランエボが外側に押し出され始める。
「しまった……!」
その隙を逃すことなく911が飛び込む。
最重量物が車の一番後ろにあるRR特有のリアトラクションでずいずいと内側に飛び込み、フロントの軽さによってぐいと旋回するのだ。
未亡人製造マシンとまで呼ばれている911。
そんな911は3代目まで未亡人製造マシンと呼ばれている。
そんな911の初代。
それを手足のように操るアルバの腕は尋常ではない。
彼のテクニックは神業の領域なのだ。
「ほら、追い抜いちゃったヨ。」
口調が特徴的な彼だが、その技量はプロに迫ると言っても問題はない。
現にランエボの前に出たのだから。
「あらら、抜かれちゃったのかよ一平ちゃん。」
プレアデスはルームミラーで後ろに張り付いている車が等ねぼから911に変わっていることに何やってるんだろうと軽く呆れながらトンネルを通過していく。
「さあて。次はヌーベル・シケインだ。ちょっとはラインやら走り方が変わってるか?」
「ちょっと次のカーブでは工夫してみようかな。例えば……!」
ヌーベル・シケインでA110は軽くブレーキを踏み込む。
長く、長く。
しかしフルブレーキングではなく、軽く、少しだけ減速させるだけだったのだ———




