101:大乱闘じゃあああああ!!
プレアデスがスキール音のする方向を思わず振り返って見る。
するとそこに居たのは……
「おいおい嘘だろ……?」
プレアデスはニヤリと笑みを浮かべ、ハンドルを握りなおす。
「おもしれえじゃねえか。受けてたとう。一平ちゃん!」
サン・デボーテをクリアした3台は殆ど車間距離を開けることなく登り勾配のコーナーに突入していく。
「おいおい嘘だろ……!?」
ほんの少し、開いた隙にランエボは鼻をねじ込み、インサイドを強引に奪い取る。
「隙あり、だ。」
「そんなのアリかよ……!?」
緩やかな登りS字を超えると次は左コーナーが現れる。
「どう出る……?」
インサイドはとっくに奪われている。
だが、ここで引くのもなんか違うよな!
「まさかお前、マッサネットで粘るつもりか!?」
〘正気か!?インプレッサ!〙
〘Not a chance I’m letting you overtake me!〙
二台は思い切りブレーキを掛け、そのブレーキディスクは真っ赤に赤熱する。
それは二台がいかにハードブレーキングをしているのかを示す証明でもあった。
先にブレーキを離し、ほんの少しリアを滑らせながら旋回するはインプレッサ。
インコースを走ろうとギリギリまでブレーキを掛けたランエボ。
二台ともオーバースピード気味だったのか、外側にじわじわと押し出されそうになる。
しかし。
〘舐めるなァ……!〙
〘You think I’d get thrown off the track that easily?!〙
インプレッサはリアフェンダーが軽く壁に擦り、弾かれたようにリアが強制的に立て直される。
ランエボがクルマの半分ほどが前に飛び出す。
「次ではインとアウトが逆転するッ!」
切り返しでスピードが乗っているインプレッサがじわじわと前に出始めるのだった。
「後ろでドンパチやってるね。後ろからの猛追がない分プレッシャーが減ってよかったよ。」
アルピーヌA110のドライバー、ロレンツォ・ベルナール(14)はほっと息をつく。
そう。プレアデスをあれだけ苦戦させた車のドライバー、日本で言う中学2年生なのだ。
子どもの吸収力というのはなんとも恐ろしいものだ。
現代の子供にとってのゲームがきっとロレンツォ少年にとっては車なのだろうか。
「さて。次のカクッとしてるカーブはちょっと気を付けないとね。」
ミラボー・コーナーが近づいてくる際、子どもの性だろうか、新技を試そうとはじめる。
「あの滑りながら曲がる技、僕もやってみようかな。多分こんな感じかな?」
ブレーキを掛け、フロントに荷重を集めると、ハンドルを切り、RRの駆動方式のA110は振り子のようにリアが飛び出し、慌ててカウンターを当て、天才的な感覚でアクセルを調整し、ミラボー・コーナーをクリアしていった。
「ふう。危なかったあ。」
汗を拭き、ふとルームミラーを見ると、そこには……
「決着がついたみたいだね。」
インプレッサがミラボー・コーナーからスライドしながら飛び出してきており、その直後にランエボもインプレッサの後ろだが、ピタリと張り付いていたのだった。
「つぎはU字カーブだよ。ついて来れるかな?」
一個前はついてくるだけでヒーヒー言ってたけど、多分変わってるよね!




