96:GC8さん!?
えー。私、プレアデスは予選を終え、本日5台参加中の……
4位でした。
「めちゃ速いやんけ!」
「俺なんて5位だぞ5位。」
「ほら言っただろうが。慢心するなって。」
「油断したからですー。」
「どっちも大して変わんねえよ。」
俺も全力ではないにしろある程度攻めたんだがな。
足回りのセッティングがまだキマってなかったし。
ただ、これでようやく揃えられそうだ。
レース本番では全力を出させてもらおう。
「にしても。異世界人、やっぱり速いわ。」
「俺もまさかここまでとは思ってなかったよ。」
「慢心してたもんな。」
「うるせえ。」
戦闘力の走りをちらっと見た。
やっぱ予想通り俺たちの常識破りの変則的な走らせ方だった。
旋回も俺達とは全く違う。
スムーズに、流れるように走っていく。
俺達みたいなWRC方式では走っていない。
そしてほぼハンドルを曲げていない。
「タイヤが限界を迎えるギリギリを狙って少しだけ滑らせてほんの少しのカウンターだけで曲がってるのか?」
「んなバカな……」
だとしたらホント、どこのドリキンだよ。
あの人くらいしかできねえよそんな神業。
「こんな狭いコースでそれをするとはな。」
一回のミスですぐ壁に突っ込むのに。
「それは俺も変わらないか。」
ははっと俺は苦笑する。
案外根本は同じなのかもしれないな。
アプローチが違うだけで。
俺たちの誰よりも速く走りたい。っていう思いに変わりはない……のかな。
走り屋もレーサーもそこは変わらない。
走る舞台が違うだけで。
それなら世界が変わったくらいでそれが変わる筈はない。
速さを競うからこそのレースだ。
ここに参加してるのならその頂点を取りに来たんだろう?
「旧車だからと手加減はしないし、文明レベルが俺達より低いからと侮りはしない。」
無知だからこそなんでも挑戦する。
無知ほど恐ろしいものはない。
その末にとんでもない技や技術を見つけるんだ。
「そう言えば結局順位はどうなってんだ?」
「ああ。こうらしい。」
一平ちゃんはその紙を俺に渡してくる。
「(。´・ω・)ん?なんだこらあ。」
1位:A110
2位:911
3位:ジュリア
4位:インプレッサ
5位:ランサーエボリューションⅥ
「A110!?」
俺は目を疑った。
A110って、あの名車A110か⁉
「どこだっけ。」
「フランス。」
「へ?」
「フランス。」
「フランスのスポーツカー……!?」
「あんまり聞かないかもしれないが、60年代から70年代にかけて作られた当時のWRCに出てたマシンだよ。」
「俺たちのマシンの先祖なのか⁉」
「国と会社が違うけどな。」
「どうりで速いわけだ……」
放置してたらランチア・ストラトスできてそうで怖い。
「そういや本試合はいつなんだ?」
「3日後だそうだ。」
「なるほど。完璧に理解した。」
3日後か。それなら脳内シミュレーションができそうだ。
意味あるのかって?
戦術を組めるだけでもデカい。
気を付けるポイントを押さえられるのもデカい。
そうして宿にて……
「モナコは3セクターに分かれていて、全19のコーナーがある。」
俺はベットの上に座り込み、イメトレを始める。
「気を付けた方がいいコーナーには代替名前がついてたはずだ。」
「サン・デボーテ、マスネ、カジノ、ミラボー……」
俺は淡々とそのコーナーを想像し、どうクリアしていくのか考えるのだった。




