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第四話

 ある日の午前、鬼塚探偵事務所。


 外は小雨が降り続き、灰色の空が街を覆っていた。鬼塚探偵事務所の窓には雨粒が伝い、事務所内に柔らかな静けさをもたらしている。蓮司はデスクに座り、煙草の煙をゆっくりとくゆらせながら、過去の依頼記録を見返していた。


 里沙はパソコンに向かい、次の広告案をチェックしている。時折、タイプ音が静かな部屋に響く。


「雨の日って、妙に落ち着きますよね」里沙がふと呟いた。


「仕事がないと、な」蓮司は苦笑いしながら煙を吐いた。「でも、こんな静かな時間も悪くない」


 その時、事務所のドアがノックされた。二人は顔を上げ、視線を交わす。


「誰か来ましたね」里沙が椅子から立ち上がり、玄関に向かう。ドアを開けると、そこには小柄な中年女性が立っていた。若かりし頃の美貌を思わせる面影がある女性だ。手に濡れた傘を握っている。


「すみません、突然お邪魔して……鬼塚探偵事務所はこちらで間違いないでしょうか?」女性は控えめな声で尋ねた。


「はい、そうです。どうぞお入りください」里沙が女性を中に案内する。


 女性はおそるおそる事務所に入ると、蓮司に目を向けた。彼女の顔には不安の色が浮かんでいる。


「いらっしゃいませ」蓮司が立ち上がり、女性に静かに声をかけた。「鬼塚探偵事務所の所長、鬼塚蓮司です。どうぞおかけください」


 女性は深く頭を下げ、「ありがとうございます」とだけ言い、里沙に案内されたソファに腰を下ろした。


「お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」蓮司が向かいの椅子に腰掛けながら尋ねた。


「……山崎恵子と申します」女性は少し震えた声で答えた。


「山崎さん、何かお困りごとがあってお越しになられたんですよね?」里沙が横に座り、優しく声をかける。


 恵子は小さく頷き、ハンカチで目元を押さえた。そして、静かに話し始めた。


「ええ。こちらの事務所は、普通でない出来事を解決してくれると……そんな話をネットで知って。ええ、でも、友人たちは信用できないというのですが、私としては他の探偵事務所では解決できない事件なんです」


 恵子の言葉に蓮司は頷く。それはよくある話だ。鬼塚探偵事務所は小さな事務所だし、波では実績があるわけではない。おまけに事務所のホームページでも「超常現象にも対応します」などと謳っているくらいだ。蓮司は頷いた。


「どうぞ山﨑さん。お話を伺います。話を続けて」


「はい……実は……主人が亡くなった家を最近片付けていたんです。もう十年以上前に亡くなったのですが、当時のまま放置していて……。それで、片付けていた最中に、主人の部屋から奇妙な箱を見つけたんです」


 蓮司と里沙は一瞬目を合わせた。過去の出来事が脳裏をよぎる。


「その箱を開けたら……家の中で妙なことが起こるようになったんです」恵子の声は震えていた。「夜中に誰もいないはずの廊下から足音が聞こえたり、気配を感じたり……。主人の写真が何度直しても倒れていることもありました。最初は気のせいかと思いましたが、これ以上は我慢できなくて……」


「なるほど」蓮司は静かに頷きながら言った。「その箱について、もう少し詳しく教えていただけますか? 例えば、どんな見た目だったかとか、中に何が入っていたかとか」


 恵子は記憶を辿るように眉間に皺を寄せた。「古びた木製の箱で、かなり頑丈そうな作りでした。鍵は付いていなかったので簡単に開けられたんですけど……中には紙切れが一枚と、奇妙な小さな人形が入っていました」


「人形……ですか?」里沙が驚いた声を上げる。


「はい。布で作られた小さな人形です。でも、見た瞬間に……なんだかすごく気味が悪いと感じました。それでも捨てるのも怖くて、そのまま置いていたんですが……」


「なるほど、その人形がきっかけで何かが起き始めた可能性が高いですね」蓮司は腕を組み、考え込むように言った。「その人形は、今どこにありますか?」


「今も主人の部屋にあります」恵子は小さく答える。


「分かりました」蓮司は頷き、立ち上がった。「まずは、その家に行って実際に調査をさせていただきます。それが霊的な問題なのかどうかを確かめる必要があります」


「ありがとうございます……本当に助かります」恵子は深く頭を下げた。


「里沙、準備をしてくれ」蓮司は短く指示を出し、里沙もすぐに頷いて道具の準備を始めた。


 こうして、鬼塚探偵事務所にまた新たな依頼が持ち込まれた。二人は次の霊的な謎を解くため、山崎恵子の家へ向かう準備を進めていた。



 その日の午後、現場。


 小雨が降り続く中、蓮司と里沙は恵子の案内で彼女の自宅へと向かった。古びた木造の家は、かつての家族の歴史を刻んできたような趣があったが、どこか寂しげで、不穏な空気が漂っていた。


「ここが問題の家です」恵子は玄関で立ち止まり、二人を振り返る。「主人が亡くなってから、この家にはほとんど来ていなかったんです。でも最近、相続の関係で片付けなければならなくなって……」


 蓮司は頷き、家を一瞥した。「分かりました。まずは中を見せていただきましょう」


 恵子が鍵を開けて玄関を開けると、古い家特有の埃っぽい匂いが二人の鼻を刺激した。蓮司は一歩踏み入れるなり、霊的な気配を感じ取った。


「……ここ、何かがいるな」蓮司は小声で呟く。


「感じますか?」里沙も警戒を強めながら後に続く。


 恵子が玄関の先を進み、主人の部屋へと二人を案内した。その部屋は家の奥にあり、薄暗い照明のせいか、どこか冷たい雰囲気が漂っていた。


「これが、問題の箱です」恵子は部屋の中央にあるテーブルを指差した。


 テーブルの上には古びた木製の箱が置かれていた。それは確かに年代物で、表面に傷や汚れが目立つ。しかし、箱の周囲には微かな霊的な気配が漂っており、蓮司はその気配に目を細めた。


「これはただの箱じゃない」蓮司は箱に近づき、そっと手をかざした。「中に何かが封じられていた可能性がある」


「封じられていた……?」恵子が不安そうに尋ねる。


「ええ。誰かが意図的に封印したんだろう」蓮司は箱を慎重に観察しながら言った。「この箱を開けたことで、封印が解けた。だから家の中で奇妙な現象が起きているんだ」


「中に入っていたのは、この人形です」恵子が恐る恐る箱を開け、中から布で作られた小さな人形を取り出した。


 その人形は、手足が歪んでおり、目は黒い糸で縫われていた。見るからに異様な雰囲気を放っており、里沙は一目見るなり顔をしかめた。


「これは……ただの人形じゃないですね」里沙は慎重に言った。「呪術や儀式に使われた可能性が高いです」


 蓮司は人形を手に取り、じっと見つめた。その瞬間、彼の手に冷たい感触が伝わり、霊的な力が動き出す気配を感じた。


「やっぱりな」蓮司は静かに言い、人形をテーブルの上に置いた。「この人形が霊的な現象を引き起こしている中心だ。この家を浄化し、この人形を再び封印しない限り、現象は続くだろう」


「浄化を始めましょう」里沙は道具を取り出し、準備を始めた。


 蓮司も呪符や塩、経文を取り出し、部屋全体を浄化するための配置を整えていく。恵子は部屋の片隅で怯えた様子で二人を見守っていた。


「準備は整った」蓮司は呪符を手に取り、部屋の四隅に貼り付け始めた。「この部屋を霊的に閉じ込める。里沙、塩を撒いてくれ」


 里沙は頷き、塩を部屋の床に撒きながら、結界を形成していった。部屋の空気が次第に重くなり、冷たい風が吹き始めた。


「気をつけろ」蓮司は低く呟いた。「何かが動き出している」


 その言葉の直後、部屋の中央に置かれた人形が突然動き出した。まるで見えない力に操られるように、人形はゆっくりと立ち上がり、不気味な音を立てながらテーブルから降りた。


「蓮司さん……!」里沙が声を上げる。


「分かってる!」蓮司はすぐに経文を唱え始め、霊的な力を集中させた。「こいつを封じ込めるぞ!」


 人形はその場で歪んだ笑い声を上げながら、二人に向かって迫ってきた。その動きは不自然で、何か強力な力が宿っていることが感じられた。


 蓮司は呪符を人形に向かって投げつけた。その瞬間、人形は激しく震え、霊的な力が弾けるような音が響いた。しかし、それでも人形は止まらず、なおも動き続ける。


「封じ込めにはもっと力が必要だ……!」蓮司は叫び、全身の霊的な力を解放していった。



 人形は床に倒れたかと思うと、そこから黒い霧が渦を巻くように立ち上がった。部屋の温度が急激に下がり、霊的な力が空間全体を支配し始める。恵子は隅で震えながら蓮司と里沙を見つめていた。


「来るぞ……!」蓮司が低く呟き、霊的な力をさらに集中させる。


 霧はやがて一つの形を成し、不気味な人型を形作った。細長い手足、異常に大きな頭部、そして真っ黒な瞳が虚空を見つめている。その存在感だけで、部屋にいる全員の呼吸を重くさせた。


「我が眠りを妨げるのは誰だ……?」霊体が低く響く声で言った。その声は重低音が重なり合うようで、耳に直接語りかけてくるようだった。


「お前がこの家で霊的な現象を引き起こしているのか?」蓮司が毅然とした声で問いかける。


 霊体はゆっくりと蓮司の方を向き、薄気味悪い笑みを浮かべた。「その通りだ。だが、私は単なる彷徨う霊ではない。この家の主が私を呼び起こしたのだ……自らの欲望のために」


「どういうことだ?」里沙が震えながらも尋ねた。


 霊体は歪んだ声で笑いながら答えた。「この人形は、かつてこの家の主が呪術に手を染めた結果だ。彼は私を利用して他人を陥れ、自らの利益を得ようとした。しかし、最終的に私を封印したのも彼自身だ。彼は私の力を恐れたのだろう……」


 恵子はその言葉に顔を青ざめさせ、口元を押さえた。「そんな……主人がそんなことを……?」


 霊体は恵子の方に顔を向け、不気味に笑った。「知らなかったのか? あの男は私を利用するために呪術の書を手に入れ、人形を作り出した。そして、私の力を借りて幾人もの人間を陥れてきたのだよ」


「そんな……」恵子は信じられない様子で首を振った。


「だが、やがて彼は私の力を恐れるようになった。自らの身に危険が及ぶと感じたのだろうな。そして私を封印した。だが、その封印も脆いものだった。彼が死んだ後、私の力が再び解放されるのを待っていたのだ」


 蓮司は霊体を睨みつけながら言った。「つまり、封印が解かれたことで、お前の力が再び暴走を始めたというわけか」


 霊体は静かに頷き、「その通りだ」と言った。「だが、私は封印されたまま朽ち果てる存在ではない。この家を支配し、再び自由を得るのだ!」


「そんなことはさせない」蓮司は強い口調で言い、呪符を手に取った。「お前の正体が何であれ、ここで完全に封じてやる」


 霊体は不気味な笑い声を上げながら、「やれるものならやってみろ」と言い放った。


「里沙、準備はいいか?」蓮司は短く里沙に確認した。


 里沙は緊張した表情を浮かべながらも、しっかりと頷いた。「はい。やりましょう!」


 こうして蓮司と里沙は、邪悪な霊体との最終決戦に臨む準備を整えた。部屋全体に霊的な力が渦巻く中、二人はその霊を完全に封じ込めるための戦いを始めようとしていた。



 部屋全体に霊的な力が渦巻く中、蓮司と里沙は最後の戦いに挑む準備を整える。


 蓮司は呪符を両手に持ち、霊体の動きを見逃さないよう目を凝らしていた。一方、里沙は経文が書かれた巻物を広げ、霊的な結界を完成させるための準備を進めていた。


「蓮司さん、結界の準備はあと少しです!」里沙が声を上げた。


「その間、こいつの動きを止める!」蓮司は短く答え、呪符を霊体に向けて投げつけた。


 呪符は空中で光を放ち、霊体に直撃した。霊体は一瞬怯んだように見えたが、すぐにその姿を揺らし、笑い声を上げながら反撃を開始した。


「その程度の力で、私を止められると思うな!」霊体は叫びながら、長い腕を蓮司に向かって振り下ろした。


 蓮司は即座に後ろへ飛び退き、回避しながら次の呪符を構えた。「俺たちはお前をここで終わらせる。それが俺たちの仕事だ!」


 霊体の動きは速く、空中を自由に浮遊しながら攻撃を仕掛けてくる。そのたびに蓮司は冷静にかわしながら、霊的な力を込めた呪符を投げ続けた。部屋の中には呪符の光と霊体の黒い気配が入り混じり、激しい戦いが繰り広げられていた。


「里沙、急げ!」蓮司が叫ぶ。


「もう少しです!」里沙は巻物を握りしめ、経文を強く唱え始めた。その声が部屋全体に響き渡り、徐々に霊的なエネルギーが霊体を包囲し始める。


 霊体はその変化に気づき、里沙に向かって動き出した。「経文を止めろ!」霊体は低く唸りながら、長い腕を里沙に向けて振り下ろした。


「させるか!」蓮司はその瞬間、全身の霊的な力を集中させ、霊体の動きを阻止するように光の波動を放った。その力が霊体を直撃し、霊体はその場で一瞬動きを止めた。


「今だ、里沙!」蓮司が叫ぶ。


「了解!」里沙は巻物を床に広げ、四隅に塩を撒きながら最後の経文を唱えた。「封じよ、悪しき魂よ。この場に縛られ、永遠の眠りにつけ!」


 その瞬間、巻物が強烈な光を放ち、霊体を包囲する結界が完成した。霊体はその力に押さえつけられ、動きを封じられる。


「何をする! まだ終わっていない!」霊体は叫び声を上げながら抵抗しようとしたが、結界が強化されるたびにその力が削られていく。


「これで終わりだ……!」蓮司は呪符を再び手に取り、結界の中心に向けて力を込めた。「お前を完全に封じる!」


 呪符が光を放ちながら結界の中心に落ちると、その光はさらに強くなり、霊体の姿を完全に包み込んだ。霊体の叫び声が響き渡る中、その姿は徐々に消えていき、やがて静寂が訪れた。


 部屋に再び静けさが戻り、結界の光も次第に薄れていく。


 蓮司は息を整えながら立ち上がり、里沙の方を振り返った。「よくやったな、里沙」


 里沙は巻物を閉じ、疲れた様子で微笑んだ。「蓮司さんこそ……危ない場面ばかりでヒヤヒヤしましたよ」


「それが俺たちの仕事だからな」蓮司は短く答え、封印された箱を見つめた。「これで霊的な力は完全に封じられた。この箱は、もう二度と開けさせない」


 部屋の隅で震えていた恵子が、恐る恐る二人に近づいてきた。「本当に……これで大丈夫なんですか?」


 蓮司は頷き、「ええ、もう何も起きないはずです。この箱は私たちの事務所で厳重に保管します。安心してください」と答えた。


 恵子は涙を浮かべながら、「本当にありがとうございました……」と深く頭を下げた。



 数日後、鬼塚探偵事務所。


 穏やかな陽光が窓から差し込み、鬼塚探偵事務所は再び静かな日常に戻っていた。蓮司はデスクに座り、封印された箱をじっと見つめていた。その箱は、依頼人の家から持ち帰ったまま、事務所の隅に厳重に保管されている。


 里沙はパソコンに向かい、新しい依頼が入るのを待ちながら資料を整理していた。ふと手を止めて、蓮司に話しかける。


「井上さん……じゃなくて、今回は山崎さんですね。あの後、特に何も起きてないって連絡が来ましたよ。平穏な日々に戻れたって」


 蓮司は煙草を咥えながら小さく頷いた。「そうか。彼女には、もう二度とあの箱を開けないようにと言っておいたからな。平和が戻ったのなら、それでいい」


「でも、あの霊……」里沙は目を伏せ、封印された箱に目をやった。「何というか、ただの邪霊じゃなかったですよね。自分の正体や過去まで語ってくるなんて……」


 蓮司は少し間を置いて答えた。「ああ。あいつはただの霊体じゃない。人間の欲望に引き寄せられ、呪術によって形を与えられた存在だ。それだけに、簡単には消えない強さを持っていた」


 里沙は頷きながら、「山崎さんのご主人が何を考えてあの呪術を使ったのか……結局、真相は分からないままですね」と呟いた。


「真相なんて、本人しか分からないものだ」蓮司は煙を吐き出しながら静かに言った。「俺たちの仕事は過去を裁くことじゃない。ただ、今起きている問題を解決する。それだけだ」


 里沙は少し微笑んで、「確かにそうですね」と答えた。


 その時、事務所のドアがノックされた。里沙が椅子から立ち上がり、ドアを開けると、そこには山崎恵子が立っていた。


「山崎さん、いらっしゃいませ」里沙は驚きながらも笑顔で迎え入れた。


 恵子は丁寧に頭を下げ、手に持った包みを蓮司と里沙に差し出した。「突然お邪魔してすみません。あの……どうしてもお礼を伝えたくて。それと、ほんの気持ちですが……これを受け取っていただけませんか?」


 包みを受け取った里沙は、中をそっと開けた。中には綺麗に詰められた和菓子と、手書きの手紙が入っていた。手紙には、感謝の言葉が丁寧な文字で綴られている。


「ありがとうございます」里沙は微笑みながら言った。「でも、本当にお気遣いなく。山崎さんが平穏な日々を取り戻せたなら、それが私たちにとって一番です」


「それでも……どうしても感謝を伝えたかったんです」恵子は涙ぐみながら答えた。「主人がしてきたことを知るのはつらかったけれど、あの家を整理する決心がつきました。お二人のおかげです」


 蓮司は立ち上がり、恵子に向かって静かに言った。「これからは、あなた自身の生活を大切にしてください。過去に縛られる必要はない」


 恵子は深く頭を下げ、「本当にありがとうございました」と言って事務所を後にした。


 その後、事務所内。


 恵子が帰った後、蓮司と里沙は和菓子を手に取り、それぞれコーヒーを片手に一息ついていた。


「なんだか、今回はすごく感謝されましたね」里沙は和菓子を一口食べながら微笑んだ。「ちょっとだけ、いい仕事した気がします」


「それはいつものことだ」蓮司は無表情を装いながらも、どこか満足げにコーヒーを飲んだ。


 静かな事務所に、時計の音だけが響く。その穏やかな空間の中で、二人は新たな依頼が来るその時を待ちながら、束の間の平和を楽しんでいた。


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