表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/44

第十八話

 静まり返った街に、

 誰もが「本当は信じていない」と言いながらも、

 決して一人では歩きたくない噂がある。


 春の夜、灯りの途切れた裏路地で、

 誰もいないはずの場所に、誰かが立っている。


 あの坂道で、振り返ってはいけない。



 白銀塚市の北端に位置する住宅街の外れ。

 地元では「影踏み坂」と呼ばれる、

 古びた石畳の坂道がある。


 そこには、夜ごと誰かが立っているという。


 背を向けて歩いていると、

 背後にもうひとつ、足音が重なる。


 だが――振り返ってはいけない。


 振り返った者は、

 自分の影に引きずり込まれるという。


 そんなありふれた都市伝説に、

 ふとしたきっかけで命を落とす人間が出始めたのは、

 ごく最近のことだった。



 鬼塚探偵事務所──夜

 午後九時過ぎ。

 鬼塚探偵事務所には珍しく、夜の来客があった。


 扉を叩く音。

 遠慮がちで、だが切迫した気配を帯びている。


「どうぞ」


 蓮司の声に応じて入ってきたのは、

 二十代前半の女性だった。


 名は――槙野まきの 千紗ちさ


 黒髪を一つにまとめた、控えめな印象の女性。

 だが、その瞳の奥には、何か深い怯えがあった。


「お願いです。助けてください……」


 彼女の声は震えていた。

 そして語り始めたのは、

 自分が数日前――影踏み坂で振り返ってしまったという告白だった。


 語られる都市伝説の現実

「その日、夜遅くに帰っている途中で、……誰もいないはずなのに、足音が聞こえたんです。振り返っちゃいけないって、分かってた。でも、どうしても、怖くて……振り返ったら……。――自分の影が、立ち上がってたんです」


 蓮司と里沙は、静かに目を見交わす。


 それはただの妄想ではなかった。


 千紗の周囲に、かすかな霊的残響が漂っている。

 影の匂いが、現実のものとして染みついていた。


「それから……毎晩、夢に出てくるんです。誰かが、私の後ろに立ってるんです。鏡を見ると、影が動くんです……。私……、もう、怖くて、眠れなくて……」


 彼女の肩は震えていた。


 蓮司は立ち上がり、静かに言った。


「分かった。依頼、引き受ける。その影がただの都市伝説じゃないのなら――俺たちが、現実として、決着をつけよう」



 夜の事務所。

 暖かなランプの光が机を照らすなか、

 千紗は、掌をぎゅっと握ったまま、静かに語り出した。


「影踏み坂のことを、知ったのは……昔の友達の、葬儀がきっかけだったんです」


 蓮司と里沙が目を向ける。

 千紗の声には、怯えと、なにより罪悪感が滲んでいた。


「高校のとき……影踏み坂の噂を流したの、実は私たちなんです。――わたしと、笹原かれんという子が」


 名前を口にするたびに、彼女の口元がわずかに震える。


「深夜、あの坂を通ると影がついてくる。振り返ると自分に殺される。……そんな、子どもの噂話。でも、それからしばらくして、かれんが……夜、坂の下で倒れてたって」


 声が途切れる。


 里沙が、柔らかく言った。


「亡くなったの?」


 千紗は、かすかに頷いた。


「事故死ってことになった。でも――あの坂で、倒れてたんです。一人で、夜中に、何をしていたのかも分からないまま……そのまま、誰にも何も言わずに……。怖くて、私は誰にも言えませんでした。かれんとあの噂話をしていたことも、約束してたことも、全部。だから……。だから、きっと、影は――私に、怒ってるんだと思うんです」


 千紗は続けた。


「最近、少しずつ、かれんの顔が思い出せなくなってきてて……あんなに一緒にいたのに、声も、笑い方も、ぼんやりとしか思い出せないんです。家族の人に会いに行こうとしたら、『うちにそんな名前の娘はいません』って――」


 蓮司の目が鋭く光った。


「それは、影が、かれんの痕跡を食ってる。記憶も、人の繋がりも、忘れられたくない魂を封じるために、周囲の記憶を侵食してるんだ。このまま放っておけば――あなた自身も、かれんを知っていた記憶ごと、世界から消えていくぞ」


 千紗の瞳が揺れた。


「……かれんを、忘れたくない。あの時、私が一人で噂なんてしなければ――一人で夜の坂になんて、行かせなければ……今さら、何をしても償えないかもしれないけど……でも、……でもせめて、かれんの影がそこにいるのなら――もう一度、会って、謝りたいんです」


 蓮司は立ち上がり、窓の外を見た。


 外は春の夜。

 だが、その静けさの奥に、

 影の気配が、じっと息をひそめている。


「いいだろう。だったら――俺たちで、その影と向き合う場所まで、案内してくれ。かれんの記憶を食らう存在がいるのなら、そいつは俺たちが祓う。ただし――」


振り返った蓮司の目は、真剣そのものだった。


「あなた自身が、逃げずに会う覚悟があるなら、だ」


 千紗は、唇を噛み、震える声で言った。


「はい……。行きます。かれんのところへ。最後まで、ちゃんと……向き合います」



 闇にひそむ影の正体と、

 そこに込められた想いをたどるために。

 蓮司、里沙、そして依頼人の千紗は、あの坂道へと向かう。


 白銀塚市、北端。


 住宅街の外れにある小道を抜けると、

 それはまるで時間から置き去りにされたように、ぽつりと現れる。


 影踏み坂。


 昼間はただの傾斜道にしか見えないこの坂は、

 夜になると、明らかに空気が変わる。


 蓮司、里沙、千紗の三人が坂に足を踏み入れたのは、午後十一時過ぎ。


 あたりの街灯は切れており、

 ただ月明かりが、わずかに石畳を照らしていた。


「……ここです」

 千紗が足を止める。

「かれんが、最後に来た場所。わたしも……あの日、ここで影を見たんです」


 里沙が、懐から塩を少量撒くと、

 空気がざわりと揺れた。


「反応がある。……いますね。影が、すぐそこに」


 蓮司は目を細め、ゆっくりと呼吸を整えた。


 その瞬間――


 カッ……カッ……カッ……


 後方から、誰かが石を踏む音が聞こえた。


 誰も振り向いていない。

 けれど確かに、そこにもうひとつの足音がある。


「影だ」

 蓮司が低くつぶやく。

「絶対に、今は振り返るな。この場所では、見てはいけないものがいる」


 千紗は震える肩を抱きながら、目を閉じた。


 足音が近づく。

 だが、それは一歩ごとに重く、

 まるで聞く者の心臓を圧迫するような響きだった。


 幽視──蓮司の霊的視界。

 蓮司はゆっくりと右手を上げ、

 己の霊力を集中させた。


 オーラが立ち昇る。

 視界が淡く歪み、肉眼では見えない存在が、輪郭を帯び始める。


「見えた……」


 蓮司の眼に映ったのは、

 黒いセーラー服姿の少女――

 いや、かつて少女だった何か。


 影のように半透明で、

 だが、髪の先、袖の揺れまで異様にはっきりと存在感があった。


 その顔は――


 笑っているのに、涙を流していた。


「わたしを、忘れたの?」


「千紗……どうして……振り返ったの?」


「くるぞ」

 蓮司が声を低く張る。

「この影、問いかけてくる……! 自分の存在を思い出させようと、記憶の奥に爪を立ててくるぞ!」


 影が千紗の背後に接近し、

 まるで影が伸びて、千紗の足元に重なっていくように、

 飲み込もうとしてくる。


「千紗! 頭の中に直接語りかけてくるぞ。答えるな! 記憶を吸われる!」

 蓮司が叫ぶ。


 だが、千紗は静かに口を開いた。


「……かれん。わたしは……あなたを……」



 千紗が言葉を口にした瞬間、

 空気がねじれた。


 蓮司の眼に映る霊的な光景が、一瞬で反転する。

 春の夜の坂道が、

 まるで水の中に沈んだように揺らぎ始めた。


「――蓮司さん、空間が歪んでいく!」

 里沙の声も、まるで遠くの水底から響くように聞こえる。


 次の瞬間――

 蓮司と里沙、そして千紗の三人の意識は、

 記憶の奥底へと引きずり込まれた。



 そこは、

 陽の傾き始めた、放課後の教室だった。


 窓の外では桜が咲き、

 女子高生たちの声が飛び交っている。


 千紗は制服姿で、

 教室の後ろの窓際に、静かに座っている。


 そして、隣にいたのは――

 笑っていた。

 黒髪を肩まで垂らした、透明な笑顔の少女。


 笹原かれん。


「ねぇ、千紗。あの噂、知ってる?」


「影踏み坂のやつ? うん、誰かが言ってた」


「でもさ――誰かが、本当に影に引きずられてったら、どうする?」


「……そんなの、あるわけないってば」


「だよね。でもさ……」


 かれんは、かすかに笑う。


「忘れられるのが、一番怖いって思わない? 私は、いつか、みんなに忘れられる気がして、……それが、怖いんだよ」


 千紗は、その言葉に返せなかった。


 ずっと前から、かれんは居場所を探していた。

 教室では少し浮いていて、

 声が小さくて、冗談も苦手で、

 けれど、千紗にだけは、心を開いていた。


 あの日、かれんが一人で坂へ向かった理由――

 それは、あの噂を

 ほんとうかどうか確かめたいと言い出したからだった。


 千紗は、

「行かない方がいいよ」

 と、笑ってごまかした。


 けれど――

 止めなかった。


 記憶の中の影

 そして、教室の中で、

 時間が止まったように、静寂が訪れる。


 窓の外。

 影が、地面を這うように、

 教室の中に入り込んでくる。


 黒い、少女の形をした影。


「千紗……」


「わたしを、忘れてくれるの?」


 影が教卓の上に立つ。


 それは、笑っていた。

 目から、黒い涙のような霧を流しながら。


「あなたにとって、わたしは、ただの怖い話だった? 噂になって、終わったの?」


 千紗は、制服姿のまま、机にしがみつくように立ち上がる。


「……ちがう。ちがう……わたし、忘れてない……忘れたくなかった……! わたしが……私が、逃げてただけだよ、かれん……!」


 記憶の中の教室が揺れる。

 影のかれんが、少しずつ、色を取り戻す。


 だが――まだ、救いには至らない。


 蓮司が前に出る。

 その霊力が、記憶の空間にも光のように滲む。


「影よ。問いかけは終わりにしろ。この記憶は囚われではなく、和解のためにある。――次に問うのは、俺たちだ。お前が、忘れられたくなかったなら、その痛みごと、俺たちが引き受けよう」


 次の瞬間、記憶の教室が砕け、

 三人の意識は現実へと引き戻された。


 だが、その中心にはまだ――

 影のかれんが立っていた。


 今度は、確かな敵意をもって。



 蓮司、里沙、そして千紗。

 三人が立つのは、春の夜、記憶と現実が交差する坂道。

 今、影のかれんが完全な姿を現し、

「忘却」の呪いを刃のように振り下ろす。


 これは、都市伝説の皮をかぶった

 ――魂の悲鳴との戦いだ。


 ザアァ……ッ


 夜風が、坂道を逆巻く。

 影は少女の姿を保ったまま、だがその輪郭は、

 黒い霧と怨念のオーラをまとう異形の存在へと変貌していた。


 瞳は虚ろに、口元だけが笑みを浮かべている。


「忘れた者は、裁かれる。見なかった者は、消える。千紗、あなたも、連れていく」


 その声は、千紗の心を直接えぐるように響いた。


 霊力、解放──蓮司と里沙の構え

「来るぞ」

 蓮司が低く言い、両手を前に構える。


 霊力のオーラが、蓮司の背後から立ち上がる。

 それは漆黒に淡い蒼光が混じる、重く鋭い気配だった。


「千紗、下がっていろ……だが、お前の覚悟だけは忘れるな。かれんの魂に、向き合うんだ」


「はい……!」

 千紗は震えながらも頷き、祈るように両手を組む。


 一方、里沙も印を切りながら前に出る。

 指先には光の符――緋色に輝く呪符が浮かぶ。


「影と対話は終わった。次は――霊術師としての、対処です」



 影のかれんが、空間ごと滑るように突進してくる。


「わたしを、忘れたくせにッ――!!!」


 霧の刃のような手が、

 蓮司へと叩きつけられる。


「来いよ……相手になってやる」


 蓮司は地面を蹴り、カウンターの霊撃を繰り出す。

 腕から放たれる霊波動のオーラが、

 空間ごと割るように直撃。


 ドゴォッ――!


 黒い影が一瞬揺らぎ、瓦解しかける。だが――


「まだッ!!」

 影は分裂し、五体の虚像を作り出す。


「っ、幻影か!?」


「蓮司さん、全部記憶の抜け殻……! 思い出されなかった彼女自身の影が攻撃してきてる!」

 里沙の援護──封術と呪符

「数で押すつもりなら……封じてあげる!」


 里沙が両手を広げ、空中に六枚の呪符陣を展開。


「破邪・緋緋羅陣ひびらじん――発動ッ!」


 空間に張り巡らされた呪符が瞬時に爆ぜ、

 霊影たちを包囲・拘束。

 三体が完全にその場で硬直する。


「蓮司さん、今!」


「やるしかないな――!」


 鬼塚蓮司、全霊解放

 蓮司は拳を握り、低く唸る。


「……忘れられることが、お前を狂わせたんなら――俺は、お前の記憶に手を突っ込んででも、魂の底から――引き戻す!!」


 彼の身体全体から、

 龍の如き霊圧が立ち昇った。


 霊力の奔流がうねり、空間がきしむ。

 右腕に宿した特異な紋章が発光し、

 影の本体へと一撃を叩き込む。


「浄化破霊――断影裂破!!」


 ――ズンッッ!!

 重く、広がるような破裂音。

 影のかれんが、叫びとともに、裂けるように光へ砕けていく。


 消える影、残る声。

「わたしは……わたしは……本当は……千紗と、……友達で、いたかった……だけ、なのに……」


 それは、

 怒りでも呪いでもなかった。

 ただの、少女の声だった。


 黒い影は、静かに淡い桜色の光へと還り、

 風に乗って、どこかへと消えていった。



 魂の咆哮が過ぎ去り、夜明けが訪れる。


 忘却と呪いに縛られた影は、

 最後に友の声を聞き、静かに還っていった。


 戦いの余韻を残しながら、

 蓮司たちは坂を下りる。



 春の黎明。

 東の空がわずかに朱を帯び、

 影踏み坂は静けさを取り戻していた。


 鳥の声が遠くから響き、

 朝露に濡れた石畳が、昨夜の激しさを忘れたように輝いている。


 蓮司は、封じ札の焼け焦げた痕を確認しながら、

 ふう、と煙草に火をつけた。


「……終わったな」


 その横で、里沙も深く息を吐く。


「一時はどうなることかと思ったけど。やっぱり、蓮司さんが本気出すと空間が軋むレベルですね」


「……大げさな」


「いえ、本気で言ってますよ。私も久々に霊力、追いつくの大変でしたから」


 そんな二人の横で、

 千紗は一人、坂道を見上げていた。


 春風が髪を揺らす。

 その瞳は、どこか空っぽのようで、けれど――穏やかだった。


「ねえ……」


 千紗が静かに呟く。


「……かれんの顔、思い出せたんです。最後のあの瞬間、確かに笑ってた。あんなに、まっすぐ笑ったの、初めて見た気がする」


「怖い噂にして、笑い話にして……自分だけ逃げて、彼女を置いていった私が――今さら、何かできるとは思えないけど……」


「でも、思い出せる。思い出せるうちは、忘れない。忘れなければ、きっと、彼女はいたことになるから」


 蓮司は黙って、煙草を消した。


「記憶ってのは、霊以上にやっかいだ。時間にも理屈にも勝てる。でも、その分――残酷でもある」

 蓮司は言った。

「……それでも、思い出すって決めたんなら。それは、あなたにしかできない供養だよ」


 千紗は涙を拭い、小さく頭を下げた。


「ありがとうございました。あの子のこと、私――もう、怖がらない」


 数日後――鬼塚探偵事務所にて

 春の午後。

 事務所には穏やかな陽射しが差し込み、

 蓮司はソファで新聞を広げていた。


 里沙は机の上で帳簿と睨めっこしている。


「……次の依頼、まだこないですね」


「静かなのは悪くない」

 蓮司は短く返す。


「まあ、いつまでも平穏じゃいられないでしょうけど」


 カラン、と。


「いらっしゃいませ……あっ」


 里沙が声を上げる。

 ドアの向こうには、あの日と変わらない姿で立っていた。

 依頼人、千紗だった。


 彼女は穏やかな微笑を浮かべ、手には小さな紙袋を持っていた。


「こんにちは。……その、少しだけお時間、いいですか?」


 数分後。


 蓮司と里沙はソファに座り、彼女の話を聞いていた。

 千紗の表情は、どこかすっきりとしていて、

 憑き物が落ちたような、いや――想いを受け止めた者の静けさがあった。


「……この間のお礼にと思って。たいしたものじゃないですけど、焼き菓子、焼いてきました」


 里沙は驚きと喜びの入り混じった声で、袋を受け取る。


「うわぁ……ありがとうございます。うれしいです」


「本当は、あの日からずっと言いたかったんです。ちゃんと……ありがとうって」


 彼女は言葉を噛みしめるように続けた。


「あの夜のこと、忘れることはできないし、たぶん、一生背負っていくと思います」

 千紗の表情は綺麗だった。

「でも、かれんのこと……怖いじゃなくて、悲しいって思えたんです。今なら、もう一度ちゃんと、彼女に会いたいと思える」


 蓮司は煙草をくゆらせながら、短く返す。


「――それでいい。霊は、記憶の中でこそ、救われるもんだ」


 千紗はゆっくりと頭を下げた。


「本当に……ありがとうございました。また何かあったら、絶対に相談しますね。今度は怖がらずに」


「次は、お茶菓子だけでもいいですよ」

 

 里沙が微笑む。


「そのときは、ぜひ」

 千紗はくすりと笑い、礼儀正しく頭を下げて事務所をあとにした。


 ドアが閉まったあと。


 蓮司はひとつ息を吐いて、つぶやいた。


「……忘れないってのは、案外強い呪いだが――同時に、祈りでもあるのかもな」


「記憶って、残酷だけど、優しくもありますよね」


 里沙は、机の上に残された紙袋を眺めて言った。


「春は、やっぱり別れと出会いの季節かもしれません」


 蓮司はふっと笑ったような気配だけ残し、

 窓の外を見やった。


 淡い陽光の先――

 坂道は、もう静かに桜を散らしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ