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女神適合者の異世界侵行  作者: 水無月鷹野
第一章 一節 森に降り立つ百合の花
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第7話 武器作成と属性付与。想いも付与!

武器とかってなんかすごいフレーバーテキスト描きたくなりません?

あと秘められし力・・・

ロマンは正義よ。


※2021/11/20 整合性が取れてない所とか色々修正

※2022/04/08


 鎮痛草の加工をして瓶詰めを終えた所で、えーなが作業している所へと向かってみると、外に剥き出しの炉が完成していた。


「ん、一人で出来たんだ」

「炉ぐらいはね。金床も出来たし早速打ってみたいんだけど、火をつけるのは音亜ちゃんにお願いして良いかしら」

「ん、わかった。......どうせなら私が炉の火に属性足す。打っている時も刀に属性這わせて、属性を付与出来ないかな」


 魔剣とか、属性付与された剣と言ったらファンタジーロマンの一つでしょ? それが出来たらいいなぁって思った。

 どんな作用を起こすのか分からない、けどやってみるのは面白そう。


「それは......名案ね。属性付与が出来たら良いのだけれど、魔法の長時間行使は大丈夫?」

「ん、大丈夫。余裕」


 私は胸を張って答えた。

 この世界では魔法を司っているのが私だからね。

 魔力操作も余裕のイージーモードだよ。


「なら任せるわ」

「ん、属性はどうする?」

「そうねぇ炉の火に氷、刀を打ち付けるときに空間お願いできる? 後そこの箱の中に深淵属性の水入れられる?」

「ん......うん、問題ない。任せて」


 これもまた胸を張って答えた。

 えーなもちゃんと魔法の知識を確認した後なんだね。

 深淵属性は闇と闇を掛け合わせると出来る属性だ。

 にしても深淵属性を一体何に使うんだろう......?


「それじゃ頼むわね!」


 私達は炉へ向かい、私は火入れをしてえーなは道具の準備を行った。


* * *


 ミスリルと鉄の合金を作り、合金で刀を打ち付けて初めて数時間。

 段々ミスリルの色が青緑色から灰色に近づいてきて、すぐに刀身が冷えるようになってきた。


「これっ、冷えるからっ、たいっ、へんっ、ねっ!」

「んっ頑張って......!」

「音亜ちゃんがっ、応援っ、してくれてっ、るからっ、頑張れるっ!!!」


 えーなが刀を火に入れ、取り出し、すぐに冷える刀身を短時間で鍛え、また火に入れる。

 何度も打ち付け、最後に水に入れ、急速冷却すると、どんどん刀が形が反っていく......


「すごい......」

「よしっ刀身が出来たわ......これを研いで、色々取り付けたら完成ね......!」


 研ぎ始めて段々鋭くなる刃。波紋の部分が深い紫色で、刃の部分は雨雲のような灰色。

 刀身に水色の光を纏わせている。黒い木製の柄を付けて完成。


「完成、したわ。......すごいカラーリングになったわね。しかも冷気纏ってるし、完全に属性付与成功ね」

「ん、よかった。名前はどうするの?」

「名前、名前ねぇ......『定斬刀(ていざんとう)』かな?」


 定すら断ち斬る刀。......良いね。私達らしい良い刀だ。


「んっ、良いね......」

「でしょ? 音亜ちゃん、貴方の事を想いながら打ったのよ?」

「んっふふっ、うれしい。鑑定してもいい?」

「いいわよ」


 嬉しい事言ってくれるね。

 嬉しさと恥ずかしさに悶えながら私は完成した刀を鑑定した。


[武器] 定斬刀(ていざんとう) レアリティ:EX 品質:SS

 ミスリルと鉄の合金の刃に、ダークモルスの柄で出来た刀。

 常に冷気を纏っている為、これで斬った対象の傷口は凍る。

 魔力を籠めると一つは深淵属性で相手の攻撃を幻覚をもって誘導でき、もう一つは空間属性で次元を斬り霊体でも魔力体でも斬れる。

 守りたい人を守るため運命、定め、理すらも斬り開く強い意志の元作られた刀。


「ん、説明文にしっかりと書かれてる」

「ふふっ言葉通り守り抜いて見せるわよ。さて次は音亜ちゃんの杖ね」

「ん、楽しみ」


 いつも口で伝えられるけど、改めて説明文で見るとこれもまた恥ずかしいね......

 次はブラックホーンラビットの角で杖を作るみたい。どんなのが出来るんだろう?


「音亜ちゃんも属性つけるでしょ? 何をつけるのかしら、言ってくれれば作業過程に付けるわよ」


 杖に属性かぁ......強いて言うならえーな属性を持たせたいな。


「ん、要らない。えーっと......え、えーなの想いをたくさんつめて欲しい」

「スゥゥゥゥ............わかったわ。任せなさい」


 私がえーなに正直な思いを伝えると、えーなは大きく息を吸い自信満々に頷いた。


 角を取り出し、深呼吸を始めるえーな。多分本気で集中し始めたんだと思う。

 目がすごく鋭くなって、オーラを放っているように見える。というか放ってる。

 身体が肉体で構成されてないから、気持ちの問題で体から力が溢れ出してるんだと思う。




<永那視点>


 音亜ちゃんから託された信頼、その願いを叶える為に。

 そして一番の《《音亜ちゃんの願いを叶える》》という《《私の願い》》を叶える為に本気で臨む。


 音亜ちゃん......音亜ちゃんと出会った時を思い出す。

 私が中学生の頃、小学生の音亜ちゃんと出会った。

 あの時の関係は親同士の社交で、お互いの子供を紹介されその時に知り合った。

 それだけだった、でも一目惚れだった。

 人の闇を知ったような目つき、それでも純真さを失わない笑顔、そのアンバランスな雰囲気に中てられた。


 私の家は裕福で親にも愛されていた。

 だから知らなかった。

 音亜ちゃんが親から酷い暴力を振るわれていること。

 それを知らずに家へ招いたとき、音亜ちゃんは気づいてしまったんだと思う。

 優しい親を。


 ある日を境に、音亜ちゃんの瞳は濁って行き、笑顔も減って無表情な時が増えた。

 そして傷も増えて行った。きっと無表情で濁った瞳になった音亜ちゃんが気持ち悪かったんだろう。

 でも、私の前でだけ見せてくれる笑顔が私を高揚させた。

 そして恵まれた環境である私でしか、この子を救えないと確信していた。


 私の前でしか笑顔を見せない。けれどその笑顔の独占に目が行って、音亜ちゃんを濁らせるのは罪深い。

 だから私は音亜ちゃんをあのクズ共から解放する為、情報を集め、裏の世界にも手を伸ばし、家に迷惑をかけない為に自立目的で金を稼ぎ、私が大学生になった頃。

 クズ共のせいで、音亜ちゃんに会えなくなっていた。


 なぜ会えないのか気になった私は徹底的に情報を集めた。探偵や裏の人間をも使った。

 その結果、誘拐事件で音亜ちゃんの《《右腕が切り落とされ、隠蔽の為に軟禁されている》》という情報。

 大学生になって居た頃、私は情報集めより金集めをメインとしていた。

 そのツケを支払ったのは私ではなく、音亜ちゃんだった。

 

 悠長だった。

 あまりにも時間やクズ共のレベルを読み違えていた。

 激しい後悔と、衝動的な怒りが私を突き動かした。

 音亜ちゃんの腕を欠損させた奴らは、海外に飛んでいたから専門の人間を雇って殺した。


 誘拐事件から1年経過した日。クズ共が新事業を始めた。

 だから雇われた奴らを使って事故死へと追い込んだ。

 もちろん事故死へと持って行った奴らの出所後は、ロンダリングした上で保護すると約束している。

 彼らも家族へ金が流れるならと、嬉々として受けてくれた。

 あの頃の貧困層はなんでもやる、それぐらいの気概があったからね。


 音亜ちゃんが軟禁されていた事に気づいてから、数日。

 随分と遅れてしまったが、無事音亜ちゃんを解放出来た。

 音亜ちゃんを解放した後、音亜ちゃんの住むマンションの一室へ私も住んだ。

 初めは大変だったわ。でも少しずつ、少しずつ変わって行った。

 

 一緒に住んでからは私が介護しながら自由に過ごさせた。

 そこでやっと一息付けた私は、音亜ちゃんにアプローチをかけた。

 アプローチを頑張った結果、音亜ちゃんが恋人になってくれた。

 あぁ思い出すだけでも......愛おしく、素敵な笑顔で私の想いを受け止めてくれた。


 そして音亜ちゃんの軟禁に気づいてから2年。情報を得てから即座に立ち上げた研究チームの成果を音亜ちゃんにプレゼントした。

 義手、感覚が違和感なく同調し、本物の腕のように扱える義手だ。

 一応見た目を完全に腕に見せかけることも出来た。でも音亜ちゃんと過ごしていく内、音亜ちゃんなら黒くて義手らしい見た目が好きだとわかり、その通りに作り上げた。

 プレゼントした時の、泣きながら笑みを浮かべる音亜ちゃんの顔は魂に刻まれている。


 だから、私はこれからの笑顔も守って行く。

 音亜ちゃんの願いを叶える事が私の願い。

 音亜ちゃんっ......音亜ちゃ――――


 * * *


 後悔、愛慕、執着、独占欲、様々な正も負の感情も全部織り交ぜ、万年の想いを籠めて作り上げた。


「......音亜ちゃん、完成したわよ。名前は『グナーデ・ヴェヒター』」

 

[武器] グナーデ・ヴェヒター レアリティ:EX 品質:EX

 ブラックホーンラビットの角を元に、ミスリルを蔦のように飾り付けられた杖。

 本体の角とミスリルの蔦によって魔力伝導性能がとても高く、杖への魔力の浸透速度と許容量が大幅に増え、鈍器としても色々な用途として使える。

 触れている間一定量の魔力が常に吸われる代わりに、害意に対して自動的に防御。近接なら反撃をミスリルの蔦が行う。

 永那の果てのない強い想いが魂を作り出した、魔力によって破損部位を自動修復が可能。

「守護。それが私の存在理由(レゾンデートル)


「ふ、ふふっ......」


 ――ぎゅっ......


 あぁ......音亜ちゃんが、満面の笑みで泣いて、すごく安心したように杖を抱きしめて。この為に生きてるって感じするわね。


 ――ちゅっ......


 音亜ちゃんがそっと優しく杖に口づけをした。

 あの時と一緒、義手をあげた時と全く一緒ね......そしてその時も思った。

 あぁ......そのキス私にもしてほしいわ......


 ――てとてと......ぎゅ......ちゅっ

 

「ありがと、えーにゃ」

「あっそこでえーにゃ、あっ」


 音亜ちゃんが私に近づいて、キスをしてくれて、言葉を送ってくれた所で視界が暗転した。




<音亜視点>


 武器を見て、鑑定をして、文字には表れない極大の感情を感じた。

 それで嬉しくて泣いちゃって、ついつい杖を抱きしめて口付けしちゃった。

 嬉しい気持ちがとても、とても溢れちゃって、えーなの事抱きしめてキスして、言葉にしようとしたら噛んじゃって、そしたらえーなが気絶しちゃった......


 すごい長い間極限に集中してたし、仕方ないね。

 私がベッドまで運んでウサギ肉をハーブと一緒に焼いて、アイテムボックスに作り置きしておいて寝よう。

 今日はきっと起きない。だから武器の試験使用は明日でいいかな。

 ふふっ、うれっ、しいなぁ、また、かん、きわまって、きちゃって......ウサギ肉が塩味ついちゃうね。

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[良い点] 甘々ですなぁ…てぇてぇのです 永那ちゃんがどんな手を使ってでも、音亜ちゃんを助ける描写とっても好き! 合わせて解放後のお世話期間とか凄く気になる(´∀`*)
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