表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神適合者の異世界侵行  作者: 水無月鷹野
第二章 一節 次元を超え行く百合帝妃
76/96

第63話 姫の淡い秘め心、命を懸けた神の隠し事。

「ん、神に会ってきたよ。色々やったらもう帰れる」

「も、もうですか......!?」


 美波ちゃんが驚いている。

 来て一週間ぐらいで帰る事になるもんね~思った以上に早かったかな。


「邪神はどうなるんでしょうか?」

「ん、邪神は大丈夫。そもそも邪神じゃないし」


 インテリ眼鏡が心配そうな表情を浮かべて質問してきて、私はいつも通り淡々と答えた。

 

 当然驚く勇者達。

 ここに召喚されたけど国の中にも敵が居て、最初からずっと仲間として行動して来たイワノフの言葉を否定するものだからね。


「世界を維持する為のマナがこの世界には無いのよ。それで魔獣を神が生み出して、魔獣の核からマナを生み出さないと本格的に世界が危うかったようね。割り切れないかもしれないけど」


 私の代わりにえーなが説明してくれた。

 簡潔だけど、これでもある程度伝わると思う。

 もっと細かく言うと銀河やら空間をグリッドやら、大きな話になっちゃうから端折る。

 必要に応じて言えばいいしね。


「ん、世界の方も解決済み。後は人の手に委ねても良い。だから勇者達は元の場所に戻っても大丈夫」

「って事は地球に帰れるのか!!!」

「か、家族に会える......諦めていたのに......」

「ここに骨を埋める事になると思ったが......帰れるなら万々歳だな!」

「......ネアさん。スキルなどは地球に戻ったらどうなるのでしょうか?」


 私の言葉に瀬楽君→美波ちゃん→桜→インテリ眼鏡の順に反応した。

 インテリ眼鏡以外は感動してるけど、眼鏡が良い質問をしたね。

 でもぶっちゃけわかんないんだよねぇ、スキルは保持したまま帰ることになりそうだけど。


 スキルや称号に関しての情報は、魂に刻まれちゃうからマナの無い世界でも、生命や触媒を使えば行使できると思う。

 間違ってるかどうかは後で地球の神に聞けばいいか。


「ん、私からは詳しい事は言えない。地球に帰る前に、地球の神に会って聞いてみよ」

「そうですか......わかりました」

「さて~次はイワノフの所かしらね?」

「ん、そう。何処か分かる?」

「わかりますよ。案内します」


 勇者達に質問を投げかけると、インテリ眼鏡が案内してくれるとの事。

 今気づいたけど、勇者達の居る場所は離宮の廊下だったみたい。

 イワノフは王城の中に居るかな?


 そういえば時間もまだ夜みたいだね。

 この世界の神界は時間が早くなってたり、遅くなってるかな~って思ったけど別にそう言う訳でも無かったよ。


「おや? みんな戻ってきたのかい?」


 勇者達と共に王城に向かう途中の庭園、そこにはイワノフとシュリーニャが居た。


「あら、こんな所に居たのね」

「勇者の皆様っ!」

「早速だけど、二人に話があってきたのだけれど......イワノフはシュリーニャから話を聞いたかしら?」

「......あぁ。魔獣の事や、神様の事を色々シュリーニャから聞いたよ」

「それなら話が早いわね。勇者達は元の世界に帰すわ、その為に神へ勇者と会いに行くから二人に挨拶をしようと思ってね」

「ん、あと、ディアナはうちの世界出身。帰す約束したから連れに来た」

「やはりそうだったか......君、彼女を呼んできてくれないか」


 イワノフは控えて居たメイドに指示を出した。

 彼も導きの内容からある程度察してたんだろうし、そもそもこの世界には魔人は居ない的な事も言ってたし。

 ディアナが去る話をしても、残念そうな表情じゃない事に説明がつくね。


「もし可能であれば僕も神様の元へ連れて行って貰えないでしょうか......!」


 私達へ視線を戻し、イワノフが頭を下げた。

 うーん? 会いたい理由が見えてこないけど......いや理由はいくらでもあると思う。

 けど私たちに頼み込んでまで、会いたい理由ってのが見えてこないんだよね。


 そもそもこの世界にもう居ないんですけどねー!


「ん、別に連れて行っても良かった。けどもう居ない、どっか遊びに行った」

「............へ?」

「えっ......デナス神様......?」


 イワノフとシュリーニャは目を丸め唖然とした顔を浮かべた。

 元気に、逃げる様に行ったからなぁ......暫く顔を出さないんじゃなかろうか。


「そういうことだから。別に連れて行っても大丈夫だけど、会えるのは地球......勇者達の世界に居る神だけよ?」

「でも、機会があるなら、神と話せるなら、話したいんだ」


 凄く真剣な表情をしたイワノフ。

 彼が何を思って神に会いたいのかは知らないけど、そこまで言うなら良いか。

 私はえーなの澄み渡る碧色の瞳を見た。

 

「......良いわよ、連れて行ってあげるわ。まぁするのは私じゃなくて音亜ちゃんだけど」

「あ、あの......」

「ん、ついでにシュリーニャも行く?」

「へっ? は、はいっ!」


 シュリーニャの返事が響く中、ディアナが姿を現してこっちへ向かってきた。

 実は私、気づいてる事があるんだよねぇ。

 シュリーニャちゃんがね~とある人の話をしてる時、ちょっとそわそわしてるんだ

~今もきっと来るであろう方をチラチラ見てるし。

 イワノフも知ってるみたいで、話が進む時にチラチラとシュリーニャの方見るし。

 

「ん、引継ぎ終わり?」

「はい、無事終わりました。これで......これでやっと故郷に......! イワノフ殿下、シュリーニャ殿下、今まで助けて下さりありがとうございました」

「これも導きだよ、ディアナ。導いてくれる者はもう居なくなったけどね......」

「......」


 ディアナは二人に深く頭を下げ、感謝を告げた。

 ここで感謝を告げて別れっぽい雰囲気出してるけど、まだ神界までは一緒だ。


「さぁ別れを惜しんでそうだけれど、神界までは一緒よ。惜しむならそこにして頂戴な」

「ん、そう。みんな、飛ばすよ」


 私の言葉に勇者達4人、聖王に王女、元騎士団長の7人が言葉や首肯で返事をくれた。

 別に仰々しい事はしないで、ただ一瞬で視界が切り替わるだけだけどね。


 視界が切り替わり、あいつの作った神界のお部屋に来た。

 私達以外は当然切り替わった視界も、部屋の風景も驚きだ。

 驚き方には相違があるけどね。


「ん、呼ぶ」

「そうね」


 さーてと、いよいよ地球の神様との顔合わせだねぇ......ここの神は仕事を辞めてフリーダムになった社畜みたいな飛び出し方してたし、地球の方も意外と大変そうだからげっそりした陰キャっぽい奴か、目にくまを付けてる癖に、言葉だけはすらすら出てくる営業部っぽい人が出てきそうなイメージだね。


「ん、もしもーし」


 私は机の上に置いてある受話器を上げ、電話越しに声をかける。

 紙にはこうすればすぐ繋がるって書いてあったけどね......


 電話で返事が来ると思ったら、後ろの何もないスペースに気配を感じた。


『っ!』


 なんかすんごい息を飲む声が聞こえたけど......

 振り向いてみると、160ぐらいの身長で金色の瞳を持ち、エメラルドグリーンのウェーブロングをくるぶしまで下ろしてる。

 素のビジュアルが神っぽいのにビジネススーツを着た人が居た。

 てかその人(地球の神)も息を飲んでなかった......?


 * * *


 <???神視点>


 ――もしもーし


「あれ......?」


 私はアルーテ世界を管理している神。

 今日も今日とて、科学が発展していつ神域に至るか分からない地球、地球から逃げて地中に大帝国を築き地球を侵略しようとしている火星、太陽の御加護で楽園を謳歌する水星、加護をすべて奪われ次元の崩壊が近い金星、他にも問題を孕んだ太陽系惑星を見守る。

 日にちの感覚もなく、別のタスクが起きるまで世界の最適化作業に勤しむ。

 常に問題は起きていて、未然に防ぐ改変や事後処理改変も常にやり続け、自動で対応出来る自動事象改変も問題(ごと)に作らなければならない。


 地球や火星でもここ最近100年ぐらい、ブラック企業なる物が表に出てきているが正にそんな環境。

 

「......まさか!?」


 いきなり来る問題には幾度と対応してきた私でも対応出来ない事がある。

 ありとあらゆるイレギュラーを相手にしてきた中、唯一手に負えない者が居た。


 厳重に監視体制を敷き、最終手段を実行した対象。

 水無月音亜の声が聞こえ反射的に転移をした。


『っ!』


 息を飲んだのは私だったのかすら、わからない程の異質さに飲まれた。

 10年も経っていないのに神力が濃密で、それも水無月音亜と文月永那の二人共、同じく成長している所だろうか。

 流れた時が物凄く短いのになぜここまで......おかしいし私は創造神とも懇意にさせてもらっているが、こんなことを聞いた経験が無い。


「ん、貴方が?」

「っ......初めまして。私はアルーテ世界、わかりやすく言えば地球がある世界を管理している、過去と未来の高位神ジーナ・ルテイルと申します」


 驚きを顔には出さずに居たが、硬直してしまっていた。

 見かねた水無月音亜から話始めてくれたが......焦りが隠せず一息に自己紹介してしまい、不審に見られていないだろうか。

 後ろめたいことがある時は不安に駆られて、それが表情に出る事を懸念してまた不安に......!


 それに彼女の視線が全てを見透かすような、何か底知れないものを感じる。

 あぁ不安だぁ......こういうのって事前に想定して、準備して臨むべきものですってぇ!!!

 でも頑張らなきゃっ! 知られてはいけないことを秘匿しつつ、適切に対処して満足してもらってさっさと帰りたい......帰りたいぃ!


「私は永那よ~(愛護と永愛)(創作と創魄)の超越神になっているわ」

「ん、私は音亜。(決定と裁定)(魔法と時空)の概念神」

「......? その様な神格は......?」


 下級神、中級神、上級神、高位神、最高神、創造神、そして”世界”。

 これが神々の共通認識......だったはず。

 超越神? 概念神? 一体どういう事......?


「位的には創造神と一緒っぽいわよ」

「ん、そう。さておき、”今回は”私達の事じゃなくてこっちの子達」

「......彼らは私の世界の民ですね。無事でよかった」

「ん、話進めて良い?」

「あ、はい」


 さらっととんでもない事を言われました。

 創造神と一緒っぽいって......もう訳わからないし考えるのやめようかな......。

 ま、まぁそれより、うちの世界の被召喚者達が生きていてよかった~! 悪辣なら話は別だけど彼らは善良で我が子のようなモノだから安堵しますね。


「ん、それじゃこれからの勇者達について――」


 この時私は気づかなかった。

 『今回は』という事は次、話す時があるという事に。

フィリア精霊帝国万歳!エイネア万歳!今回は地球の神編!


いいね、評価、ブックマーク登録、暖かい感想お待ちしております


★ 進捗の報告をしているツイッターはこちら!→@minadukitakano ★


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 久々の更新嬉しい! [一言] 更新お疲れ様です!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ