第5話・解体して、料理をして、ご飯頂いて......美味しく頂かれる。
※2023/08/09 加筆修正済み
「おわぁ......」
そろそろ拠点予定地の近くって所で、遠目に立派なログハウスが見えてきた。
近づいていくと入り口あたりでナイフを持ち上げて、満足そうな表情を浮かべているえーなが見えてきた。
「ぉ〜ぃ」
声を上げてから少しだけ駆け足でえーなに近づく。
あっ、世界に降り立って初めて走ったかも......?
「音亜ちゃんお帰りなさい。どうかしら、結構頑張って作ったわよ。内装もバッチリ作ってあるわ」
「ん、本当にすごい。私が狩りしてる間に別荘出来てる」
やっぱりえーなはすごいなぁ......
魔法とか神力体とか、色々な要素があってもこんな豪華なお家は普通建てられないよ。
私は黒角兎一匹とハーブ系だけだよぅ。
「そうそう、これ採取とかに使えるナイフよ、この木製の鞘と一緒に使って頂戴」
「えーなの手作りナイフ......! あ、狩り出来た、ウサギ肉とハーブとか」
「色々獲ってきたのね! 狩りって簡単に出来る事じゃないわよ、なでなでしてあげるわ〜♡」
「うにぃ......ふへへぇ......♡」
褒めてもらっちゃった〜♡
嬉しくてだらしない顔をしてる自身しかない。
――ぐぅ
「むふふ、可愛いわねぇ......あら、お腹すいた?」
「ぅん、お腹すいた。獲ってきたうさぎ出すからお願い」
「わかったわ、あるもので作るわね〜」
≪亜空倉庫≫から黒角兎を出した。
簡易な血抜きをしてあるから、あとの処理は任せても大丈夫かな。
外にも机があったから、とりあえず机の上に出しておく。
「どう?」
「へぇ......大きいわね」
「ん、あとこれ、はーぶ」
「ふむ、肉もハーブも使えそうね......ん〜塩は......」
「塩、私なら用意できるかも」
えーなが塩の調達で悩んでるみたいだから、私がやってみよう。
私なら魔法が自由に使える、えーなは限定的だから私の出番だ。
「出来るなら助かるわね......もしかして煮沸?」
「んーん、魔法使ってやってみる。鉄貰ってくね」
「なるほど......下処理もあるし任せるわね!」
「んっ!」
煮沸して用意するのは考えたけど、私には魔法があるからね。
海の方へと向かいながら、手元で道具を作る。
受け取った時にちらっと鑑定してあるから、この鉄の性質は理解した。
魔力を浸透させて、形状変化、取っ手の付いた太いパイプを作る。
あともう一つ、鉄で筒状の容器を作る。
「よし、あとは......」
推定海についたら、塩があるかわからないけど、塩を構成する物だけ通さない結界を片方の穴に貼る。
あとは取っ手を握りパイプを水に入れて、結界のある方を下にして水から取り出す。
「ん、ちょろい」
パイプの中を覗くと、結晶の上に白い結晶がちょこっとだけある。
これをさっき作った容器に入れてまた水を掬う。
「時間かかるけど煮沸するよりかは早い」
ある程度掬って容器に入れたら、容器内の塩を鑑定してみる。
[素材] 塩(海水) レアリティ:B 品質:A
海水から取り出された塩。
不純物が無く、きめ細かい結晶で、まろやかな風味。
「完璧......もどろ」
鑑定結果も十分、確認作業にちょうどいいね鑑定君......!
推定から確定海になった所から離れ、えーなの所に戻ってくる。
「出来たよ」
「あら、容器まで作ってあるのね、じゃぁ簡単なものだけどハーブスープ作るから、のんびり待っていて頂戴」
「んっ」
腸をえぐり出されたウサギさん......腕以外は血に濡れてないえーな。
血抜きしたとはいえ流石の腕前だねぇ、そこもカッコいい。
さて、私は家の中を探索しようかな。
立派なデザインの両扉をくぐり、広めのゆったりとしたエントランスへと入る。
「いい香り......」
イメージ的にはお高い旅館の靴脱ぐ玄関部分を切り取った感じ。
旅館なら休憩できる場所とか、カウンターがあるだろうけどここには流石に無くて廊下直通。
でも豪華さはこれで伝わるはず......あと木製住居のいい香りがするよ。
靴を脱いでそのまま廊下を進んで、すぐ右手にトイレがのマークがある扉。
左手にリビングの入口があるけど......ここは最後でいいや、ご飯作るって言ってたし。
そのまま通り抜けて奥には洗面所と風呂場、基本的に木製なだけで特別すごい物はないかな。
シャワーとか蛇口もなく、浴槽と桶があるぐらい。
|浴室から出て左手に《エントランスからだと右手に》、上階への階段がある。
上がってみると殺風景な屋根裏部屋が広がっていて、両開きの扉がぽつんと。
扉を開けてみるとバルコニーへと繋がっている。
家具はまだ机と椅子だけみたい。
「ここならまったりとティータイムが楽しめそう」
浴槽も二人でまったり出来るぐらいだったし、バルコニーもゆったりとした気分で過ごせそうだなぁ......さて、メインのリビングとか奥にある部屋見て回ろう。
階段を降りてリビングに入ると広い空間があって、中心にローテーブルとソファーが置いてある。
「ん、流石にソファーは木製......だけど今後材料集めてふかふかにしよう」
今はまだこの世界に降り立ってすぐだし、そもそも降り立ってすぐの暮らしじゃないよねぇ、このレベルは。
まぁそれはさておき、左手にキッチンがあって今はえーなが料理中、解体もう終わって料理の段階に入ってる......
右手に片扉があって奥に進んでみると、まだ木枠だけだけどクイーンサイズのベッドが置かれている。
マットレスかぁ......正直人里から素材を手に入れるか、愚直に素材を探すしか無いよねぇ。
「んぅ......魔法でどうにか出来たら良いけど、神でも権能なきゃ流石に無理か......んむぅ......」
「スープ出来たわよ〜」
おっ、探索も程よく丁度良いね。
寝室からリビングへ戻ると、早速ローテーブルに料理が置かれてる。
木製の容器にハーブ系の香りが強いスープが置かれている。
「席について頂戴ね、<生活魔法>の≪洗浄≫できれいにしてあげるわよ」
「んっ......出た万能魔法......」
魔法でお掃除出来る万能世界だねぇ......いちいち手洗いに行かなくて済むのも良い。
私も一応魔法の女神だし、魔法をフィーリングで作れるっていう自由度がある。
でも自由すぎて洗浄なんて作れる気しない、皮膚とか床とか消し飛ばしてしまいそう。
「はい、これでいいわね。召し上がれ〜」
「ん、ありがと、いただきます」
魔法の万能さに驚いていると、気づいたら≪洗浄≫を使ってもらっていた。
感覚的には手を洗ったあとのさっぱりさがある。
魔法の感想よりスープの感想だね。
木製のスプーンで一口掬って口の中に流し込む......すると鼻を通るバジルに似た香りに、舌にゆるく響く塩っ気。
スープに浸ったホロホロのお肉を口に運び、お肉を一噛み......鶏肉のもも肉みたいなプリプリ触感。
ハーブと塩っ気の味を吸った黒角兎の肉は、少ない調味で複雑な味を作り出して満足度が高い。
「んっ......おいしい......!」
「えぇ、味見はしたけれど、やっぱり美味しいわね」
「あとぽかぽかする」
「それはきっとルミマナメニークサの効果で、マナ......魔力の元が多く含まれているからかしらね」
マナ多く含まれていると身体に良いのかな、気分も良くなってくるねぇ。
「ん、それにえーなの作ってくれるご飯は潤い......ふへ......♡」
「身体まで揺らしてご機嫌ね、嬉しいわ〜♡」
ソファーの席について横並びでスープを食べてるから、えーなが空いた手でちょいちょい撫でてくれる。
えーなの出してくれたご飯を撫でられながら楽しめる......最高だねぇ。
「んっ、おいし」
「ハーブと肉だけでこれだから、素材がいいのねぇ」
「活かせるえーなの腕もすごい」
「ふふっ、ありがと、んっ♡」
ぽやぽやとした気分の中、素直にえーなを褒めるとほっぺに柔らかい感触が来た。
「おかえし、んっ♡」
「ん゛〜〜〜♡」
ふは〜良い、このゆったり出来る時間良いねぇ。
いつもならここで止めるんだけど、スープの効果か気分が高揚してるのかわからないけど止まれないかも。
でも眠くもある......デートから流れでサバイバルが始まって、心情的に疲れて眠くなってきてる。
「でへへ〜みたいな顔しながら船漕いでるわよ」
「んぉぅ......」
「食べきってから寝ましょう? 私は先にベッドを用意しておくから」
「はぁーぃ」
もっとイチャイチャしたいのに居眠りしかけてたとは......えーなのご飯も残して、それはだめだ食べなきゃ。
えーなのくれたものはぜんぶちゃんと食べよう。
「んぅ、おいし」
お肉柔らかくてよかった。
思考は冴えてるけど、身体が眠いモードに入ってるから、硬かったら咀嚼が大変だった。
「あったかい......」
私達の居る森は日中でも暑くはない、体感18℃ぐらいかな。
だからあったかいスープが身体を温めてくれて、眠くなる......
「......はぅ」
ヤバい循環に陥ってるよぉ、飲んで温まって眠くなって、でも寝るために急いで飲んで温まって眠くなって。
もうスープを一気に飲み干して残ったお肉をつまも。
「んっく......んっく......ふはぁ。一気に流してもおいしい」
あとはおにく......木の皿に寂しく残ったお肉がなんか可愛そう。
たべよ。
「音亜ちゃん、マットレスだけ作って敷いておいたわよ〜」
「んっ、あと肉食べたら行こ......うにゅ〜頭がぽやぽやしてるぅ......」
「スープの効果もあるかもしれないけど、安心して疲労を感じてるかもしれないわね」
確かにその可能性は高いよねぇ。
今までの私じゃここまで活動してられないもん。
身体は大丈夫だけど気持ちに引っ張られて疲れてるのかも。
いつ寝ちゃうかも分からないし、持続型の結界だけ家の周りに貼っておこ。
「えーな、あしたからどうする?」
「そうねぇ......私が材料集めに行った山の方に言って、武器を作る素材探しをしたいわね」
「ぶき〜? ん、でもぶきあったほうがいっかぁ」
戦闘は魔法があればいいと思ってたけど、武器を持つことでわかりやすく武力があるってポーズも付けれるし、武器を振るうえーなが見れる最大の特典がついてる。
明日は探索だねぇ。
「ふふっ、察しが良いわね。そういうことだから明日は山側に探索よ〜」
「んっ、わかった。あとごちそうさまでした、おいしかった」
「お粗末様でした。じゃあベッドの方に行きましょう」
「だっこ」
「うふふっいいわよ〜」
えーなが子供を抱き上げる方法で私を抱き上げてくれた。
昔一度お姫様抱っこをしてくれたことがあって、その時に密着感が弱いって言ったらこの抱き方に収まった。
首筋に顔を押し付けてえーなの香りに浸りながら寝室へと運んでもらった。
「ブランケットもないけれど大丈夫よね?」
「ん、密着してれば大丈夫......えへへぇ」
「おぐぅっ、ち、ちから入れすぎよ〜背骨がボキって行くわ」
「あぅ......ごめん、ぎゅーってしたくて......」
私を抱いたままえーなはベッドの縁に座って、私もあとは寝るだけだと分かって思わずぎゅーってした。
「ふふっ、大丈夫よ......ふむ、折角のデートの日を疲労で締めくくりたくないわね......それにご褒美をもらう時ね」
「......? んむっ!?」
小声でえーなが何かを言ってすぐ、私をベッドに寝かせて馬乗りに乗ってきて、口づけ。
「んっ......れろぉ......んむぅ......ちゅる......♡」
「んふっ......んは......はむ......ちゅっ......♡」
仰向けの私に馬乗りになって、両手で私の頭を固定して、貪るように唇を押し付けて口腔を、えーなの長い舌が蹂躙する。
えーなの行為で私は一切力が入らず脱力して、緩慢とした抵抗はえーなの気持ちを高めるスパイスの一つになる。
始めった行為に、自然と鋭敏になる身体。
「ぅぅ......ぃにゃぁ......おなかぁ、なでちゃだめぇ......」
いつの間にかパーカーのファスナーが下げられ、解放された私の素肌を優しく撫でられる。
ぽかぽかしていた身体が熱くなり、下腹部からジクジクと情欲が溢れ出してくる。
「ふふっ、おなか撫でられるの好きでしょう音亜ちゃん」
「す、すきぃ......でもいまはだめぇ......」
「あら、もしかして......れろぉ」
「んひぁ!?」
耳の縁を舐め上げられ、声を漏らしてしまう。
「スイッチ、入ったのね? 大丈夫、満足させてあげるわ......遠慮せず啼いていいのよ」
舐められて敏感になった耳に、吐息混じりの言葉が脳に届けられた。
あぁ、きっと今日は長い、とても長い。
「あぅ......」
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