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女神適合者の異世界侵行  作者: 水無月鷹野
第六節 生まれし神乃帝国、没するは無念乃帝。
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第46話 戦勝記念パーティー


 ――同盟締結、数週間後。


 フィリア精霊帝国=レタリス王国、同盟締結記念パーティー。

 フィリア精霊帝国=レタリス王国対デブルイネ帝国戦争、戦勝パーティー。


 今日は戦勝記念パーティーだ。

 本来は記念パーティーと戦勝パーティーは別でやるものらしいのだが、私は2度もパーティーなんてしたくないから1度にまとめてもらった。


 目的は国主同士の仲の良さをアピールして、貴族達に国主の仲の良さをアピールするのが目的だ。本来記念パーティーは社交という面が強くなりがちだが、戦勝パーティーも交えれば社交の面も薄くなる。

 これで国主同士で話し合うだけで、貴族達を気にする必要もなく、王族貴族のパーティーを体験できるという訳だ!

 じゃないとこっちのルールでは貴族一人一人挨拶するらしいからね......嫌すぎる。


 因みに数週間経つ間に戦争も講和会議も終えてあるから、このパーティーやったら自国に注力出来る。

 やっとまともな国作りが出来るね......。


 因みにだが講和会議前、身近な人間にのみ概念神になった事は伝えた。

 そして物わかりの良い人物、アイリスやルナ辺りには”世界”自体が私の影響下である事を伝えた。おかげで当初予定していたことから少しずれたのだが......。


 さて、講和会議の結果なんだけど簡潔に言うと......

 ・レタリス王国:フィリア精霊帝国の国家承認。

 ・フィリア精霊帝国:魔の森の領土権を取得。

 ・レタリス王国:デブルイネ帝国、全土併合。

 ・フィリア精霊帝国:旧エルノス・グリタリア・フィールド農業国、全土併合。

 ・デブルイネ帝国は解体。

 ・旧農業国はフィールド国家弁務官区へ。アイリス・フィールドを総督とした。

 ・フィリア精霊帝国:レタリス王国へ戦争復興支援。

 ・フィールド国家弁務官区=レタリス王国合同で旧デブルイネ帝国の統治。

 (領土権はレタリス王国にあるが、統治能力の貸与としてフィールド国家弁務官区が統治支援をする。)

 ・etc......

 大体こんな感じ。


 わざわざレタリス王国から承認されずとも国は国。

 だけど承認された方が国家間の取引やその他諸々の進行が楽になるし、文章として残るからこういう証拠は大事。


 てな感じで本来はアイリスに農業国を復興させようと思ったんだけど、私が概念神になった件を伝えた結果庇護下でありたい。って言う要望をアイリスとルナの連名で言われた為、庇護下である事を明らかにしつつ自治権に近い権利を与え、国を復興してもらう運びとなった。


 時の流れで総督が変わると面倒だからアイリスを不老にしようか考えてるんだよね。本人が望めばそうするけど、下手に前例を作ってしまうと面倒を作ってしまう為悩んでる。

 例えばどっかの貴族が「私を不老不死に......!」とかね。

 ......でも私達が生きてればいずれバレるから別に良いか。



 私が神である事は《《基本的》》には秘匿する方針になった。

 フィリア精霊帝国では公然の秘密である。


 私とえーな。二人には力がある。

 面倒なんてすべて消してしまえる、私達にとってのユートピアを作れる力が。

 だけど完全で完璧な世界じゃ面白くない。

 面倒だって楽しみの一つだ。苛立ちだって楽しさへのスパイスにもなる。


 だから二人で決めたのは、基本的には力を一定ラインまで縛って生きる事。

 

 例えば、<テレポート>すれば何処へだって直ぐに行けるけど緊急時以外は使わない。

 例えば、人が起こす面倒を消す為に全員の意識を操作する何てことをしない。

 例えば、面倒があっても神である事や神の力を使って面倒を回避しない。


 所謂縛りプレイってやつだ。

 あいつらを無限地獄輪廻へ叩き落としてから心に余裕が出来たからその選択肢を取った。


 でも、私達にも逆鱗はある。

 それに触れさえしなければ基本的にニンゲンらしく行くつもり。安全マージンは最大級に取った上でだけどね。

 って言う理由から政治で国家間の仲の良さを深めに行った訳よ。


* * * 


「ネア・フィリア皇帝陛下、エイナ・フィリア皇妃陛下一行の入場です」


 レタリス王国、王城。

 そこにはレタリス王国貴族が集まっている。

 今日は戦勝記念パーティーだ。


 一部の貴族は知っている。

 何故戦争に勝てたのかを。

 

 極一部の貴族は知っている。

 何故戦勝パーティーと同盟記念パーティーが纏められたのかを。


 王族は知っている。

 相手が何者なのかを。


 ――っ......


 レタリス王国の女王の後に入ってきた者を見て、貴族一同は息を飲んだ。

 現れたのは九人。


 眠そうな紅目、そして白銀の髪を下ろし、黒と赤の豪奢なドレスを身に纏った少女。

 ぱっちりと元気な印象な青目、短めな茶髪を揺らし、白と青の控えめなドレスを身に纏った女性。


 その二人の後ろから続いて二人の少女が浮遊している。

 赤緑のオッドアイ、白髪、白ドレス、白色のクリスタルを背中に浮遊させた精霊。

 青茶のオッドアイ、黒髪、黒ドレス、黒色のクリスタルを背中に浮遊させた精霊。

 そのまた後ろからは二名のメイド。

 そのまたまた後ろからは灰色の軍礼服を来た三人の亜人。


 フィリア精霊帝国一行は誰もが完成された容姿を持っていた。

 中でも最初の二人。ネア陛下とエイナ陛下には男女関係なく、一度惚れてしまう。

 まぁパーティーに参加している以上、二人のイチャイチャを見て皆失恋するが。


 そして少女の見た目でも誰も侮らない。気配が違うのだ。

 気配を感じられない無能は軒並み粛清された点もあるが。


 フィリア精霊帝国側も全員入場し終えた。


 そしてフィアトラ女王が口を開く。


「我が国は日和見してきた。デブルイネ帝国から目を逸らしてきた。その影響で国内も荒れた。ある意味ツケを払ったのだ。だが同時に盟友も出来た。精霊を象徴する帝国の盟友に、断固として抵抗し戦い続けた亜人の盟友だ。その者達と盟友になった記念、そして盟友と乗り越えた戦争を祝杯して......乾杯!!!」

「「「「「乾杯っ!」」」」」


* * *


 本来立食パーティーなんだけど、私が立って食べるの嫌だから机を用意してもらった。

 貴族達は立って飯食って話してる。

 私達フィリア精霊帝国組とレタリス王国王族組で座って会食だ。

 私が体験したいのは雰囲気だからね。


 そういえば私達が国主として名乗る時はネア・フィリア、エイナ・フィリアと名乗る事にした。ついにえーなと一緒の名字だ......! 別に水無月に拘ってる訳でも無いからね、でも名前はこのままがいい。

 私は音亜(ネア)。えーなが《《呼んでくれる》》名前。もう定着した《《音》》。

 だからあいつらが決めた名前でもこれだけは愛せる。


「ネア様、エイナ様。本日はパーティにお越しいただき感謝する」

「ん、こっちこそ」

「えぇ、パーティーを一回にまとめてもらって感謝してるわ」

「食事も是非楽しんで行ってほしい」


 フィアトラ女王のなんか口調が違和感だなぁ......初対面の時はそんな感じじゃなかった気がする。


「えぇっと......?」

「ん、口調がちょっと違和感」

「あぁこれは......他の貴族が居る際は威厳を意識しなければならなくてな」

「女王様は大変ねぇ」

「んね」

「一応ネア様も同じような物なのだがな......? まっ今は食事を楽しんで行ってくれ。要望通りコース料理ではなく立食の物を持ってこさせたからな」

 

 フィアトラ女王が話を切り上げると、メイド達が料理を席に持ってきた。

 運ばれてきた料理は、ステーキとかパスタ系料理だったりまぁ色々だね。

 後普通にケーキとかデザート類もある。


「お母さんこれ美味しいですよ」

「うん、これも美味しい」


 早速リアとノアが料理を食べ始めた。

 あれはスパゲッティだね。リアノアは食べた事無かったか。

 そういえば精霊に関して自然と受け入れられてたな......?


「ねぇフィアトラ女王。周りとかが自然と精霊を受け入れてる様に見えるんだけど......」

「それはだな......この世界には一応妖精という種族が居て、彼らが存在してるからだろうな」


 妖精......妖精が居るのか! 精霊とは何が違うんだろう。というか妖精はなんか特殊な存在なのかな?


「妖精って何か意味のある種族なの?」

「意味のある......? あぁそうだな、自然の調和を維持する。と言われているな」

「ほぇ~そんなの居たんだ。えーなは知ってる?」

「んー......あぁ! そういえば前王都の図書館で見たわね。確か――」


 えーなの説明によると、妖精は自然現象の調和を維持する役目を持って生まれた存在らしく、魔法による現象ではなく物理的に起きうる現象の調和の事だそうだ。

 簡単に言うと、風魔法を使った突風は物理現象ではなく魔法現象。自然の大気によって発生する風が物理現象になる。

 そして世界に妖精が居ないと各地で砂漠化、干ばつ、大規模な竜巻、森林火災などの災害が起きてしまい、妖精の居ない土地は荒廃するらしい。


「うむその通りだな」

「ほぇ......結構大事だね」

「今度コンタクトを取れると今後楽になるかもしれないわねぇ」

「コンタクトは取れるモノなのだろうか......?」

「分からないけれど私達は特殊だからきっと出来るでしょ」


 妖精かぁ......会えるとしたらどんな感じなんだろう。精霊みたいな感じなのかなぁ? 見た目については言及されてないから分からないらしいんだよね。

 だけど大体の貴族の人のイメージだとウチの精霊の様な容姿をイメージしてるみたい。それに前各地に放った精霊達が居るしね、もしかしたらそれらを妖精と勘違いしたのかもしれない

 また今度旅に出る時にでも探そうかな?


「そういえばイージス」

「はっ! なんでしょうか!」


 妖精の事について考えていると、えーながイージスに話しかけた。


「貴方の立案した作戦で無事、帝国と旧農業国が解放出来たわ。何か褒美を与えようと思っていたのだけれど何がいいかしら?」

「ほ、褒美ですか!? 身に余ります」

「そうかしら? でも頑張った子には褒美は必要よ、それが意欲に繋がるのだから。それに貴方が拒否すれば他のALICEの子も拒否せざる負えなくなってしまうわ」


 ほ~でも確かにそうだよね。先に成果を上げた人が褒美を固辞したなら、後の子もそれに追従してしまって、最終的には暗黙のルールになっちゃいそう。

 極端な話だけどね。


「でっでは、頭を撫でて頂ければと......」

「それでいいのかしら?」

「はい......」

「わかったわ」


 ......。

 私達が座ってる横にイージスが跪いた。そしてえーながイージスの頭を3度撫でた。


「これでいいかしら?」

「はい! 感謝します! これからも褒美に見合う戦果を上げる為努力します!」

「えぇそれでいいわ」

「じとー」

「あっ......」


 いや解ってるよ? 褒美だもんね? いや......いや、でも......。


「(アナ......ネア様が無表情が基本なのに物凄い複雑な顔をしていらっしゃるわ......)」

「(フィー、この状態大丈夫ですか?)」

「(いえ解らないわ......)」


 うん......ギルティ......いや......仕方な、く、だし......でも、うぬぬぬ......謝罪が来てもそれは筋違いだし......でも私のえーなぁ......。


「んぅ、あーんして」

「えぇわかったわっ!」


 妥協点だ。

 えーなは机にある料理に手を伸ばした。

 そしてそれを口に含んだ。含んだのはショートケーキのイチゴ部分だけ!


「ん~」

「んふ、あむっ」

「「「「!?」」」」

「ん~、ふっ、んむんむ」

「「「「(キスしながら咀嚼してる......!?)」」」」


 あーこれは癖になる。咀嚼後からの口移しとかは経験済みだけど、一緒に咀嚼は初だね。えーなの味と甘酸っぱいイチゴの味が最高過ぎる......。

 んで一緒に噛めるようにお互いの舌と唇でイチゴを抑えてるから、偶に歯が唇とか下に当たるのが頭にピリピリビリビリ来る。

 あっ涎垂れちゃう......


「じゅるるるるっ」

「んむっんむっ」

「(マスターとお母様が仲良くしてるのを見るのはいいですね......音が煽情的なんだけど!)」

「ごくっ......ぷはぁ......」


 えーなの膝の上に座って、顔を向け合って一つのイチゴをを一緒に食べた。

 ご馳走様でした。これはこれで癖になるなぁ......


「んっ、もっと食べる?」

「..................いやこれだけで、後はあーんで良い」

「あーそういう事ね、わかったわ」


 ふぅ、これ以上はね......?

 とりあえず対面から普通の座り方(えーなの膝上で背面)に変えてみると正面に座っているフィアトラ女王とアナスタシア宰相が見えた。顔真っ赤だ、うぶだねぇ。


「ん、二人もこれぐらいイチャイチャしててもいいんだよ?」

「「いやいや!」」

「・・・?」


 とりあえずボケておこう。

 横をチラ見してみるとアイリスとルナもほんのり赤い。あの感じは似たようなことしたことあるな......?

 まぁいいやえーなに食べさせてもらおう!


「はい音亜ちゃん。あーん」

「あーーむ。もぐもぐ......んぐっ。創作の貴族は大味なのが常だけど普通に美味しいね」

「あ、あぁ、気に入ってくれたならよかったぞ」


 うんうん。パーティーを楽しめてる気がする! でも今回やって気づいたのは不躾な目線を送る人が居るし、身内だけのパーティーが精々かな......。

 なんてことを思いながらえーなが運ぶ食べ物をもぐもぐと食べ続けた。

フィリア精霊帝国万歳!エイネア万歳!今回はパーティー


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[気になる点] パーティー会場入場時に八人と書かれているのに、ネア、エイナ、リア、ノア、メイド二人、灰色の軍礼服を着た亜人三人と書かれており合計九人の入場だと思うのですがどうなんでしょう?
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