〔バレンタインデーSS〕 久しぶりのバレンタイン
発想力の乏しい私を許して欲しい......
――建国数年経ったある日の話。
「んぅ......」
地球に居た頃は毎年イベント関連は欠かさず開催してた。お正月、クリスマス、バレンタインデーetc...。
でもイルミナ世界に来てからは忙しかったし、イベントをやるまでもなかった。
なぜイベントがある毎に何かしら開催していたか。
それはえーなが私を拾ってから、私の心を開く為人間らしく居させる為にやってくれていたんだ。
でもその上にえーな自身の欲望を上乗せした。
例えばある日のイベント。
*
『音亜ちゃん......!』
『......ぇ?』
夜。
私が入浴中に行ってる間にえーなが準備をしていたのだろう。
寝室で裸になって体の至る所にチョコを塗りたくり、部屋の中央でシートを敷いて寝転がっていた。
えーなはその状態で私の名前を呼んだ。
『バレンタインデーだから! プレゼント!』
『......え?』
倫理観に関しては踏襲してるはずだ。無慈悲で人だって殺す私達だけど倫理観は理解してるはず、だ。
いや嬉しくない訳じゃない。もちろんぺろぺろする。
だが毎年のイベント実行へのマンネリ解消方法にしてはかなりやばいなって思った。
もちろんぺろぺろするが。
今まででは普通に凝ったチョコレートやチョコケーキ、チョコレート系のお菓子を作ってくれた。でもこれ。裸で秘部やらそこら中にチョコが塗られてる。
断固としてぺろぺろするが。
何故他の普通にチョコをもらった回想ではなく、この年のを回想したか。
それは単純な事で、今日はバレンタインデー。
私もえーなにチョコを贈りたい。
でもえーなは私がチョコを贈るより、私を贈ってぺろぺろさせた方が嬉しいと思う。
「類は嫁を呼ぶ......」
考え着いた先がこれじゃ同じ穴の妻じゃないか。
そんなこんなでずっと悩んでいるのだ。
ぺろぺろなんて夜にえっちすればそれでいいもん。
もっとバレンタインデーらしくえーなが喜ぶ物を贈りたいんだ。
「あっ音亜さん珍しいですね」
「ん、■■さんか」
「何か悩んでるんですか?」
私が家の廊下を徘徊していると■■さんが声をかけて来た。
ふむ......彼女なら助言を得れるかもしれない。彼女は大学生ぐらいの年齢だ、浮ついた話の一つや二つはあるだろう。彼氏も出来てるしね。
「実はえーなにバレンタインのチョコを贈ろうと思って。でもありきたりの奴も奇抜なのもやり尽くしてる後だから」
「ん~真新しさは別に要らないんじゃないでしょうか? あっでも......私なら――」
■■さんは少し顔を赤らめながら提案をしてくれた。
その方法には私も完全に抜け落ちていて、これならえーなを喜ばす事が出来るかもしれない。
「ん、ありがと。これからやってみる」
「は、はい。あ、でもやるなら......」
「わかってる」
さぁ街に行ってチョコを買って来よう!
そして時間になるまでいつも通りにしておこう。
* * *
* *
*
――時間は夜。夜ご飯を食べ入浴後の時間。
「えーな」
「あらどうしたのかしら?」
「んぁ~えーっと」
あれ? ちょっと自分からチョコを贈るの久しぶりだから緊張してしまう? 自分でもこの感覚が解らないから思考の中では疑問と恥ずかしさ? に覆われてる。
そういえばえーなってイルミナ世界に来てからバレンタインデーとかそう言うの触れてないよね。
「えと、あの......今日」
「......今日?」
えーなが言葉に詰まってる私を見て心配そうな顔をしている。
あれ? もしかして日にち間違えた? でも私の脳内だとこの世界に来たのが地球時間で■月■日だったから今日がバレンタインデーのはず......。
でもいいや思い切って行っちゃおう。
「きょ、今日、バレンタインデー、だから。はむっ」
私は声が小さくなりつつもバレンタインデーである事を伝え、さっと後ろを向いて準備をした。
準備を終えて前を向きえーなを見ると、口を開けぽかーんとしてた。
チャンスだ。
「あむっ!」
「んむぅ!?」
ぴちゃ、コロッ。
私は背伸びをしてえーなの顔を両手で挟んだ。
そしてポカーンとした口に私の口を合わせ、口に入れたチョコレートを口移ししてえーなの中に入れた。
そのまま舌を伸ばしてディープキスする様にすると......
「んっ、んふぅ......」
えーなも舌を伸ばして来て私達の舌の間に、器用にチョコを挟んで押し付け合ったり、二人の舌で挟んで包み込んだり。
チョコの滑らかさ、ざらざらした舌に絡んだチョコの触感。
お互いの唾液に溶け込んだほんのりなチョコの味。
「ぷはぁ......」
「んっ、ふ~」
「......ど、どぅ?」
「はぅっ、盲点だったわ......」
楽しんだ後、ちょっと不安になりながらもどうだったか聞いた。
するとえーなからも私の同じ感想が出た。
これが■■さんが教えてくれた方法。
偶に普通の食事で口移しする私達じゃ灯台下暗し、普段の行為みたいなものだったから全然思いつかなかった。
「あれ? それに......もしかして地球の時間が解るの......?」
「んぇ? う、うん」
「どうやって......?」
「この世界来てから時間を計っただけだけど......」
「うーん、いやいいや。それよりほらベッドに行きましょう? 寝転がりながらもっとチョコレート口移ししましょう」
「んっ」
この口移しのチョコレートには欠点がある。
提案された時に絶対予想で来た事。
それはお互いのスイッチが入る事。
だから一日の生活を終えてからじゃないとダメ。
「んふふっ。普通のディープキスも良いけど、さっきみたいにチョコを挟むのかなり癖になったわ......ほらおいで、まだ持ってるんでしょ?」
「んっ。ぁ、ある、はむっ。ん~!」
「ちゅっ」
また口にチョコを含んで。
ベッドの上で座るえーなの正面で膝立ちして、また口移しのチョコレートをする。
癖になる感じ、一緒にチョコを楽しめるしえーなの唾液もえーなの舌も楽しめる。一石一杯。
こうしてゆったりとした夜の時間が始まった。
えいねあ万歳!てーこく万歳!今日はバレンタインデー!
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