第35話 ついに?ついに?ふへへ
――――ウェディングドレス。
「んぇ?」
「ふふっ、いきなりごめんなさいね? でも誰も居なくて、美しい所でやりたかったの」
んぇ?
えーながとても真剣な瞳でこちらを見ながら話し始めた。
「んもぉそんな真ん丸瞳になっちゃって――――音亜ちゃん」
ぎゅっ....
「ずっとこの世界に来てから作ってたものがあるのよ」
私はえーなに腰を片手で引かれて密着した。
えーなも気づけばウェディングドレス着てる。着てるぅぅ。
「これは私の神力だけを練りに練って練り続けた物」
えーなが取り出したのは、指輪。
水色の指輪の台座にはダイヤカットされた深海のような宝石。
サファイアよりも奥が暗く濃い色をしている。
その反面表面は透き通った色をしていてまさに深海。
「次にこれが台座に何も嵌められていない指輪」
次に取り出したのが赤色の指輪。
説明通り台座に何も嵌められていない未完成品。
「音亜ちゃん。音亜ちゃんの神力を結晶にして欲しいの。そしてこれに嵌めたい。だから、お願い」
「んっ、つくるっ」
ここまで着て明言されていないけど、どういった事かはわかる。
もうずっと心は踊りっぱなし。疑う必要ないもん。
ありったけの想いを込めて結晶を作る。
えーなとの出会い。好きになるまでの過程。好きになってからの思い出。異世界に来てからの記憶。すべてを刹那に回想。
自分の存在としてのスペックを最大限使用して作り上げる。
強い”おもい”は事象へ干渉される。
えーな以外の存在は等しい存在。だからこそえーなは唯一特別な存在。
そんなえーなの為に、私は魔法を手にした。ただ守られるだけでも与えられるだけでもない存在になりたいが為に。
私はえーなに関係したこと以外は冷静である。
それは単純に思考速度や重要度の問題であったりする。
だからこそ私は次元の歪みで死ぬ前に強く、激しく、”世界”に干渉するほど強くおもった。
――――死なせはしない、私達は生きる。
次元の歪みで死んだらそもそも歪みに魂が潰されるはずだった。
だが刹那の間に強い思いで魂へ魔法をかけた。言霊と言う魔法を。
だから分かる。強い意思には、強い思いには事象へと干渉する能力がある事を。
神力を練る、想いを混ぜる、神力を足す、想いを強く念じる、極限の願望。
――――私達の邪魔をさせない。たとえ”世界”であっても
ピキ
――――たとえ歪みであっても。
パキッ
――――邪魔は出来ない
≪[ーー] ーーーーー レアリティ:ーー 品質:ーー
ーーーーー
ーーーーー
ーーーーー≫
[誓約] 永遠を貴方と共に レアリティ:ーー 品質:ーー
永遠にえーなと共に。私が守り、守られる。楽しみ、楽しむ。
私達を別つことは出来ない。存在抹消と言う概念は存在しない。
「・・・ん、出来た」
「はぁはぁ、ふふっ、想いが流れ込んできたわよ?悶え死んでしまうわ」
「死なせない」
「えぇ死なないわ。私がネアちゃんを守って、音亜ちゃんを私が守ってるもの」
「ん」
指輪を受け取り作った物を指輪の台座に嵌めた。
私もダイヤカットに、溶岩の様に濃い、血の様に濃い。
ルビーと違った美しさのある宝石を作った。
「音亜ちゃん。健やかなるときも、病めるときも、富めるときも、貧しいときも、貴方を愛し、貴方を敬い、貴方を慰め、貴方を救い、永遠の時を、深く重く果ての無い愛を音亜ちゃんへ向けて愛することを誓うわ」
この時がついに来たと、万年の思いを噴火させるように、誓いの言葉をえーなが告げた。
私も応えるよ。
「えーな。健やかなるときも、病めるときも、富めるときも、貧しいときも、貴方を愛し、貴方を敬い、貴方を慰め、貴方を救い、終わりなき生を、えーなと共に生きてどんな形の愛でも受け止めて愛する事を誓う」
終わりなんてない生を、えーなとならずっとどこまでも。
「ん」
私が先に左手を出した。
この時ばかりは死んでる表情筋も生き返ってるよ。
「はい」
えーなはゆっくりと、一度しか体験しないこの時を噛み締めるように、私の左薬指に指輪を嵌めた。
ぅ、ぅうまだ、まだないちゃだめっ。
「ほら、嵌めて頂戴な?」
次にえーなが左手を出した。
「んっ・・・嵌めたっ」
私はずっと待っていたこの時を、地球の時じゃ出来なかったこれを。
震える手でしっかりとえーなの指に指輪を嵌めた。
「んぅっ」
「......ちゅっ」
泣きながらキスなんて......こういう時こそ冷静に噛みしめたいのにっ! えーなと一緒に居ると頭のキャパシティがほぼえーなに使われちゃうから駄目なの!
「ふふっ、すごくいい気分ね......音亜ちゃんの薬指に私の作った指輪が嵌められてるのを見ると滾っちゃうわ」
えーなが私の左薬指と指輪を愛おしそうに見て撫でている。
くすぐったい! なんても思っているといきなり私をお姫様抱っこしてえーなが玉座へと座った。
「音亜ちゃん。そのドレスもプレゼントだけどこっちの服も受け取って欲しいわ。こっちは普段使いしてくれればいいから」
えーなの膝の上で横向きに座っている私に、えーなが黒いドレスをアイテムボックスから取り出した。
「これは動きやすくて露出も少なめのドレス。気に入るはずよ」
えーなが取り出した黒いドレスは、所謂ゴシックドレスで、黒と白のコントラストが良く映えて、黒色のレースのフリフリがとても可愛い。
まず肌の露出部分が首と手首以降と太ももより下になってる。鎖骨辺りからスカートの縁までレースとフリルがあしらわれていて良き。
それに羽織もあるみたいで、短いスカートを覆う様に長いコートで前の所だけ短い。これを羽織るとドレスから軍服っぽくなる。トレンチコートっぽいデザインで肩にはそれっぽい階級みたいなやつが編み込まれている。後コートに合いそうな軍帽も。
靴は膝下まである編み込みブーツで、黒色のニーソ白色レース着きがある。
こういった軍服のカッコよさとドレスの可愛さをすぐに切り替えられるの凄い!
「・・・かわいいしかっこいい!」
「ウェディングドレスが名残惜しいけれど早速着てみて欲しいわね」
「ん!」
周りを認識阻害の結界を張って、えーなから降りて着替えてみる。
結構着るの大変・・・? それでも四苦八苦しながらちゃんと一人で着替えられた。
「あぁ可愛いわ! 音亜ちゃんの白い肌、白い髪がこれでもかと強調させる黒いドレス。そして無駄な露出が無いのに体のラインの出る上半身は劣情を誘ってしまうわね! それに黒と白の単色の見た目に二つ光る赤い瞳が何か引きずり込まれそうな妖しさを醸し出して、ドレスの雰囲気が瞳の色にマッチしてるわね。何より編み込みブーツにニーソ、そして膝上15㎝ぐらいのスカートで作られる絶対領域は目が引かれるわ。コートも着てみてくれるかしら?」
「んっ」
すごい、すごい恥ずかしいけど嬉しい。でも私もそう思っちゃうよね、このドレスは私のアルビノカラーによく合う。
それにフリフリいっぱいで可愛いもんね! 胸もパツパツだけど見た目と違って意外と締め付けが無くて楽だし。
なんてことを思いながらコートを羽織ってみる。
うん、丈も膝裏のちょこっとしたまで長くて前の方だけ空いていて左右と後ろだけカバーされてる。
これが結構膝の動きを阻害しないから動きやすい。
袖も折り返しが一度されていて、長さ的にはちょこっと手のひらに被るぐらいの長さだ。
見た感じヨーロッパの39年~45年に存在した一番かっこいい軍服をイメージしてる感じだね。
「あー我ながら音亜ちゃんのドレスアップスキルが神ね。元の世界に存在した軍のデザインを少し借りたけれどやはりかっこいいわね。コートに着いた装飾と軍帽を見れば威圧感が強まって、音亜ちゃんちょっと偉そうな感じにしてみてくれるかしら?」
「・・・偉そう? やってみる」
えーなからなかなか無茶ぶり。偉そうってなんだろう。
とりあえず玉座を開けてもらって私が座る。
ゆったりと座って、左肘を肘掛けに縦おき頬杖にする。
右腕も肘掛けにリラックスするように伸ばして置く。
いつもは怠そうで眠そうなジト目を、目線を送られると睨まれている様なハイパージト目へと昇華させて右手の指を立てて爪でカツ、カツと音を鳴らしてみる。
少し顔を上げて見下ろすようにして、蔑んでいる様にも見える目線でえーなを見て言葉を出す。
「・・・で?」
や、やっぱ恥ずかしいよこれ・・・
恥ずかしがっているとえーなの体に電撃が走った様にビクッ! となり、キラキラした瞳になった。
「ね、音亜様・・・」
「え、えーな?」
なんか目覚めさせてしまった・・・?
「あっ、ん゛ん゛っ! まあそうね。偉そうにしてる姿がマッチしすぎて最高ね。そして音亜ちゃん! その服に合う素敵なプレゼントがあるわ。指輪の宝石に神力を籠めてみて」
「わかった」
きっと鑑定すればどういった事が起きるか分かるけど、折角だから初見でやってみよう。
この愛しき結婚指輪に私の神力を籠める。
青色の宝石に私の魔力、そして神力の赤色が混じり指輪が白く発光した。
すると――――
「――――っ! これは、銃・・・?」
発光が収まったら、私の目の前に白赤のリボルバーが出てきて浮遊し始めた。
「そうよ。指輪に銃へと変形する機構を組み込んでおいたの。音亜ちゃんはいつも銃を携帯していたでしょ? ずっと指輪とか銃とかどうやって作ろうと考えていたのだけど、音亜ちゃんならこういうの好きだと思ってね。もう一度神力を入れてみて」
私は地球に居た頃、自宅で襲撃を受けて以降整備が楽なリボルバーを携帯していた。違法だけどもバレなきゃ合法だから。基本家出てないし。
それでえーなは私にリボルバーを作ってくれたみたい。
指輪が銃になるとかロマン凄くないか・・・? 良き理解者が居て嬉しい。
そしてリボルバーを手に取り実際に神力を込めてみた。そうしたら次はリボルバー全体が発光して姿を変えた。
「・・・ライフル銃だ」
「えぇ、魔法があるとは言えこの世界は広いでしょ?もし魔法の効果が遮るような相手が来たら物理を行使できるようにしておきたかったのよ。だから魔力変形ではなく神力変形にしたのよね」
次に出てきたのは黒青のライフル銃。スコープも付いてる。
「変形の形態指定したい時は頭の中でイメージしながら神力を籠めればその形態になるわ」
「すごい凝ってる・・・本当にありがとえーな」
「えぇよかったわ。弾薬に関しては音亜ちゃんに任せるわ。私じゃ普通に作っちゃいそうだし」
「・・・んっ、分かった」
神力を籠めて指輪の形態にしたら目の前に浮遊して出るわけでもなく、ちゃんと左薬指に嵌められた状態で出てきてくれた。
ふふっ! こんなロマンにロマンを足した指輪作ってくれるなんて本当に私の考えることを超えるなぁ。
私はただおもいを籠めて宝石を作っただけだったけど・・・また何処かでお返ししたいな。
ちなみに鑑定もしておこう。
[武器] エーデル・フラウ レアリティ:Go 品質:Go
エイナ・ガルドの手で創られた指輪型の神器。
指輪状態から銃形態に変形が可能であり、二種類ある。指輪に嵌められた神結晶に神力を注入する事によって変形する。
<エーデル/F>
黒を基調とした銃身に、金属部分は気品を感じさせるネイビーブルーとなっており、スナイパースコープは1~50倍まで可変可能。
銃に貴族のような気品さを付け足したようなカラーデザインとなっている。モデルはカラビーナ。撃針に神結晶がある。
弾の規格は12.7x52mm仕様。
<フラウ/E《>
白を基調とした銃身に、バレルやシリンダーに赤色で薔薇のデザインが彩られている。グリップに神結晶がある。
純白に花を添えた美しいデザイン。モデルはM29のロングバレル。
弾の規格は44マグナム仕様。
おお! 今までの中で最長だよこの説明。凝ってるのが良く分かるね! そうだなぁ銃に合わせた弾薬か、一応弾薬の大きさは表記してくれてるから合わせて考えてみよう。
エーデルちゃんはスナイパーで弾自体がおっきいから、硬かったり大きい敵を一撃で仕留める使い方がいいかな。
弱点を狙うのは私の腕として、撃ち抜くなら徹甲弾? 貫通力の強い弾がいいね。
「えーな。試しに弾作ってみて良い?」
「いいわよ~ゆっくり考えてみるといいわ」
「ん、ありがと」
えーなが玉座に座って、私がまたえーなの膝上で横向きに座る。
そして私は弾薬を作ってみる!
「えーなはミスリル合金持ってる?」
「ん? 持ってるわよ」
「ちょっと欲しい。私がアイテムボックスで保管してるやつ全部変質してるから」
「えぇ分かったわ」
今度あれだね。変質しないように別のポーチみたいな奴作っておこう。
もらったミスリル合金に魔力を籠めて形状を変化させていく。
12.7mmの大きさの弾頭を作って、弾頭には風属性魔術式を組み込んで空気抵抗を抑えるようにする。
そして弾頭に合わせて魔力を固定化して薬莢を作る。
薬莢の雷管の部分に、強い衝撃が来たら薬莢内で指向性の爆発を起こす火属性魔術式を組み込む。
[道具] エーデル徹甲弾 レアリティ:Le 品質:Le
<エーデル/F>専用弾薬。
薬莢は魔力で出来ており、の雷管部分に火属性魔術の起爆術式が組み込まれており、撃鉄が当たると薬莢内で爆発が起こる。
ミスリル合金を次元圧縮した弾頭の徹甲弾となっており、風属性魔術が組み込まれ空気抵抗を極限まで減らしている。
よし出来た! 恐らくこれで射程距離、貫徹力両方とも高くなっていると思う。試射はお昼ご飯食べたらにしよう。
次にリボルバーの弾だ。
リボルバーと言えば近距離で使うのをイメージするし、硬い敵と言うより精々鎧を着た人型の敵を相手にする程度だろうから、単純にダメージの高い弾を作ろう。
確かネシスインゴットぐらいはあったね。
まだ変質してないのもいくつかあるから取り出して、弾頭の形にしていく。
ここからだ、弾頭には魔法陣でも魔術式でもなく、魔法の理に干渉出来る神力を持たせよう。
ただひだすらイメージで作るんだけど、まず神力をネシスインゴットに籠めながら生物の体内魔力に触れると魔力に痛覚を模倣させる。これは私が今までに受けた痛覚を模倣してる。
そして理に干渉してる故に、弾頭が持たずに自壊するようになってるはず。
後はさっきと同じく、弾頭に合わせて薬莢を作って、完成! 魔力で出来たスピードローダーもあるから装填も楽!
[道具] フラウ痛覚増幅弾 レアリティ:Go 品質:Le
<フラウ/E《>専用弾薬
薬莢は魔力で出来ており、の雷管部分に火属性魔術の起爆術式が組み込まれている。撃鉄が当たると薬莢内で爆発が起こる。
弾頭はネシスインゴットを元に作られており、魔力を持つ生物の体内魔力に弾頭が触れると、体を循環している魔力に痛覚を模倣させ、その後自壊する。
よしよし! これで問題なく発射されればいいね。
いやぁ・・・変形機構に魔力を利用した弾薬、ロマンがいっぱいだよ!
魔法を使えばいいとは思うけど、銃を持って安心感を得ていた私からすると魔法も銃も両方使っていく。
「えーな、出来たよ」
「そうみたいね。試射はお昼ご飯の後にしましょう?」
「んっもうそんな時間?」
「えぇそうよ」
もう経ってたのか・・・やっぱり物を作ると時間が早くなるね。
「それじゃお昼ご飯を食べに行きましょ。そしてお披露目しましょうね」
「んっ!」
フィリア帝国万歳!エイネア万歳!ふはは!結婚だ!やったぜ!
結婚だ!祝え!ついに結婚したぞ!
盛大に祝わずひっそりと、二人だけで雰囲気と状況を嚙みしめるのです。私的にはそっちの方が愛を誓いあってるという感じがします。
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