第19話 調査依頼
冒険者ギルドの依頼ボードとか群がりすぎてしんどそうだよね
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「んぅ・・・あさぁ?」
ぐっすり寝ちゃったねぇ。
「そうよ~」
「ん、えーなはずっと起きてたの?」
「そうよ~」
「あ、そっか疲れないんだもんね私はすぐ眠くなっちゃうからねぇ・・・」
「神は問題ないって言ってたし難しいわねぇ今度一度調べてみるわね」
「ん、分かったそれじゃ食堂で朝食食べてギルド行って依頼見に行こうか」
「おっけ~」
王都ではどんな依頼があるのかな?面白そうな依頼を受けたいしお金もそれなりに稼ぎたい所だね。お金は後回しでいいけど。
「咲さんおはようございます~」
「おはよう」
「あっ永那さん音亜さんおはようございます。朝食食べて行かれますか?」
「お願いするわ」
「承りました。すぐお持ちしますので少々お待ちください」
「は~い」
この旅館の食堂は静かでいいねぇ~そもそもそこまで人が多くないって言うのがあるけどね。王都だし長期滞在する人も貸家とかだろうしね。
ちなみにこの旅館の規模だけどあまり大きくは無く、梅が4部屋、竹が3部屋、松が1部屋と部屋数は多くないから基本的に混雑はしないけれど偶に食堂だけ利用する人が来るらしい。だから最初泊りか聞いてきたのかな。
「お待たせしました。白身魚と味噌汁に漬物と白米ですよ~」
「おぉぉ~日本食だ~大豆と白米あったんだね」
「いいわねぇここ来てからTHE日本食を食べてなかったから嬉しいわ」
味噌汁の香りを嗅ぐといっぱい唾液が生成されるねぇ、さて早速味噌汁をば。
ズズッ!
「んんんん~至福だ無限に味噌汁が胃の中に入りそう」
「わかるわぁ~染み渡るわねぇ・・・」
「久しぶりに飲む味噌汁って深く刺さりますよね、私も作り上げた時もう舞い上がっちゃいましたよ」
「作るのも根気よくやらないといけないから大変だったでしょ、よくやったわ!」
「ありがとうございます。ここの人にはあまり馴染めないみたいであまり作ってないので、直接売ったりは出来ませんがうちの料理で楽しんで頂ければと」
「えぇこれから頼むわ」
えーなと咲さんが話している間にバクバク食べてたらもうなくなっちゃった・・・
漬物も美味しいし白身魚も醤油が効いていて最高だし今日の依頼もしっかりとやれそうだね。夜ご飯も楽しみだね。
「ご馳走様。美味しかった夜も楽しみにしてる」
「ありがとうございます。夜も楽しみにしていてください。依頼頑張ってくださいね」
「ん、それじゃ」
こうして私達は久しぶりの和食を胃に入れギルドへ向かった。
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はい、という事でやってまいりました冒険者ギルドです。
早朝のラッシュ時から少し遅れた時間帯だから人が少なくてスムーズに進めて良いね。人が多いと場合によっては依頼ボード前でぎゅうぎゅう詰めになったりするから嫌なんだよね。
「まぁ案の定塩漬けされた依頼ぐらいしか残ってないわね」
「そっちの方が面白い説」
「まぁあるわねこれとかどうかしら?」
えーなが見せてきたのは調査依頼で内容は....『王都北東の森の調査』とだけで、依頼でこの説明の内容の無さに加えて誰も受注していない....受付嬢に聞いてから受注してみようか面白そうだし。
「それじゃ受付に行って聞いてみるわね....ねぇ貴方この依頼について色々聞きたいのだけれど」
「え、あ、はい!この依頼ですね。この依頼は受注者が不明で受注後冒険者が戻ってこないなどの問題が発生している反面、報酬がとても高い為置かれたままという状態ですね。加えてこの森には強い魔物が居るので隠密と臨機応変さが求められるので人気がないんですよね」
「生存率が低く報酬が高く、報酬は先に渡されてるから依頼は取り下げられないと。面白そうねぇ」
「ん、受ける」
「あ、あのこの依頼はランクB以上からなのですが・・・」
「私達もランクBよ。受注規定には満たしているから良いわよね?」
「すっすみません!では受注登録するので、この水晶にお二方の手をのせてください」
生体認証だから楽でいいねぇ・・・ただ水晶がないと証明できないとかあるけど、教会が結構供給してるみたいだから大丈夫なのかな?そもそも別にランク云々トラブルはどうでもいいしね。
最悪しつこすぎるなら消せばいいし。そもそも神に逆らう事がわるいのだー
「はい、受注完了しました。では幸運を!」
「は~い」
「ん」
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王都北東に位置する森は木々が高く葉も濃密なためとても暗い為、魔法などで高原を確保しなければならない。
だがこの森は魔物の数こそ少ないが、光源を付けると数少ない魔物がやってくる・・・なぜ少ないかは明白だろう。この森の中にいる魔物は━━
「あーよぉーしよしよしよし!いい子だねぇ~」
「音亜ちゃんは動物に好かれるわねぇ」
「もふもふは正義。フェンリルをこの目で見れるのはとてもうれしい」
「確かに~フェンリルって大きいのね~3メートルぐらいあるのかしら?」
「だね~」
なぜ私がモフモフしているかというと森の中に入った時、遠吠えが聞こえてきて興味本位で向かったら大量の人型魔物に襲われている所を見つけたから助けたって感じ。子供を必死に守っていたからかなりの傷を負っていたけど私が魔法で傷口を再生させたから何とか大丈夫になったよ。
ちなみに母と子供の匹しかいなかったから番はやられちゃったのかな?残念だね。
「にしても物凄く強く理性的な魔物と聞いていたけど、どうしてここまで追い詰められたんだろう?」
「依頼が関係してそうねぇもう少し奥を見てみましょうか?」
「えーなえーな、このフェンリル家に持ち帰るよ」
「ん?そうね音亜ちゃんが欲しいならテレポートで家に送っておきましょう」
「フェンリル親子もそれでいい?」
「わふっ!」
私が訪ねてみると手に頭を擦り付けてお座りした。大きいから私が押されるような感じになるのは仕方ないね。
「それじゃ家に送るけど周りに魔族さん達がいるかもだからその時にこの紙を渡してね」
「わふっ!」
「それじゃ≪テレポート≫」
よし、これでいいね。魔族さん達がびっくりしちゃうかもだけど大丈夫でしょフェンリルだし。
「それじゃ音亜ちゃん探索続けるわよ~とりあえず奥に行ってみましょう」
「ん~い」
さてさてさっき集まってきていた魔物についてたけど、さっきも言った通り大体が人型でゾンビさんとか、合成獣とかとかSTA〇S絶対殺すマンな人型も居たしね。
ちなみにみんなケモ耳付き。誰に需要あるんだー!という話でもなく要するに帝国の実験対象を利用した攻撃だろうねこれ。研究結果を破棄するついでに相手の戦力を削いでやるぜーって感じ。
「う~ん特に何もないわね」
「ん、感知魔術にも何も引っかからないからさっきので全部?でも多分また来る」
「そうなの?」
「うん。魔物皆ケモ耳亜人とキメラ、だから帝国の被害者たちで今も生み出され続けてると思う」
「うっわ胸糞悪いわねそれ・・・」
「とりあえず報告に戻る?」
「そうね~なんか気分悪くなっちゃうから今日はもう終わりにしてデートに行かない?王都ならまた違った物も売ってるだろうし」
「ん、おっけー」
発見ポイント周辺には何も感じないし、もう調査した結果を報告しよう。
別に私はどうでもよかったから良いけど、えーなにとっては悲惨な実験の対象を殺してしまうという何ともやるせない気持ちになってしまう結果になったしね・・・
ん?えーなに対して精神的攻撃を行った・・・?いや今はえーなとデートして気持ちを癒してあげなきゃ問題はそれからにしよう。
「ん・・・?」
「どうしたの?」
「人いるね、あそこ。ちょっと隠れて盗み聞ぎしようよ」
「おっ良いわねそれ調査してるって感じるわ」
冒険者ギルドへ向かっている途中の森で男二人がひそひそお話しておるわ。
「━しな・・・」
「あぁだな。所でお前の持ってきた”廃棄物”はどうなった?」
「あぁそれなら処理されたぞ、フェンリルと戦っている時に女二人が来てなそいつらが殲滅したよ。」
「女二人・・・?」
ん?私らの事だしあの聞き返してる方、昨日私達に絡んできたやつじゃん。こりゃ黒だねぇ~という事で現行犯逮捕。
「<ロックバインド>」
「「なっ!?」」
「ん昨日ぶり」
「おっおまえはっ!?くっそ解放しやがれ!!」
「ダメ、えーな直接記憶読み取るのと尋問するのと拷問するのどれがいいかな?」
「片方が情報を吐いたら、吐かなかった方を処刑にしましょう」
「だね」
「という事で、話して?」
「ちょっちょっおい話を聞けって!くっそ俺はなんも知らねえぞ!?」
「あぁ俺もこいつと雑談していただけだ、とりあえず話してくれないか?」
「お~えーな見てよ答えないよ!」
「そうねぇあっちだと結構顔割れてるからすぐ吐いてたのに遊び甲斐があるわね」
「んじゃ質問に答えなかったので罰則を与えるよ、そいっ!」
「「っ!んぎゃぁっ!」」
「ハモるね、右手無くなっただけだよ?まぁこの世界なら落ちてる手があれば治せるから良いよね?」
「ひっひぃ!」
「うぐぅ・・・くっそ・・・わっわかった話す。俺は帝国の諜報部なんだ、俺を殺さないなら話す!だから頼む!国には家族がいるんだ・・・!」
「おっけ。んじゃ即決裁判所開廷!そこの冒険者!とりあえず死刑!」
スパッ
「ぃ」
「即決裁判所閉廷!それじゃ話してね?」
「あぁくっそ!女二人してこんなあっさり人殺しちまう所見るなんて思わなかったぞ。それじゃ話す話すから帝国に居る家族も保護して欲しいんだ。じゃないと俺話さない」
「あら上手ねぇ片割れを殺させて、殺されない状況を作ってから話せる人を自分だけにして譲歩させると。音亜ちゃんどうする?」
「ん~、んじゃ質問。この人生で何人殺した?諜報活動で間接的に人を害した?」
「こ、殺したことはない!諜報活動で情報やらで殺したことはあるかもしれないが・・・」
こいつ殺したことないって嘘ついたね、それじゃ要求が通ると思っている稚拙な脳みそを持ったこいつに本当の拷問を始めようか。
「嘘ついたね?よし信用できないと裁定。≪テレポート≫」
「チッ話すわけねえだろさっさと殺しなっ・・・っ?!」
「こっここは?あなた!?一体どうしたの!?」
「≪ロックバインド≫」
「きゃぁ!」
「アンナっ!」
「はい。もうやることわかるよね?話してくれるかな?」
「放しなさいよ!!!何よあんた!!」
「んどうも。私は亜人とお友達なんだ」
「亜人と友達ぃ!?ふっんじゃあんたもあのゴミ共と一緒ね!」
おぅおぅ遠慮なく使える人来たわ。
「黙って。それじゃ君答えてくれたら二人を”解放”する。答えなかったらまずは奥さんのお目目片方くりぬく」
「あぁくっそくそそくそくそっ!!!分かった話す!!!」
ん~簡単。
とりあえずこいつが吐いた内容としてはおおむね予想通りな感じだね。
『奴隷適性なしの亜人をキメラ実験し、それにも適性の無いやつはアンデッドにして駒にする。そして王国に定期的に攻撃を行い”亜人”のアンデッドが攻撃してきているという事実を利用し亜人嫌悪を増幅させる』という計画らしい。
「ふふっ意外と早く吐いたね。それじゃ解放するよ命も奪わないからね。それじゃあね」
さて私達は帰りますか・・・大量のウルフやらに囲まれない様にね。
「≪テレポート≫」
* * *
* *
*
さて王都内に直接手テレポートして冒険者ギルドまで戻ってきたよ。これから報告だね。
「こんにちは、調査依頼の達成報告と詳細の報告をしたいのだけど」
「あっはい!えーっと北東の森の調査依頼ですね。ギルドマスターに直接の報告お願いします」
「わかったわ。ギルマスの部屋は何処にあるの?」
「こちらの階段を上って頂ければすぐわかると思いますので」
「わかったわ~」
ここかな?執務室って書いてあるから多分これでしょ。
コンコンッ
「入っていいぞ~」
「お邪魔するわね~」
ガチャ
「ん?お前らは?」
「調査依頼を受けて北東の森を調査してきたからその報告よ。貴方がここのギルドマスター?」
「あぁそうだ、それじゃそこに座ってくれ早速報告を聞こうか」
「わかったわ。まず森に入ってから━━」
入ってから人型の魔物とそれらを討伐した事、フェンリルが襲われていた事、フェンリルから逃げた先で人が居て盗み聞ぎした結果『魔物を送った』云々話していた事、人型魔物の特徴は全部が元亜人である可能性の考察について話した。
ある程度は報告を伏せたりしてるけどこんなものでいいでしょ。
「っ・・・となるとかなり大ごとだな・・・」
「依頼元が不明って聞いてるのだけれど大丈夫なのかしら?」
「ん?受付でも言われてると思うが金はもうあるから報酬は気にするな」
「そう、まぁとりあえず報告通りだから。あぁちなみに途中で見つけた人は片方は恐らく帝国の人で、もう片方は冒険者ね。先日ギルドに来た時絡んできた人に似ていたからね」
「そうかわかった。これが達成証明だ、受付に持って行けば報酬がもらえるから渡すんだ」
「わかったわ~それじゃ失礼するわねぇ~」
「あぁ・・・」
報告を聞いてから焦燥感漂わせてたねぇ~こりゃこの国で一波乱起きるのは間違いないね。
それじゃ依頼金受け取ってデートに行くかぁ!
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