後半・■界に来たよ。
※2023/08/09 加筆修正済み
「っ!?」
「ん......」
意識灯った瞬間、自分の周りへと目を向ける。
周りを見渡すと、ギリシャ神殿のような建物の中のみたいで、壁や柱には見て理解出来ない様な、矮小で壮大であると意識に訴えてくるような、未知を既知にして脳みそに叩きつけてくる、表現し難い景観が広がっている。
そして目の前に頭を下げている人がいる。
「あの......」
「すみませんッ! いきなり言われて理解しろとは言いません。でも事実を告げます、お二人は世界に発生する歪みで死亡しました」
真っ白な人形が頭を下げながら、さっき私達の身に起きた事実を告げた。
死んだ、死後の世界。
............ふぅん?
「なっ」
「ん、えーな。上位存在のせいで死んだって事、だとおもう」
「はい、その通りです」
「っ......」
「えーな」
整然と何ら変わらないえーなを抱きしめて、混乱してるだろうけど私からも事実を告げる。
えーなは頭が良くて、かっこよくて、人を動かすのが上手で、かわいくて、運動神経もいいし美しい。
でも私と違って咄嗟に、重い未知を理解して既知に変える事は出来ないから、混乱してしまってる。
だから正面から抱きしめて、肩に手を回せば自然と腰を下げるえーな。
その下がった顔......耳に囁く。
「まかせて」
「......わかったわ(音亜ちゃんのゾクゾクするダウナーボイスに少し落ち着いたわ。いや寧ろちょっと興奮してるまである)」
私は地頭が良かった。
劣悪な環境でもなんとか割り切れていた。
でも中途半端に縛られなかった故に、普通の環境を知ってしまった。
幼い頃から本気で逃げて隠れて生きて......でも親から離れられずに、限界環境で己を磨き続けた。
そんな私がこの程度で冷静さを欠くわけない。
えーなの為なら尚更ッ!
「っ、先に申し上げます。私達の不手際で起こった事、地球でも異世界でも望む形で生を与えられます」
「先にって事は他に何が?」
駆け足気味な説明に疑問を持ち、私は訝しげに問う。
こんな言い方して、出した選択肢だけで終わらせる訳ない。
眼の前に居るモノの感情や思考に善悪を感じない......ただ作為は感じる。
「伝えた通り、可能な限り要望に答えます。ですがこちらに魂が送られる時に解析された情報には......お二人には神に至る才、神格適合者としての資質を確認しました。そこでお二人にぜひ神としての選択肢を、と」
「......神、何をさせたいの」
前者の選択肢はきっとチート転生モノなんだろうけど、神ときたら......作為も感じる。
面倒事は嫌いだ、それもえーなとの時間を潰してまで来る面倒事は、特に。
「簡単に言えば、存在してほしい。細かく言うなら......複数ある世界の内、一つの世界を管理してほしいのです。管理できる神、管理神が存在しない世界は人為的に起こされる歪みに対応できず、歪みから世界が崩壊してしまう。世界が滅ぶだけならソレでいいのですが、他の世界にも影響は起きる」
言い草からして、私達には管理神としての価値、格があるってことなのかな。
「聞かせて、その選択肢は私達を別つ?」
「いえ、とんでもない。お二人で存在さえしていればそれで良いのです」
......私達が別たれないなら、なんだって良い。
聞くことだけは聞いて、前者と後者を選ぼう......えーななら私の選択肢を信じてくれる。
「わかりやすく、メリットとデメリット」
「長くなりますが......」
伝えられたデメリットで、目立ったものはこの二つ。
一つ、神格を得るには人の身を捨て、神力を使った精神生命体に成る。
二つ、神格を覚醒させたら、管理世界に発生する次元の歪みに対応する。
そもそも神の身でも、歪みは滅多に起きない事らしい。
だからこそ気をつけないといけないみたいだけど。
次にメリットだけど、こっちのメリットは前者の望む転生では得られないそうだ。
一つ、神格を得て、神格に合った権能を行使できる。
二つ、神力を元にした身体になり、身体を自由にイジれる様になるし、寿命が存在しない。
三つ、世界の権利。
歪みさえどうにかすれば、何をしても良い箱庭を寿命無しで、愛しい人と共に遊んで生きていける。
そう、愛しい人と、永久の時を......
「......んふっ、んふふふっ、ずっと、ずっといっしょ。なら――――」
「音亜ちゃんと分たれない時を......? そんなのっ――――」
「「――――なるに決まってる」」
2人と一緒に、ずっと一緒に居られるなら、神にでも邪神にでもなる。
それで敵が出来たって良い、ソレがたとえ神でも、遥か上位存在でも。
あ、因みに目の前にいる人形は創造神らしいよ。
『......では身体の生成と神格の選定を始めるよ』
≪水無月音亜の作業を始めます≫
≪人種から現人神への進化を始めます≫
≪体の記録を解析.....≫
≪体を神力から再生成中.....≫
≪生 --成 完f了 ...≫
≪神格の選定を開始します.....≫
≪個体の肉体的行動評価中.....≫
≪個体の思考パターン評価中.....≫
≪カルマを評価中.....≫
≪■と■の■■神≫
«......■■神?»
≪現在の体ではf可。再検索します≫
≪■定と魔法の■■神≫
≪.....現在の体では適合不可。再検索します......≫
≪魔法の女神≫
≪適合しました≫
≪称号の授与を行います≫
≪最高神の領域を侵す者≫
≪魔法の女神≫
≪文月永那の作業を始めます≫
≪人種から現人神への進化を始めます≫
≪体の記録を解析.....≫
≪体を神力から再生成中.....≫
≪生成完了≫
≪神格の選定を開始します≫
≪個体の肉体的行動評価中.....≫
≪個体の思考パターン評価中.....≫
≪カルマを評価中.....≫
≪■と■の■■神≫
≪......??? ■■神......≫
≪.....不可。再検索します≫
≪守護と■作の女神≫
≪.....現在の体では適合不可。再検索します......≫
≪守護の女神≫
≪取得しました≫
≪称号の授与を行います≫
≪創造神の領域を侵す者≫
≪守護の女神≫
身体が......感覚が不思議な......よくわかんないけど、完璧に身体を使えるようになった、そう感じる。
精神生命体に変わったってことなんだろうけど、今この時、しっかりと肉体がある。
でも身体すべて、表面全体や内臓でさえ指先の様に操れるって解る。
「はぁ、はぁ、無事終えたみたいですね(成り立てじゃありえない力だ、やはり......)」
「ふーっ......ふーッ......音亜ちゃん、つぎこそ、まもるわ」
「ん、えーな、私が支える。だからいっぱい私を支えて」
「ッッッ......」
神力に感情が乗って、鮮やかな青いオーラが奔流となって神殿を侵す。
高ぶったえーなに抱きつくと、びっくりした表情と共にオーラも感情も落ち着いて行くのが見える。
きっと過去の事とか、色々なことが巡って不安定になっちゃってたんだろう。
この歪みのことでさえ、きっと気に病んでるから。
「大好き、好き、だいだい大好き。気に病む時間も、甘やかす時間にして、終わりなき時間、それでも足りない、でしょ?」
「えぇそう、そうよっ。そのとおりだわっ......大好き、愛しているわ......」
「えーな......♡」
「音亜ちゃん......♡」
好きが溢れてくるっ、病んでる気持ちも伝えてくれる愛情も、全然......好きで愛してる......♡
「ん゛ん゛っ、本当に、いや本当に邪魔して申し訳ないんだけど、ここじゃなくてあげる世界でシてもらってもいいかい......? この空間に居ると良からぬことが起きそうだ」
「それもそうね」
「んっ、無限とはいえ、流れる時間を最大限に、楽しめるようにだね」
創造神が居るの忘れてた、言われた通りもらう世界でしっぽり楽しめる様に、さっさと行っちゃったほうが良いね。
「最後に、なにか質問とかあるかい?」
「ん、特にない。未知は旅の醍醐味」
「ほぉもらった世界で旅か......良い目的だね。永那さんは?」
「私も特にないわね。必要なら私がどうにかするわ」
「いい心がけだ。では、これからはお二人で好きなように......世界の事を頼んだよ。イルミナ世界をよろしくね」
ちょっとフランクになった創造神が強く光を放ち、視界が真っ白になっていく。
さぁ......地球とは別の世界。
どれぐらい楽しめるかな。
「んっ」
「もちろん」
光に包まれ、私達は新たな世界へと旅立った。
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