表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神適合者の異世界侵行  作者: 水無月鷹野
第二節 冒険者、独占欲、玩具
15/96

第13話 ご飯食べてお買い物デート!

主人公お互い気づいていますけどデートなんて言っても毎日がデートみたいなものなので、”デートに行く”という形式が大事なんですよね。


※2021/11/22 整合性が取れてない所とか文脈とか、一部加筆などの修正

※2022/04/12 改稿


 私達は今、街の中でお高めの料理店に来ている。

 この建物は元々貴族の屋敷だったそうだ。

 ただ、政情の変化により貴族が手放した所で、商会が買い上げて料理店になったそう。


「いらっしゃいませ、2名様でよろしいでしょうか?」

「えぇ」

「テーブル席、バルコニー席、個室があります。料金表はこちらになります」


 小綺麗な店員から手渡されたのは、各席の料金表。

 テーブル席は無料、バルコニー席は1,000イル、個室は10,000イルみたいだ。

 流石お高めのお店、食べる場所を選ぶだけで10,000イルもする。 

 まぁ個室一択だけどね。


「個室で」

「承りました。では部屋までご案内します」


 私達は個室まで案内された。広すぎず、狭すぎずの部屋だ。

 道中に店員から聞いた所、この屋敷を持っていた貴族は実に子沢山で、妻も沢山いたらしい。

 住む人間が多い理由から部屋が沢山あり、個室へ案内するお客様にはその部屋の一室を提供しているってさ。


 部屋の中は調度品なども置いてあり、雰囲気だけでもお金を払えるほどだ。

 私は別にって感じだけど。個室だったらどこでもいいからね。

 えーなと一緒にお出掛けしてる時点でプライスレス。


「ではご注文が決まりましたら、こちらの魔道具へ魔力を流して頂ければお伺いします。では失礼します」


 小綺麗な店員はそう言って部屋から出て行った。

 さて、ゆったりとしたソファーに座って......いるえーなの上に座る。

 机の上にはメニュー表があるね。


「これがメニュー表ね。先に好きなのを選んでいいわよ」

「んっ」


 メニューには挽肉のサンドイッチ、白身魚のムニエル、ガレット、ベイクドポテト、オムライス、ゴロゴロオーク肉のシチュー、ウルフ肉もりもりピザ、コンソメスープ。他にも沢山メニューがある。

 地球にありそうな料理が結構あるね。挽肉のサンドイッチさ、メニュー表に書かれた絵が完全にハンバーガーなんだよね。


 やっぱりこういうのって転移転生者とか、空間属性による世界渡りをした人が伝えた文化なのかな?


「えーなは何注文するの?」

「私は......ムニエルと赤ワイン。音亜ちゃんは何にするの?」

「それじゃ私はベイクドポテトともりもりピザかな」

「良いわね。じゃ注文するわよ~」


 確認を取って来たから私は首肯した。そしてえーなが魔道具に魔力を流すと、魔道具がチカチカっと点滅した。

 多分機能しましたよ~! って言うサインかな?


「にしても、この世界に来てからまだちょっとしか経ってないのよねぇ......」

「ん、だねぇ」


 えーなの言葉に触発され、少し回想する。

 濃密で新鮮な体験をしている割に全然日数が経ってない。

 正直これほど濃密な体験をしてると、1週間ぐらい経過してる様にも感じちゃう。


「まずこの街でお金稼ぎしつつ、色々情報を集めて王都に行く?」

「ん、良いね。王都観光楽しみ」

「異世界と言えば中世ヨーロッパの街並みと良く表現される。けど実際見た事もないから分からないわねぇ......」


 創作ファンタジー世界は大体中世から近世の間だったりするし、新鮮な街並みが見れそうだよね。

 地球に住んでた時はコンクリートジャングルだったから......。


「ん、でもこの街を見るに、王都はもっと美観は良いはず。後ギルドとかおっきくて、専門店とか中にありそう」

「確かにここは堅牢さを優先してるだろうし王都は綺麗なはずよね」


 ――コンコン


「失礼します」


 私達が今後の方針を決めつつ、雑談をしている所で料理が届いたみたいだ。


「お食事をお持ちしました。こちら白身魚のムニエルと赤ワインに、こちらはベイクドポテトとウルフ肉のピザになります」


 老練な雰囲気を漂わせ、燕尾服を着ている店員さんが料理を運んできた。

 運ばれてきた料理は、食欲をそそる良い香りを放っている。

 全体的に量が多いから交換っこしていいね。

 一品一品量が多いのは冒険者の街だからなのかな。


「ではごゆっくりと。失礼いたしました」

「えぇありがとう」

「ん、ありがと」


 老練な店員が一礼をし、部屋から出て行った。

 こういう店では渋い人が居るだけで雰囲気出るよね。


「いやぁ、量が多いわね! 今の私達には関係無いけれど」


 えーなが料理を見て笑いながらそう言った。

 事実、えーなが言った通り神になってから変わったことがある。

 体内に入れた飲食物は体の構築に使われ、余剰分はマナに還元されるようになっている。

 私の場合は発汗や涙や唾液やら、そういった物の生成に使われるね。

 えーなも多分そう。汗はかかない様になってるけど。


「ん、えーな。あ~」

「ふふっ、雛鳥みたいね? じゃママがご飯を上げるわよ~あ~ん」


 えーなの両足の上で座り、上を向いてえーなの顔を見ながら口を開いた。


「あ~んっむ、はふはふ、んん~! カリっとした食感の後に来るほくほくの白身、それにレモンの風味が口の中で絡み合い、噛む度に白身から旨味が生まれて......至福......」

「美味しいわねぇ......ワインが進むわ」


 丁寧に作られてるのが良く分かる。本当に美味しい。

 やっぱりお高いお店の料理は良いね......小骨なんてものは当然ないし、最高だよ。

 さてさて、私のベイクドポテトはどうかな。


「ちょっと待って、私にも食べさせてくれるわよね?」

「ごめん、トリップしてた。ん、お詫び」


 美味しいもの食べると舞い上がちゃって......

 私はえーなの両足から動き、右足側に座る。

 そしてベイクドポテトをフォークで一口サイズにカットし、フォークで刺してえーなの方に振り向て差し出す。

 第三者から見たら、片膝に座った美少女からあーんをされる人の図。


「ん、えーな。あ~ん」

「音亜ちゃん......あ~ん(片膝に乗っけて、音亜ちゃんに料理を差し出させる......独占欲と所有欲がビンビンに反応するわね)」

「私も食べよ。はむっ、あひっ......はふはふ......んっく。ん、美味しい......ほくほくポテトにチーズが絡んで美味しぃ......」


 ポテトの調理も凄く丁寧だ。ポテトは茹でる時間、加熱する時間がとても重要。

 だから調理する人によって差を感じるけど、これは丁寧でボソボソ感が無い。

 それにトロトロのチーズは反則級だよね。


「はふっ、おいひいわね。やっぱりポテトには中毒性があるわ」

「ポテトは最強。次はウルフ肉のピザ、えーな、あ~ん」

「頂くわね。あ~ん」

「ふふっ、私も食べよ。あむっ――――」


 こうして私達は料理を食べさせ合い、ピザもムニエルもベイクドポテトも完食した。

 ピザはとても美味しかったよ。ウルフ肉って下処理上手くやれば凄く柔らかくなることが分かった。


「この質なら他の料理も食べたくなるわね。でも食べるのに時間使っちゃったわ」

「ん、お買い物デートもしたい。また今度食べにこよ」

「そうね。また冒険者業で稼いで食べに来ましょう」

「んっ!」


 少し食休みした後にまた今度来る約束をして、会計を済ませてお店から出た。

 よし、これから商業区内の市場でお買い物だ~!


 * * *

 

 店から出て暫く歩くと市場に出た。

 人で溢れかえっており、とても賑わってる。

 見物客や街の住民、そして半分を占めるのは冒険者の装いをした人達だ。

 そこからわかるように、ここは冒険者向けの店が多く開かれている。


「あら、音亜ちゃん。あっちに居る冒険者たちがダンジョン云々言ってたわ」

「んえっ、凄く気になる」


 えーながこの人混みの中で聞こえた事を教えてくれた。

 ダンジョン......!? 気になりすぎる......!


「東の大陸に一つあるらしいわ。私達の居る大陸ではないみたいね」

「んぇ~海を越えるなら今度かぁ......」


 そもそも東に別の大陸がある事すら初情報だよね。

 でもそっかぁ......海を越えなきゃならないのか。

 ならまた今度になるねぇ......


「ダンジョンってどんな仕組みなんだろう」

「それを調べる為に今度行きたいわねぇ~」


 異世界と言ったらダンジョンだから行ってみたいなぁ......構造を知りたい。

 それで構造を解析して私達でダンジョンを作るのだ~!


「あっ、あそこの屋台見に行かない?」


 私がダンジョンの事に想い馳せていると、えーなが何かを見つけたようだ。

 指している所を見ると、アクセサリーを売っている屋台が見える。


「ん、アクセサリー?」

「そう、冒険者の多い所でアクセサリーがあるって事は......?」

「......んっ! 効果が付与されてる?」

「かもしれない。けど気になるでしょ?」


 えーなから出されたヒントで気づいてしまった......ファンタジー物あるある。

 なんか効果が付与されたアクセサリー! 気になりすぎる......!


 私達はアクセサリーを売っている屋台へと近づく。

 すると屋台ではイヤリングやネックレス、指輪などが売り出されている。

 こんなに混んでるから、どさくさに紛れて盗まれたりしないのかな......?


「いらっしゃい」

「こんにちは。こんなに混んでるのに、商品が盗まれたりしないのかしら」


 屋台を開いているおっさんに挨拶し、えーなが質問をした。

 えーなもやっぱり思ってたんだね。何か対策はしてあるだろうけど......気になるよね。


「あぁこれな、屋台を開くとき支給される魔道具があるんだよ。商品を勝手に持って離れると、結界魔術で商品を持ってった奴を閉じ込めるんだ。もちろんお金を払った商品じゃそんな事は起きないがな! それにスった奴は後で周りの冒険者にボコボコにされた後に、冒険者ならギルド追放処置がされて衛兵に連行だ」


 えーなの質問に丁寧に教えてくれたおっさん。

 へぇ......そういう仕組みになってるんだ。すごい便利だなぁ......スーパーとかの万引き防止の装置みたいだね。

 フルボッコにされた挙句冒険者ギルド追放じゃ食って行くの辛そう。

 盗むのが悪いけどね。


「へぇ結構ちゃんと対策されてるのね」

「これ作ったやつはすげぇよな! 安心して商売できるってもんだぜ。そんで、なんか買っていくか?」

「えぇ少し見させてもらうわ」


 作った人はどんな人なんだろうねぇ......。

 さて、アクセサリーを見漁ってみるが、色々あるなぁ。

 気になったやつを鑑定してみよう。


[装備] 火属性のイヤリング レアリティ:B 品質:B

 火属性を帯びたルビーが銀で縁取られたイヤリング。

 装備すると火属性魔法の威力が上昇する。


[装備] 防毒のペンダント レアリティ:A 品質:B

 感知魔術を施された宝石が嵌められたペンダント。

 毒が近くにあると熱を発する。


[装備] 魔力貯蔵のリング レアリティ:S 品質:A

 魔石を特殊な加工を施し、嵌め込まれた指輪。

 魔力を貯蔵し、任意のタイミングで使用できる。


 色々あるなぁ......魔法の威力を上げたり、感知魔術とかもあるんだねぇ......魔力貯蔵とか結構使えそう。

 まぁ前座も前座、本命はこれ――――


[装備] 裏切呪詛のブレスレット レアリティ:Le 品質:S

 裏切りの呪いが込められた美しいブレスレット。

 腕に嵌めると外れなくなる。定期的に清浄な力を込めなければ呪いが発動する。

 呪いの効果は、最も忠誠心や想いを寄せている者を裏切る行動に出る。

[秘匿レベル5:「我らが竜族を裏切りし人族に呪いあれ」]


 これが本命、呪いのブレスレット。見た目こそ美しいけど、内容は最悪だね......

 地味に秘匿レベルって言う初めての物を見た。これは秘匿された情報を見れる権限レベルみたいなやつらしい。

 秘匿事項によると、竜族の者が裏切られて呪いを籠めたみたい。

 裏切り、か。私も裏切りは大嫌いだし、出来る限り苦痛を与えてやりたくなる。

 救うなんて崇高な気持ちは持ってないけど、少し共感を得たから買おうかな。


「えーな、このブレスレット買っていい?」

「......いいわよ(何に使うか後で聞かせなさいよ)」


 えーなに買ってもいいか聞くと、小声でえーながそう言った。

 まぁ内容が内容だからね。信じていても不安というモノはいつでも付きまとう。


「ん、この値段教えて(大丈夫。安全第一)」

「おう、値段は30,000イルだ。コレクション用か? 綺麗だしな。説明札にも書いてある通り、呪いには気を付けなよ」

「ん」


 私がおっさん店員に値段を尋ねると、おっさん店員は快く教えてくれた。

 値段はまぁ......よく購入されるようなアクセサリーとかは2万ぐらいだし、見た目が良くても呪われてる分安めかな。

 30枚の銀貨を取り出し、店員に渡してアイテムボックスに入れる。


 えーなは特に何も買わず、真剣にアクセサリーを見てただけだった。

 ふと、香辛料や果物の匂いを嗅ぎとり、匂いの元を見ると色々売っているのが見えた。


「ん......んっ、えーな。あそこ行こ」

「あら、どうしたのかしら?」

「ん、あそこ料理に使えるの売ってる」

「......結構色々売ってるわね。そういえばアップルパイを作る話もしていたし、その材料を買って行こうかしら」

「んっ!」

「ふふっ、折角だし今日の夜に厨房が借りれたら借りて作りましょうか」


 私が楽しみな気持ちを隠さず返事をすると、えーなは今日の夜作ってくれると言った。

 借りれたら、になるけどね。まぁそんなことは起きないでしょ。えーなだもん。


「んふふ、やった!」


 楽しみだなぁ......!

 えーなの料理は大好き。外食も好きだけど、愛情のスパイスで出来た差は埋められないんだよ......えへへ......


「(あら......? 表情が増えてきて......スイッチが少し傾いて来てるわね)」

「えーなっ、他の店とかも見て、料理に使えるのさがそっ!」

「興奮しちゃって。そうね、でも日が落ちる前には宿屋に帰るわよ」

「んっ!」


 興奮した私を宥めつつ、えーなが言った。

 えーなの愛情たっぷりの料理が楽しみだもん......


 * * *


 夕方になり、お買い物を終えて宿屋に帰ってきた。

 むふふ、いっぱい買った......! これでえーなの料理がいっぱい楽しめる。

 アイテムボックスに入れれば劣化しないことが解ってるし、これは勝ったッ......!!


「あっお帰りです! 夕食は食べていきますか?」

「その事だけど、今日人が少なくなった所で、厨房を借りたいのだけど、どうかしら?」

「ちょっと聞いてみますね!」


 えーながリリスちゃんに話をして、リリスちゃんは出来るか聞く為に厨房へと向かった。

 そして入れ替わりでアリアさんが来た。


「こんばんは、先日ぶりですね。あの時は本当に助かりました。メンバーのピナも無事回復して、本当にありがとうございました」

「ん、ばんは。無事ならよかった」


 アリアがお礼を言ってきた。

 無事パーティーも回復したみたいだね。それは良かったよ。


 私がアリアと話してる間にリリスちゃんが戻ってきた。


「許可をもらいました!」

「よかったわ。もしよかったらリリスちゃんも食べて行かない? アリア達もどうかしら」


 えーなが二人にお食事会のお誘いをした。

 えーなの料理はおいしいからね......愛情抜きにしても、頬っぺたどころか知性を落としちゃう美味しさだからね!


「いいのですか! よかったらお願いします!」

「パーティーメンバーもいいのですか?」

「いいわよ」

「では他のメンバーにも伝えておきますね。お誘い頂きありがとうございます」


 今日の食事は人が多くなりそうだね。

 ふふっ、えーなの料理楽しみだな~! そうだ、時間になるまでさっきのブレスレットを弄ってみようかな。


「それじゃ私達は時間になるまで部屋に居るわね」

「はい!」

「わかりました。私も時間になったらまた来ます」


 こうしてそれぞれ別れ、私達は部屋へと向かった。

 さて、ブレスレットはどんな感じに弄れるかなぁ......

評価、ブックマーク登録、暖かい感想お待ちしております

ツイッターはこちら!→@minadukitakano

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ