第8話 そして武器を試しに......
今回はついに現地人と戦闘描写が入ります。
戦闘描写とか初なのでどうでしょうかね・・・?
自分にはわからないのでもっと目を肥やさねば。
※2022/02/04 視点変更直後の回復魔法の説明を修正
※2022/04/08 改稿
「ふぁっ、はふぅ・・・」
二日目、また同じく木枠の窓から日が差してくる。昨日はまだ日が昇っている時間帯に寝たから、随分と長く寝たね。
あくびで顎が外れそう、まだえーなは寝てるね。昨日は体きれいにできなかったから、えーなが起きたら<洗浄>してもらおう。
ふへへ、グナーデなでなで、えーななでなで、えーなちゅっちゅ、お腹に頭すりすり。
「んっぁ......? あら、おはよう?」
「ん、おはよ」
えーなのお腹に頭を擦り付けているとえーなが起きた。
起こしちゃったかな......? でも頭擦り付けるのなんか安心するからやめられないのだ。
「あ、あはは。もしかして昨日、私気絶しちゃってたのかしら?」
「ん、すごい長い時間集中して作業してた、だから仕方ない」
――すりすり......
頭をえーなのお腹に擦り付けながら質問に答える。
「そっか、わざわざベッドまで運んでくれてありがとね。<洗浄>出来ないからさっぱり出来なかったでしょ、今してあげるわね<洗浄>」
えーなが私の頭を撫でながら<洗浄>で私を綺麗にしてくれた。
「ぅにぃ、きもちぃ......ありがと、えーな」
――ちゅっ......
まだ昨日の余韻が残ってるのか、私の心と行動がいつにも増して積極的だ。
恥ずかしさより先に行動が出ちゃう。
「おはようのキスしてくれるなんて嬉しいわね」
「ん、昨日から好きがあふれて大変」
「あらあら、私も好きよ~」
――ちゅっ......
えーなからも私にキスをしてくれた。
これじゃ私の中の好きが溢れるを越して、決壊して暴走になっちゃうよ......?
あっそうだ、えーなは昨日気絶しちゃってご飯食べれてないんだ! 自制してそっちの方に話を促さなきゃ......!
「ん、えーな。昨日ご飯食べれてないでしょ。ウサギ肉とハーブで焼いた物、アイテムボックスに作り置きしたから食べよ」
「わざわざ作ってくれたの......? 嬉しいわ、それならリビング行って食べましょう」
「食べ終わったら食後の運動にでも行こ」
「試し切りね? いいわよ~楽しみね!」
密着してイチャイチャしていたけど、一旦離れてリビングへと向かった。
えーなが席に着き、私がえーなの膝上に座って、アイテムボックスを開いて、暖かい串肉を取り出してえーなに手渡す。
「はい、えーな」
「ありがと~それじゃ」
「「いただきます」」
「あむ、ん~! ハーブと一緒に焼くだけでもいいわね......」
「はむっ、ん、だね。アイテムボックスのお陰で、焼きたて。ぱりぱり柔らかくて肉汁も出ておいしい」
二人で串肉を頬張る。アイテムボックスに入れてると、時間が止まることが立証された。
焼きたてのパリパリ感に、暖かい肉。時間による劣化を感じさせない味を楽しめる。
「リンゴも食べましょう。はい音亜ちゃん」
「ん、ありがと。......んふ~おいし」
肉汁でコテっとした口の中をリンゴがさっぱりとさせてくれる。
さっぱりするけれど、甘みもあって後からデザ―ト感を感じさせてくれるこのリンゴは最強だね。
「このリンゴほんとさっぱりして良いわねぇ......」
「んね」
えーなの膝上に座ってリンゴを齧り、えーなと密着しながらリンゴを食べ終えた。
「「ごちそうさまでした」」
やはり食事とえーなは最高だ。
あのウサギは絶滅しない程度に狩っておこうかな?
「それじゃ食事も終えたし、出発しましょう」
「ん、森の中の案内は任せて。狩りに行った時に軽く見て回ってあるから」
「わかったわ、んじゃ出発~!」
食事を終え小休憩も挟んだ後、私達は森へと武器の試し打ちへと向かった。
* * *
<冒険者アリア視点>
「はぁ、はぁ、はぁ......見つからないッ......!」
急いでマナ草を見つけて撤退しないと......もたもたしてると危険な魔物が......ッ!!!
「セリナ避けなさいッ!!!」
「へ?」
――ドゴッ!!
セリナの横から魔物があらわれ薙ぎ払った。
吹き飛ばされたセリナは木の幹に勢いよくぶつかった。
「あがッ!」
「セリナァッ! シュナ、セリナの元へ行ってください! 私が注意を引き付けます!」
「リーダー! でも「行きなさいッッ!!!」っ!」
あ、あぁ......来てしまった、最悪です。よりにもよって襲ってきた魔物がバサクベアだなんて......ッ!
バサクベアの右手のストレートを咄嗟に横に避け、爪を大剣の腹で受け流す。
――ゴキッ......
が、受け流すには相手の膂力が大きく、身体の骨と私の大剣に大きな傷跡を残した。
「うぐッ......!」
まったく、Bランク冒険者4人で相手にする相手に、Bランクの私一人だなんて......いえまだですっ。
逃げられないですし、こんなところで諦めたらピナがが苦しみ続けてしまう。それに今負傷したセリナの手当てもしないといけないです。
引けないのですッ! 一撃、一撃で重傷を負わせられれば、速度の差で逃げられるかもしれません。
相手が攻撃に集中した瞬間、それが相手の攻撃できる隙です。
引き付けて......引き付けて......
――ズン、ズン、......ズゴォ!
一歩一歩バサクベアが近づいて来て......一気にバサクベアが踏み込んできました。
そして右手のストレートを見切り、ギリギリで避け......一気に左足へ!!! 通り抜ける時に足を切り......
――ドガッ!!!
「ゴハァッ!」
――ドスッ!
右ストレートをバサクベアの左足側に避け、その勢いのまま左足の腱を切り裂こうとした。
だがバサクベアは即座に左足を使って膝蹴りをかまし、私は吹き飛ばされて地に伏した。
あぁ殴られたのでしょうか......蹴られたのでしょうか......
吹き飛ばされてしまいました......あぁピナ、セリナ、シュナ......
吹き飛ばされた私の元へ、一歩。また一歩と近づいてくるバサクベア。
私の頭の中では走馬灯が流れつつも、目の前に映るバサクベアから目が離せない。
――ズン、ズン、ズン、ドシュッ。ズッ、ズシン......
へっ? バサクベアの首が......あ、ぁぁぁ......
一歩一歩近づいてきたバサクベアの脚が止まり、頭に角を生やして倒れ伏した。
「たす............けて......くだ......」
「喋らないで」
――ふわっ......
白銀の髪の毛が目に映る。そして体が暖かい何かで包まれるような感覚が広がる。
あぁ痛みが引いていく......これは回復魔法......?
たす、かった......? なら、すこ、しやす......も......う......
「ゆっくり休んで」
最後に無機質で、それでいて優しさのある声色で声をかけられ意識を失った。
<音亜視点>
武器の試し打ちに森の奥へ入ってみると、人の怒鳴り声が聞こえたから見に行ってみた。
すると一人が木に背を預けて倒れていて、倒れている人に寄り添っている人が居て、最後になんか凶暴そうなクマに対峙している人が居た。
とりあえずこの世界で、初の第一村人だから色々話が聞きたくて助けた。
ふぅ......初めて回復魔法なんて使ったよ。
光属性の中に<ヒール>って魔法があるけど、これはあくまで気休め程度の効果。いや何もしないよりはましだけどね。
<ヒール>は体の自己回復機能を促進させて傷を癒す魔法で、促進させるのが目的になってるから栄養不足だと危なかったりする。
あと疲労が貯まり、身体に負荷がかかる欠点もある。
「ん、えーな、この人は大丈夫」
「よかったわね」
回復魔法をかけると、荒かった呼吸も落ち着いてきた。
どうやら骨折してるみたいだね......これも回復魔法で徐々に治ってはいる。けれど身体の負荷が大きいみたいだ。
「あっあのー! 助けてください!」
回復魔法を継続させていると、木の近くで倒れた人を看病している人間が声をかけて来た。
「ん、あっちにも要救助者。いこ」
「この人は任せておきなさい」
「んっ」
えーなに大剣の人を任せて、私は声のある方へ向かった。
どうやら一人は無傷で、もう一人は殴られたようだけど骨は折れてないみたい。
咄嗟に持ってるメイスで守ったのかな、持っているメイスが随分とひしゃげてる。
身体全体に負荷がかかってるけど、局所的なダメージで重傷を負うよりはマシだね。
「ん、治療するから少し離れて」
「う、うん。あっあのアリアはっアリアは無事ですか?」
「ん、大剣の子なら生きてる。えーなが今、介抱してる」
そういって私は弓を持った人間に、アリア? の居る方を指差す。
私の話したことを聞き、指さした方を見て安心したかのように弓の子は尻餅をついた。
腰が抜けているみたい。
「はっ、はは、よかったぁ......」
「ん、この子の治療終わった。貴方、この子を背負って。私達の拠点に行くよ」
「ぁっ、は、はい! ありがとうございます! えと、私はシュナって言います。大剣持ちがアリアでメイス持ちがセリナです」
「シュナね、よろしく」
私は落ちてるメイスを持ち、歩き始めた。
そういえば私から他者に関わりに行ったのって、かなり久しぶり......?
ずーっとえーなとしか話さなかったし、印象に残るようなコミュニケーションをえーな以外としてなかった。
「ん、えーな。一旦拠点に寝かせる」
「わかったわ。この大剣の子は私が背負うから、大剣はアイテムボックスに入れてくれる?」
「ん、分かった。ただアイテムボックス入れると変に思われそうだから、普通に持っていくね」
所謂、こやつ! この様な面妖な魔術を使っておる! 捕まえるのだ! 教えを乞うのだ! みたいなだるい奴。
それを避けたいから隠していく。ある程度常識が理解出来たら、オープンにしていきたいな。
「わかったわ。それじゃ行きましょうか」
「あっあの」
「ん、この子はシュナ、シュナの背中の子がセリナ、えーなの背負ってるのがアリア」
「そうなのね、私はエイナっていうのよろしくね、シュナちゃん」
「私はネア、よろしく」
「は、はいエイナさん、ネアちゃんよろしくです!」
「私、貴方より年上。ちゃん付けはダメ」
「えっそうなのですか!? すみませんネアさん!」
「ん、ちゃん付けはえーなだけしかダメ」
えーなに3人の名前を伝えて、シュナに私達の名前を伝えた。
ちなみに年齢は知らない。
ただそれとなく言い訳を立てただけで、本音はちゃん付けを回避する為である。
「あら? 人の居る前でそういう事言うのね」
「ん、大事な事だから」
確かに私は人目の付く所で私からこういう事は言わない。恥ずかしくてね......
でも、一度死んだという事実がある。
だからこそもう包み隠さず行きたいと思ったんだよね。
「ふふっ、も~愛おしいわね」
「(お二人は付き合ってるのかな。さっきまで張り詰めてて、気が、ぬけ、るなぁ......)」
――ドサッ......
安心した様な、気の抜けた顔つきのまま急に倒れたシュナ。
ん、メイスと大剣は仕舞って、この子が背負ってる背嚢もアイテムボックスにしまっておくか......
「あらあら倒れちゃったわね。私が二人持つから、アリアちゃんの方をお願いしてもいいかしら?」
「ん、任せて」
倒れた気絶している3人を私とえーなで分担して背負い、作ったログハウスへと歩き始めた。
さて、第一村人がちゃんと起きて話を聞けるといいんだけどな。
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