7話「オールフルフラワーが最強」
種族名:ホーンウルフ
種族能:探知
レベル:1
スキル
『嗅覚向上』
ツノ狼の正式名はホーンウルフというらしい。頭部のツノで周辺の生物の生体電流を探知しつつ、向上した嗅覚により周辺の状況を感じ取れる強力な探知能力を持っている。
その上、俊敏でゴブリンよりも強い。とても優秀な魔物だ。
『お陰で、ダンジョン内も中々賑やかになってきたな』
鳥や素早いネズミなどなど、ホーンウルフの探知能力と敏捷性のお陰で今まで捕まえられなかった生物を大量に狩ることができた。
生成した鳥達によって上空からの探索もできるようになり、狩りの効率も以前とは比べ物にならないほど上がっている。
『魔物も増えた増えた』
他にも、スライムとホーンベアという魔物も狩ることができた。この2種はここ数日の狩りの中でも最高の成果だ。
種族名:スライム
種族能:液化
レベル:1
スキル
『毒液生成』or『酸液生成』
スライムは川辺を探索中に偶然見つけた魔物だ。種族能の『液化』は物理攻撃を無効にする能力なのだが、ゲル状の体部分だけに物理攻撃が効かないだけでピンポン球ほどの大きさがある核には攻撃が効き、砕けるとすぐに絶命する。さらに、強度もピンポン球程度なので簡単に砕ける。ゴブリンよりも全然弱い。
しかし、『毒液生成』というスキルは非常に役に立っている。オールフルフラワーが生み出す毒は強力な反面、揮発してすぐ無毒化してしまうのだが、スライムの毒液は液状のまま保存が可能なのだ。
さらに、スライムの個体によって麻痺毒や睡眠毒などさまざまな毒が作り出せる上に、『酸液生成』というスキルを持つ個体は強酸の液体を作り出せる。生成するのに必要な魔力も少ないため、戦略の幅が広がる優秀な魔物である。
種族名:ホーンベア
種族能:捕食
レベル:1
スキル
『威嚇咆哮』
ホーンベアはダンジョンから2キロほど先にある洞穴に住んでいた強力な魔物だ。
見た目はツノの生えた巨大なクマで、種族能の『捕食』はたくさん食べれてお腹を壊しづらくなるという能力らしい。俺が作り出す魔物は食事の必要がないので、ゴブリンの『悪食』同様意味のない能力である。
スキルの『威嚇咆哮』は、咆哮によって相手のステータスを下げる事ができるスキルだ。格下の相手であれば動きを一時的に麻痺させることもできる。
このスキルのせいで偵察に向かわせたホーンウルフ2匹が逃げきれずに重傷を負わされた時は本当に焦った。
だが、最終的にはオールフルフラワーを洞穴に投げ込んで倒せた上に、重傷のホーンウルフもオールフルフラワーの蜜ですぐに完治した。
オールフルフラワーが最強だということが改めて分かった一戦だったな。
ちなみに、ホーンベアは俺のレベルではまだ作れない。こいつがいれば相当な戦力強化になるのだが、残念だ。早く俺自身のレベルを上げてホーンベアを作れるようになろう。
『さてと、今日はダンジョン内の整備でもするかな』
調子に乗って狩りばかりしていてはダメだ。結局のところ、ダンジョンコアを破壊されてしまうと俺は死んでしまう。
今世では平穏に寿命をまっとうしたいのだ。ホーンベア以上の化け物に襲撃されても大丈夫なように、防備を固めなければならない。
『落とし穴に毒液のプールに昆虫部隊による奇襲ポイントの作成、弓矢とか作ってゴブリンに撃たせるのもありだな』
既に防衛策はいくつか考えているため、それに合わせて迷宮の構造を変化させながら罠を設置するだけで完成だ。
『そういえば、俺って寿命あるのか?』
流石に寿命が無限なんて事はないか。え、ないよね?
そんなことを考えながら、『迷宮操作』で迷宮内の構造を変化させていくのだった。
◇
「これは、ダンジョンの気配か」
身の丈ほどもある太刀を背負い、森の中を悠然と歩く白髪で初老の男性。彼は普段感じる事のない奇妙な気配から、ダンジョンが近くに出現している事を感じ取った。
「気配が弱い。まだ生まれて間もないようだな。手がつけられなくなる前に潰しておくか」
男はそう呟きながら、森の中に出現したダンジョンへと歩を進めた。