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6話「もうこれ投げつけるだけ」




「イヤハヤ……ゴブリンだらけだな」


 そんな呟きとともに俺の1日は始まった。

 ゴブリンの生体情報を得てから数日、俺は毎日ゴブリンを生み出していた。お陰で、ダンジョン内はゴブリンの巣と化している。

 ゴブリン6体、昆虫たくさん、大量のオールフルフラワーが俺の中に住む生き物の数だ。

 ちなみに、ゴブリン達はみんなボロボロの剣や革の鎧を装備している。倒したゴブリンの装備を吸収し、『道具生成』で複製して装備させているのだ。

 吸収した道具は素材がないと生成できないのだが、なんの問題もなく作ることができた。今まで吸収したゴブリンや昆虫の素材を利用しているようだ。

 作り出す際に魔力はあまり必要としないが、素材集めが少し面倒だな。


「サテト、ソロソロ狩りに行くとするか」


 ゴブリン部隊の中には体が屈強で身長が他のゴブリンより頭一つ分高いゴブリンが1体いる。

 こいつは記念すべき1体目のゴブリンであり、意識を接続して操作している俺専用ゴブリンでもある。

 ダンジョンで生まれた生物は食事や排泄の必要がなく寿命も無いのだが、外では1日しか生きられないというデメリットがある。

 しかし、俺が意識を接続している間はダンジョンの外でいつまでも活動することが可能なため、このゴブリンだけはダンジョンに戻る必要なく動き回っているので成長が早いのだ。


「コノ体モ、だいぶ立派になったな」


 はじめは他のゴブリンと同じ体格だったのだが、この数日でだいぶ成長した。他のゴブリンはレベル1〜2なのだが、この個体だけはレベル4まで上昇している。


「ヨシ、レッツゴー!」


 3体の武装ゴブリンと複数の昆虫達、オールフルフラワー5本と共に、俺も専用ゴブリンで狩りに向かう。残り2体のゴブリンはダンジョンでお留守番だ。


「タシカ、ココら辺だったかな?」


 森の中を慎重に歩くこと30分。岩壁に人が屈まなければ入れない程度の高さの横穴が開いているところを見つけた。


「イタ。5匹か」


 横穴を遠くから覗くと、奥の方に全身真っ黒でツノの生えた狼がいた。

 ここ数日の探索で狼の魔物がこの場を住処にしていることを発見したため、狩りにきたのである。


「ノコリのゴブリンも連れてくれば良かったかもしれないな……」


 威圧感がすごい。

 偵察はコバエの体で行ったため敵意は向けられなかったのだが、今回はゴブリンの体だ。

 狼達は草むらに隠れているこちらの位置を完全に把握しているようで、5匹すべてが臨戦態勢でこちらに殺気を放っている。


「ヤバイな、一対一でも勝てる気がしない。コノ狼、明らかにゴブリンより強い」


 武装ゴブリンによる単純な殲滅作戦を行う予定だったが、無理だ。こちらが殲滅される。

 予定変更だ。もう最終フェーズを実行しよう。


「包囲シロ!」


 俺の命令に従い、ゴブリン達は勢いよく草むらから飛び出してツノ狼達を包囲した。


「ガルルルルル!」


 ツノ狼達との距離は約10メートル。隙間だらけの包囲網だが、ツノ狼達はひとまとまりになってこちらの出だしを伺っているようだ。


「作戦通リダな」


 上空に待機させていたツノだらけカブトムシが、オールフルフラワーをツノ狼達の中に落とした。


「ヤレ」


 地面に落ちると同時に、オールフルフラワーが毒を散布。半径数メートルに散布された毒はツノ狼達を捉え、即死させた。


「オールフルフラワー……凄イナ」


 ゴブリン部隊によるフォーメーションや昆虫部隊を使った陽動作戦なども考えていたのだが……もうこれ投げつけるだけで戦いが終わってしまう。

 毒は即死毒だけでなく麻痺毒や睡眠毒も出せる上に、蜜は回復薬にもなる。その上、生成するのにあまり魔力を使わないのでゴブリンを作った後でも1日に数本は作れる。

 これがなかったら、今頃はまだ昆虫すら作れなかったかもしれない。

 ライフィア様に感謝だ。スペースが余ったらダンジョン内に教会でも作るかな。


「サテト、ツノ狼達を回収するか」


 ツノ狼は戦闘力だけでなく、敏捷性も相当高いはずだ。これで探索範囲も格段に広がる。

 そして、ダンジョン内の戦力も潤沢になってきた。



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