32話「日本人じゃね?」
村に帰還すると深夜にもかかわらず全員起きており、もみくちゃにされながら無事を祝われた。
そのあとは助けた人達から何度もお礼を言われ、無事を祝って宴が行われる事になったのだが、時間も遅い上に救出した人達の体力も考えて次の日の夜に宴を行う事になった。
そして日の出直前に解放された俺はダンジョン内に神人ボディを待機させ、静かにステータスを確認していた。
種族名:ダンジョン
種族能:吸収と理解
レベル:14
スキル
『迷宮操作』
『生物生成』
『道具生成』
『言葉ノ王』
『魔力操作』
『進軍迷宮』
種族名:神人
種族能:吸収と理解
レベル:15
スキル
『影操作』
『迷宮の影』
迷宮の影による使用可能スキル
『悪食』『嗅覚向上』『毒液生成』『酸液生成』『硬化粘液』『威嚇咆哮』『自爆』『糸吐き』『夜目』『武術』『魔術』『魔力操作』『疾走』『硬化皮膚』『隠密』
うおおおおお!?
あまりにもテンションが上がったため、思わず心の中で叫んでしまった。
っていうか、凄いな。本体のレベルがいきなり5つも上がっている。神人ボディも15レベルになった。テンションもだだ上がりだ!
結局誰も倒してはいないが、千以上の魔物を放ったり勇者や魔王と対峙したりしたのが相当な経験値になったようだな。
『経験値だけじゃなくて、新しい虫や魔物の生体情報に財宝もたくさん手に入った。いやー、充実した1日だった』
1日ではなく正確には1時間程度の短い時間だったが、細かいことはどうでもいい。
それよりも、新たに手に入った『進軍迷宮』というスキルの詳細を確認するか。
「おおっ?生成した生物のダンジョン外での活動時間が、10日に伸びる!?」
す、素晴らしいスキルだ。今までは24時間経つ前にダンジョン内へ一旦戻すか意識を接続して魔力を補給する必要があったが、そうしなくても連続で10日間生成した生物が活動可能になるらしい。
レベルが上がってサブ入り口も28キロ先に作り出すことができるので、行動範囲は格段に広がった。
「探索が捗るな。今回の一件で東にゼネラルがある事は分かったし、次は北と西と南側の探索を進めてみようかな」
そういえばダンジョン内もレベルに応じて広くなっていた。今は東京ドーム128個分くらい、もうとんでもなく広い。
ただ放置しておくにはもったいないスペースなので何かに活用したいな。
「お、朝か」
そんなことを考えているうちに日は上り、いつのまにか朝を迎えていた。それから数時間後。
「カイさん、おはようございます!」
「おはようございますなのです!」
「おはよう2人とも」
まだギリギリ昼ではない時間帯にレオナとミーナが迷宮へ迎えに来てくれた。
これから村長の家で囚われていた人達に関する話し合いが行われるのだ。
「おはようみんな」
「「「「おはようございます!」」」」
ありゃ?遅れたつもりはなかったのだが、すでにみんな村長の家に集まっている。
「俺の席、ここ?」
「そうですぜ。どうぞお座りください」
村からは村長とレオンとイサメ婆さん、レオナとミーナもいる。銀狼族からはシルバとプラタとセレブロとインさん。他には助け出した妖精2人と黒髪少女2人と……木の苗を持った知らない金髪幼女がいる。誰だ?あんな人助けた覚えないぞ?
「昨晩は挨拶が出来ずに申し訳ございません。ドリアードのエメラと申します。この度は助けていただき、誠にありがとうございます」
「あ、どうも。カイと申します」
俺の視線に気づいたのか、金髪幼女のエメラさんが挨拶してくれた。
もしかして、助けたときにいた人型の枯れ木か?似たような魔力を感じる。
話を聞くと、地下牢には光も土からの栄養もないため枯れかけていたらしいが、昨晩与えたオールフルフラワーの蜜で無事に回復したらしい。
「すいません。昨晩とは姿が違いすぎて、気がつきませんでした」
「いえいえ、気にしないでください。この姿に戻れたのもカイ様のおかげです。本当にありがとうございました」
ドリアードはとても珍しい種族なので村のみんなも見たことがなく、俺がここに来る前も突然現れた金髪幼女にみんな驚いていたそうだ。
「リーダーも揃ったことですし、面倒な話は昼までに終わらせましょうぜ」
「そうだな……って、リーダー?」
「そうですぜ?カイさんが俺たちのリーダーですよ」
「当然さね。村のみんなもそう思っておる」
村長も黙って頷いている。てっきりレオンがリーダーだと思っていた。
みんなを率いる自信なんてないので、誰がリーダーかについての話し合いも今後必要だな。
「とりあえず今は、助け出したみんなの今後についての話し合いを始めるか。まずは銀狼族だな」
「御許可をいただけるのであれば、我々はカイ様の配下につきたいと考えております」
「カイ様て……まぁ今はいいか。それは銀狼族全員の意思なのか?」
「はい。昨夜、同胞全員の意思を確認した上での判断です。反対するものは1人もおりませんでした」
「わかった。これからもよろしく頼む」
「「「はい!」」」
シルバ達が仲間になってくれるのはとても心強いので、むしろこちらからお願いしたいくらいだ。先に村で暮らしていた銀狼族メンバーはすでに村のみんなとも仲が良いのですぐに全員馴染めるだろう。
「次は、エメラさんかな」
「私もカイ様のもとで恩を返したく思います」
「いいのか?この森って結構危険だぞ?」
「大丈夫です。むしろ魔力の満ちたこの森はドリアードにとって理想的な土地です。まだ幼木のうちはご迷惑をおかけしてしまうかもしれませんが、もう少し成長できればカイ様のお役に立てるかと思います」
聞くと、エメラさんは腕に抱えている木の苗のほうが本体らしい。
俺も本体はダンジョンだし、なんか親近感を覚えるな。話し合いの末、エメラさんは俺の本体の入り口付近に植えられる事となった。
「さてと、次は妖精達だな。名前と今後の展望についてどうぞ」
「えっと、私の名前はアズ!私達もここいたーい!」
「私はラズリと申します。カイ様がよろしければ私達もここに居させていただきたいです」
「アズとラズリ、いいのか?もとの住処に帰りたいなら何とかして送るけど」
もっと強力な魔物を作り出せるようになったら安全に送迎もできるしな。
「いいんです、私達は住処を探して旅をしていたので」
「もともと流浪の妖精だったんだよねー」
通常なら妖精は生まれた森にそのまま住み続けるらしいのだが、この2人は好奇心旺盛で心の底から住みたいと思える場所を探して森を渡り歩いたり、人里を散策したりしていたらしい。
そんな時、不運にも盗賊に捕まって商人へ売られ、魔王ミスティのところへ流れ着いたのだそうだ。
「全然何もない森だけどここでいいのか?人里のほうが賑わってると思うけど」
「いやいやいや!ハーフもいっぱいいて希少な銀狼族やドリアードもいてとんでもない数の魔物操れる人までいるとか、好奇心刺激されすぎてやばいよ!」
「それに、まだ会って間もないですが皆さんお優しい方ばかりですし、住み心地はとても良いと感じました」
「そうか、それならいくらでも居てくれ」
妖精が2人増えたところで何の問題もない。そういえば妖精って何食べるんだろう?あとで聞いてみるかな。
「それじゃあ最後は、そこの2人だな」
「できれば私達もここに居させてほしいです。もといた場所には、戻りたくないので……」
「私も、ここに居たいです」
「そうか、居るのは全然構わない。それはそれとして1つ聞きたいんだがーーー」
俺の予想を確認するため、黒髪の少女2人に問いかける。
「名前を教えてくれないか?」
「あ、すいません。先に名乗るべきでした。えっと、私はシズカです」
「私は、ヒマリです」
シズカにヒマリか……まだ確証は持てないが、この2人って日本人じゃね?




