23話「魔の森に新たな世界現る」
結局、魔道書を朗読し終えるのに丸3日かかった。
「ありがとうございました!召喚魔術のスクロールが完成したら呼びますね!」
「あぁ……無理しないようにな……」
すでに3日も徹夜しているのに、ワンドはまだまだ研究を続けるようだ。いくら休めと言っても聞かないので念のためにオールフルフラワーの蜜カプセルをぶつけておいた。徹夜の疲労くらいならこれで完治するはずだ。
「そういえば、レオンの手足は治らなかったんだよな……」
オールフルフラワーの蜜は怪我や毒だけでなく疲労も回復してくれる効果があるのだが、古傷や部位の欠損までは治せない。そのため、レオンの腕と脚には効かなかった。
伝説のS級回復ポーションは欠損部位も古傷も治せるらしいので、特訓のお礼も兼ねていつか手に入れてあげたいな。
「さてと、ダイグンソウのステータスでも見るかな」
神人ボディにも蜜を飲ませたので、徹夜の疲労が取れて頭はスッキリしている。
種族名:ダイグンソウ
種族能:器用
レベル:1
スキル
『糸吐き』
『毒耐性』
なるほど、スキルの『毒耐性』は文字通り毒を無効化するスキルらしい。だから毒粘液が効かなかったのか。
「早速作りたいけど、レベルが足りないようだな」
もう少しで作れそうな感覚はあるのだが、まだダイグンソウは作れないようだ。
ダイグンソウが作れれば神人ボディでも『毒耐性』のスキルが使えるようになる。早く俺自身のレベルを上げる必要があるな。
「経験値が欲しいな。あんまり強くなくて、経験値がたくさん手に入る敵とかいないかなぁ」
そんな事を考えながら、今日は以前よりも広くなったダンジョン内を整備する事にした。
サブ入り口を利用した罠やグンソウの糸を使った仕掛けなどなど、構想は山のようにある。
村に住む全員分の家の建築も終わったので、今日はダンジョン整備に時間を費やそう。
◇
豪華な装飾の施された謁見の間。そこに置かれた玉座に腰掛ける妖艶な雰囲気の女性へ向けて、眼前に跪く部下達は言葉を言葉をかけた。
「ミスティ様、報告いたします」
「なに?」
「先程、聖教国へ潜入させていた部下から報告がありました。巫女が予言の言葉を口にしたそうです」
「巫女、あの未来予知のスキル保持者ね。なんと言ったの?」
ミスティと呼ばれた妖艶な美女は、興味ありげに部下へと問いかけた。
「予言の内容は『魔の森に新たな世界現る』だそうです」
「新たな世界……曖昧な表現ね」
革新的発見によって世界が一変するのか、圧倒的な強者の出現によって世界情勢が大きく変わるのか。その言葉だけでは正確に今後起こりうる事象を推測することは出来なかった。
「でも、巫女の予言は必ず当たる。聖教国より先に立ち回ることができれば莫大な利益を得られるかも知れないわね」
ミスティは少し悩んだあと、部下へと指示を出す。
「最近捕らえた獣人の少数部族が居たわね?」
「銀狼族ですね。彼らは戦闘力と索敵能力に優れております」
「ふふふっ、偵察にはうってつけね。すぐに彼らを向かわせなさい」
「ですが、彼らが素直に従うとは……」
「有益な情報を手に入れたら村の者達を解放すると伝えなさい。そうすれば死ぬ気で働くでしょ?」
「かしこまりました」
部下はミスティの命令に従い、謁見の間を後にした。
「ま、解放する気なんてカケラもないけどね」
謁見の間から出て行く部下の姿を見やりながら、ミスティは静かにそう呟いたのだった。
閃光のハサウェイ楽しみ。




