19話「蜘蛛軍団」
深夜。みんなが寝静まっている中、俺はクロウクローのステータスをぼんやりと眺めていた。
種族名:クロウクロー
種族能:集団行動
レベル:1
スキル
『夜目』
種族能の『集団行動』は、群れの連携力が向上する能力らしい。これはクロウクロー以外の魔物同士の群れにも適用するため、魔物部隊の中にクロウクローが居るだけで連携力が上がるようだ。どれほどの効力かは、機会があれば調べてみよう。
スキルの『夜目』は暗闇でも周囲を見渡せるようになる能力だ。クロウクローは鳥目じゃないんだな。『夜目』は神人の体にも使えそうなのでありがたい。
「でも、クロウクローはダンジョン内の防衛には向いてないな……」
今のダンジョンの広さではクロウクローが充分に飛びまわれないため、本領は発揮できないだろう。
取り敢えず20羽作ってみたが、実戦でどれほどの使えるのか試してから増やすかどうか考えよう。
「!!」
そんな事を考えていると、警備にあたっていたコバエから異常の報せが入った。
大量の蜘蛛の群れがこちらへ向かって進軍しているようだ。
「数は……スモールグンソウが数百体、グンソウが約100体。とんでもなくデカイ蜘蛛が1体か」
大群じゃないか。
低コストで作れる上に種族能の『増殖』で勝手に増えていくボムアントはすでに一万匹を超えているが、それを除けば次に多い魔物はゴブリンだ。だが、それでも100体ほどしかいない。
ダンジョン内全ての魔物を合わせても、蜘蛛軍団の数には到底敵わないだろう。
一体どこに隠れてたんだよ。この森怖いな。
「まぁいいか。ちょうどいい練習相手になる」
集落のみんなを守るためにホーンベア数匹とホーンウルフ20匹ほどを残し、あとはダンジョン内で待機してもらう。
「あれ?カイさん、どこか行かれるんですか?」
「ん?レオナか」
今夜の見張り番はレオナだったようだ。ディエゴと魔物達が建てた5メートルほどの物見やぐらから、レオナが話しかけてきた。
「森の中が騒がしいから、少し様子を見てくるよ。朝までには戻るから気にしないでくれ」
レオナにそう話し、俺は蜘蛛の群れへ向けて森の中を進んでいった。
◇
「……!!」
蜘蛛の大群を統率する巨大蜘蛛は、自身に匹敵する力を持ったなにかが近づいてくる気配を感じ取った。
「キシャア!」
強者からは逃げ隠れ、弱者は暇つぶし程度に狩る日々。巨大蜘蛛は久しく危機感というものを感じていなかった。
そんな退屈な日々を抜け出すため、自身と同格であり、ある程度の危機感を抱きながら戦える相手を求めていた巨大蜘蛛は、向かってくる未知の存在との邂逅に気持ちが高ぶるのを感じていた。
「キシャア!」
「シャア!」
「キシャー!」
ボスである巨大蜘蛛の異変を察し、周囲の子蜘蛛達も臨戦体制へと移行する。
「……見つけた」
すでに戦闘体制の整った蜘蛛の大群の前へ、白髪の少年が現れたのだった。




