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12話「ダンジョンが狩り」



 目が覚めてから5日目の朝。

 そろそろバリアの効果が切れる頃だ。


『でも大丈夫!戦力は問題ない』


 問題ないどころか、充分すぎるほど戦力は整った。

 レベルが上がったおかげで生物の生成量がとてつもなく上がったのである。

 今の戦力は、ゴブリンとホーンウルフが約20体ずつ、スライム約30体、オールフルフラワー100本以上、昆虫や小動物や新しい魔物がたくさん。それと、ホーンベアが5体だ。

 強力な魔物だけあり、他の魔物を生成しながらだとホーンベアは1日1体までしか作れない。だが、ゴブリンやホーンウルフが束になっても倒せないほどの強さを持つ化け物だ。

 居るだけでとても心強い。


『にしても、スライムのおかげでここまで狩りが楽になるとは思わなかった』


 この5日間は戦力強化と並行して今まで通り狩りも行なっており、新たな動物や魔物の生体情報もいくつか手に入れることができた。

 だが、その中で最も役に立った魔物が『硬化粘液』というスキルを持ったスライムだったのである。

 このスキルは相手の足元に固まる粘液を分泌して身動きを取りづらくするだけのスキルなのだが、罠や道具作成時の接着剤としても使えるのである。

 しかし、それ以上に便利な使い方があった。

 それは、カプセル状に固めることでオールフルフラワーの蜜やスライムの毒液を運ぶ容器を作り出せるのである。

 傷ついた際は蜜のカプセルで即座に回復。戦闘中は毒カプセルを投げつけて攻撃。これによって生成した魔物の生還率と戦闘力が飛躍的に向上し、狩りの効率が格段に上がった。


『おかげで、ここら辺の魔物はもう狩り尽くした感があるなぁ。全然魔物が出てこない』


 生物を作ると魔力が減るのだが、狩った生き物を吸収すると魔力は僅かに回復する。何もしなくても自然と魔力は回復していくのだが、経験値も獲得できるので魔物狩りはとても効率が良いのだ。

 そのため……調子に乗りすぎた。主要な魔物は狩り尽くし、残っていた魔物も他の縄張りへ逃げてしまった。もっと生態系とか考えて狩りをするべきだった。


『っていうか、ダンジョンが狩りするって、おかしくないか?』


 まぁいいか。攻め込まれとか怖いし。

 そんなことを呟いているうちに、塚原さんが張ってくれていたバリアがいつのまにか消えていた。





「みんな!レオナ達が見つけてくれた空白地帯まであと少しだ!がんばれ!」

「「「はーい!」」」

「たしかに、さっきから魔物を全然見かけないね」

「移動した甲斐があったよ」

「年寄りにこの移動は堪えるぜ」


 猫耳や兎耳だけでなく、長くとがった耳が生えた者、身長がひときわ小さい者など、様々な特徴を持った30人前後の老若男女の集団が森の中を歩いていた。


「この先も魔物はいないよー!」

「おお、レオナか。偵察ご苦労」


 力のある者は荷物を持ち、戦える者は戦えない者を守るようにして固まり、足が速い者が先行して索敵を行う。

 連携のとれた動きで彼らは慎重に森の中を進んでいた。


「?」

「ミーナ、どうかした?」

「たぶん気のせいなのです。なんでもないと思うのです」


 突然集団の後方を振り向いたミーナの姿にレオナは首をかしげたが、気にせず歩みを進めた。


 この時、彼らはまだ気付いていなかった。遥か後方から息を潜めて迫りつつある、とある魔物の存在に……。


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