避難所から仮設へ
第9回『避難所から仮設へ』です、いつまでも避難所でお世話になっているわけにもいけません、いざ巣立ちの時です。
被災から一ヶ月程経つと徐々に被災地内のインフラも元に戻り、周辺や地区内の空き地に仮設住宅が建ち始めます、ですが仮設住宅を施工する業者も土地も、被災者の数に対し全く足りません。
仮設住宅への入居は基本抽選となりますので運が悪ければいつまで経っても避難所から出られなくなります、それを解消するための制度が『見なし仮設住宅』です。
これは民間のアパートやマンションを被災者向けに自治体が借り上げるというもので家賃上限が世帯人数2人までの世帯が6万円、4人までの世帯が8万円、5人以上(乳幼児を除く)の場合は9万円までの賃貸に2年間家賃負担無しで入居できます(こちらは倉敷市の例です地域の家賃相場等で変わる物と思われます)。
ただ、この見なし仮設はルールとして原則2年で強制退去となるとなっています、仮設住宅も2年となっているはずですが、ニュース等を見て分かる通りなかなか2年で打ちきりとはいけないようです、民間が関わらない分融通が利くのかも? ともおもいますが、見なし仮設でもそうなのかは申し訳ないですが私では分かりません。
この見なし仮設はオーナーさんの許可が出ない限り見なし仮設としての借り上げは出来ないので、駅前の好立地に空き部屋があったとしてもオーナーさんが首を縦に振らないと見なし仮設としては認められません、開始直後が1番物件数は多いですがオーナーさんが悩むレベルの物件が途中途中でひょこひょこと出てくる事もあるようですが……まあ、そういった掘り出し物は争奪戦になりますから早め早めで条件に合う物件を探すのが良いでしょう、欲張りすぎるといつまで経っても避難所から出られません。
見なし仮設に関しては受付開始の知らせが出てから各不動産屋さんでその不動産屋さんの管理する物件について受付が開始されます、詳しい物件情報はネットの特設ページで確認できますからそちらで条件の合う物件を探して下さい(岡山県では『住まいるネット岡山』に特設ページが組まれました)。
同時に各自治体で見なし仮設の使用に対しての審査が開始されます、基本自宅の半壊、全壊等で住めなくなっていれば申請は通るはずですが、基準は各自治体の中にあるため確実であるとは言えません、特に半壊は『土砂、流木の流入などで生活出来ない状態』という条件ですから解釈次第で是とも非ともとれます、流石に風呂トイレが使用不可能なら申請は通ると思いますが……。
この申請は先着順に処理されていくので長ければ1週間以上掛かる場合もあります、アナウンスを確認したら早めの行動を心がけましょう。
尚、避難所から出て既にアパート等借りていた場合でも、オーナーさんが良しとし自治体への申請が通れば見なし仮設として認められます、あらかじめオーナーさんに話を通しておき早めに避難所を出ておくというのも一つの手ですね、この際見なし仮設にするにも一応耐震性能等の基準はありますから、事前にネットで調べて合致するかも調べた方が無難です。
さて、それでは見なし仮設のアパートに入居するとします、ですがまたもや問題が……『家電』です、大手家電メーカーも流石に町一つ分の需要を即座に満たす在庫はありませんし、配送の人手もトラックも足りません、まして在庫のない商品は他県の倉庫から引っ張り出して配送するため、どうしても手元に届くまで日が掛かります、更に夏の暑い時期だとエアコンの取り付けが……私も去年はエアコンが設置されるまで地獄を見ました、割と対応が早く出来ていると自負していた私達でこうでしたから、対応が後手に回ってしまった方達はどうだったことか……。
こういった際にどうするのが正解かは正直分かりません、見切り発車で取り置きを頼むのも限界があるでしょう、ですが即断即決の行動力が無ければ対応はどんどん後手に後手に回っていきます、日常を取り戻すには先を見据えて動く力が必要というのを改めて認識させられました。
見なし仮設の申請や物件の選択ですが、受付開始から少し遅れて避難所でも避難所から動けない方やネット検索が出来ない方を対象とした出張対応が行われました、一応この様に避難所の中でも大体の手続きは出来るようになりますが、やはり少し遅れての対応になりますのでめぼしい物件は埋まっていたりとなってしまいます。
この辺りで第9回は終わります、次回は家の再建のお話をしていきたいと思います、ここまで読んで頂きありがとうございました。




