お庭の片づけと公費解体
第7回『お庭の片付けと公費解体』のお話です。
さて、庭に出した大物家電やゴミを全て集積場に送ったと仮定します、ゴミが無くなったあとは庭の片付けです、庭を片付けるって何を? とお思いのお方もいるかもしれませんが非常に厄介な相手が存在しています、汚泥です、こいつは土の上でも水と一緒に土中に染みこむという事は無くそのまま土の上に残ります、水を含むとヘドロ状になり靴裏に張り付き、乾くと粉塵として風に舞う、変幻自在の中ボスの風格を持って庭に鎮座しています、こんな奴に庭に居座られたらたまったものじゃありません、こんなやつは土嚢袋に詰めてポイです! ……な~んて考えていたら偉い目に遭いましてね、我が家の狭い庭でも炎天下で掘っては詰めて掘っては詰めての繰り返しはかなりきつい物でして、毎日1トン以上土砂を詰めていましたが裏庭だけやってギブアップしましたorz
人海戦術がとれるなら一気にやってしまうといいと思いますがなかなか手伝いを頼むのも憚られます、こういう時こそボランティアを頼むのも良いかもしれません、前回の家の破壊にはボランティアを頼まずなぜ今回は? と言われるかもしれませんが、良くも悪くもボランティアの方達には責任を持たせられないのです。
家電の運び出しの際にうっかり窓枠を破壊しようと壁を壊す際に柱を折ろうとどうしようもありません、そういったリスクを互いに持たない為に私はそういった部分でボランティアの方々に助力願うのは遠慮させて頂きました、砕いた石膏ボードの片付け等、リスクの低い作業をお願いするのはアリだと思いますけどね。
お庭の土をとってもとらなくても庭には消毒用の消石灰を撒きましょう、恐らく自治体の方で用意してくれると思いますので満遍なく庭中に薄く撒いて下さい、天日で乾燥したら問題ないとの話も聞きましたが撒いておくに越したことはないでしょう。
ちなみに庭土のすき取りで広さ20坪前後でも5~10万円位かかったりします、もちろんすき取りの際の深さを少なくしたりすれば節約はできますが業者に頼む際にはそれ位かかるのを覚悟しましょう、さらに言いますともしも公費解体で家を解体する場合、庭土の入れ替えは公費解体の対象外です、あくまでもこの制度は『家屋の解体』に関わる制度ですので注意が必要です。
さて『公費解体』のワードが出ましたのでこちらの説明を、公費解体は読んで字の如く公費による解体、自治体と国が家屋の解体費用を負担してくれる制度です、入札により受注された業者さんが家屋の基礎までの解体をしてくれます、一見ただで解体をしてくれるなんてなんていい制度なんだ! と思いますよね? 確かにいい制度です、ですがこの制度にも落とし穴があります、入札制のため費用を安く受注しなければならず、あまりこぞってやりたい! となる仕事でありませんし、この間もハウスメーカーからの解体依頼が後を絶ちません、結果必然的に解体業者は不足してしまいます、その為どれだけ早く申し込んでも優先順位等から後回しにされたりで解体の予定が立たない事態に陥ります、去年の話ではありますが私が解体で悩んでいた際に、営業さんから『熊本の震災の公費解体が2年経っても終わっていない』との情報を頂きました。
また、こういった災害時の建て直し等の需要に合わせ各住宅メーカーはお得なキャンペーンをやっています、言い方は悪いですがこういった災害時は住宅メーカーにとっては湧いて出たバブル景気のような物です、新規の顧客獲得のため普段では無いような値引きがされていたりします、こういった被災者割引に関しては当然期限がありますが、大体1年位でキャンペーンを打ち切る所が多いみたいです、契約のみでキャンペーンの割引を受けられればいいですが大体は定められた期間内の着工が条件になっているようでから、そうなると公費解体では少々不安がありますね……。
そういった不安を解消するのが自費解体の費用償還制度です、これは自費で業者に家屋解体を依頼し、その費用を自治体及び国に申請して負担して貰う制度になります、ただ、こちらで申請した場合飽くまでも費用見積もりのベースが公費解体の入札価格になりますから、公費解体に比べ20~50万円程度高くなります、ただ、こちらの場合は解体に関してのスケジュールがきちんと分かるためその先の生活再建の予定が立てやすいメリットがあります、細かい追加注文も付けやすくなるというのも大きなメリットですね。
こちらも期間内の申請でなければ受け付けてもらえませんが、公費解体の応募をしておいて同時進行しておくのも手です、公費解体のスケジュールを確認し、間に合いそうになかったら自費解体に切り替えて公費解体を取り下げます、本当はよくないのですがこういった災害時は割とお目こぼししてくれるみたいです、自治体によっては認めてくれない可能性もありますからその辺りは突っ込まれてもしらばっくれるしかありません、知らぬ存ぜぬの精神ですね。
生活再建に関して急いだ方がいいのは当たり前ですが、急いだ方がいい理由はもう一つあります、『消費者物価指数』の問題です、日銀や政府の目標として年2%の物価上昇という目標値が存在します、住宅業界に関してはこれに合わせて律儀に年2%ずつ価格が上昇しているそうです、もちろん、ただ上昇するだけではなくそれまでオプションだった床材や壁紙が以前より求めやすい価格でデフォルト装備になったりもしています、ですが高い買い物ですからそれが必ずしも嬉しくあるとは限りませんよね。
去年の豪雨災害はタイミング的に消費増税と被ってしまったため、駆け込み需要との兼ね合いから着工が遅くなり消費税10%で建築せねばならなくなった人も居ました、公費解体待ちをしていてそうなった人も多くいましたのでタイミングを見てどちらを取るか、どちらが得かきちんと判断せねばなりませんね。
さて、それでは第7回はこの辺りで、次回は避難所に関して書いていきたいと思います、よろしくお願い致します。