被災住宅のお片づけ:後編
第6回『被災住宅のお片付け:後編』です、今回は破壊です、マイホームを破壊します。
浸水したマイホーム、汚泥が至る場所に侵入し、断熱材や石膏ボードが汚水を吸い込んでいます、私も住宅のプロではありませんから近所の人間の対応や聞いた話、自分でやったことについてしか語れません、リフォーム前の自主解体については住宅メーカーの営業さんや建築士の方にも聞きましたが明確な正解というものが無いようです、家の破壊についてはその後のリフォームを何処までやるかを考え、自己責任でやらねばなりません、悪しからずご了承の程お願い致します。
※追記:この際、家を施工してくれた建築会社に連絡がつくならばそのアドバイスを頼りましょう、ですが、こういった非常事態に対しての詳しい知識のある人というのはまれです、周囲でも連絡はついたが答えは貰えなかったとの言葉が多数……中には直接出向いてくれて相談しながら一緒に片付けた等との話も聞きましたが、その会社によって対応は様々ですね。
床下浸水までであれば床下点検口に送風機を稼働させていれば時間は掛かりますが床下を乾燥させるには十分でしょう、ですが床上まで浸水した場合、特に1階部分の半分近く浸水した場合はどうするべきか、どの辺りまでリフォームするかで対応は変わります、私の場合2階までガッツリ浸水してましたので選択の余地はありませんでしたが、中途半端に来られるとどうしても迷う物です、不安を煽る訳ではありませんが、私がやるとすれば汚水、汚泥の汚染や壁裏の黴の発生を危惧してしまうため壁の貼り替えはやるべきであると考えます、勿論大金をかけてのリフォームになりますので各々の懐事情次第で掃除と乾燥のみで済ませても構わないとは思います、結局財布と相談しどこで折り合いをつけるかですね。
仮に内壁を貼り替えるとします、まずは壁紙をどんどん剥がしていきましょう、天井まで1枚で繋がっていたり接着剤でくっついていて予想外の箇所まで剥がれる可能性がありますから、天井を貼り替えないならカッターで貼り替え予定箇所に切れ込みを入れておきます、壁紙の下には石膏ボードがあります、浸水箇所は石膏ボードが水を吸って脆くなっていますから金槌で殴れば簡単に面で砕けます、ですが乾燥している箇所は点で砕けても面で砕けないため除去に時間がかかるのと、石膏ボードの粉が舞うため注意が必要です、目や喉に悪影響があるためマスクや出来ればゴーグルや安全眼鏡が欲しいところです。
石膏ボードを除去する際に気を付けたいのは、柱を傷付けないことと側板の存在です、柱と柱の間に石膏ボードの止め付けや補強、余った板を適当に打った物まで様々な板があります、仮に拳でボードを砕いていたらこいつを殴って痛い目を見ます、気を付けましょうマジで痛いです。
石膏ボードを取り除いたら次は中の断熱材を抜きましょう、申し訳ありませんが近所に発砲ウレタンフォームの断熱材を使用した家が無かったため今回はグラスウール等の袋入り断熱材と仮定します、断熱材はビニール製の袋に入っていますが密閉されていないため水を吸っています、水を吸ったスポンジのような物ですので乾くまで待っていたら相当時間が掛かります、水を吸った断熱材はさっさと抜き取り捨てましょう、こちらも袋の中身は目や喉に悪影響ですので注意して抜き取って下さいね、この断熱材を抜き取る際に先程石膏ボードを砕くのを邪魔した側板がまたも邪魔をします、バールを使い剥がしていきましょう、剥がした際に柱に釘穴が残るのは気にしてはいけません、プロがやっても釘穴は残りますから諦めが肝心です。
片っ端から壁を破壊したら今度は建具やキッチン風呂等です、換気扇にIHコンロに食洗機、水没したならば衛生上問題がありますからどんどん外して捨てます、キッチン周りの引き出しや開きのドア、全部外して捨てましょう、この辺りでハイになってきて余分な破壊まで始めてしまいがちです、理性を保って破壊を続けて下さい、洗面所もリビングも和室も収納扉や各種ドア交換予定の物は全て外してぽぽいのぽいです、風呂釜も風呂場の壁を貼り替えるなら多少傷付いても問題ないでしょうからシリコンコーキングを剥がして外してぽい! トイレも外してお外にぽいです、こういった水回りを外した際には排水の穴にガムテープ等で蓋をするのを忘れずにして下さい、下水から悪臭が上がってきます。
とまあ、こんな感じでリフォームプランに合わせて必要ない物、交換する物は全部災害ゴミとして捨ててしまいましょう、なぜそこまでやるか? 災害ゴミの個人持ち込みは処理費用が掛からないからです、仮に業者さんに頼む場合は出したスクラップの重さや量で料金が変わります、リフォームの前準備を自分でやることでコストを抑える目的ですね、もちろん労力に見合わないと判断すれば前回のゴミ掃除だけで済ませて後は業者さんに任せるでいいと思います、時間と労力の使い道は人それぞれですからね。
ちなみに家の内壁が土壁の場合も全部剥がしていくのですが、実はこの土壁リサイクルできるらしいです、洗浄乾燥することで元通り使えるらしいですのでリフォームの際にもう一度土壁に……という方は剥がした土をとっておくといいかもですね、まあ、今の時代土壁を施工しようとしたらかなりお高くなりますが……。
道具で語ったバールですが、2階まで浸かった際には天井に穴を開けるのに使えます、何故天井に? とお思いかもしれませんが2階まで浸水したら当然天井裏にも水が来ています、石膏ボードの箇所等は水が抜けるのですが和室や古い住宅の天井に使われる挽き板だったりした場合、密封性の高さから天井裏に水が溜まっている可能性があります、穴を開けて水を抜かないと重さで天井が落ちてくるかもしれません、注意しましょう。
あとは床ですかね、床板も古い住宅の薄い床板ならばバールで剥がせば割と簡単に剥がせます、ですが昨今の住宅の分厚い集成材と接着剤は簡単には剥がせません、私も縁側や和室の床材を剥がそうと苦心したのですが、一部壁にめり込んでいたり釘が太すぎて抜けなかったり、チェーンソーで切ろうとして柱に傷を付けたりと散々でした、こちらは覚悟が無い限り業者さんに任せる方が無難な様です。
この作業中、どの段階でもいいので汚水に汚染された部分には消石灰を撒いて消毒をしましょう、なるべくなら水分があるときにやる方がいいらしいですが、すぐに手に入るとも限りません。消石灰自体はホームセンター等でも売っていますがしばらくすると自治体で配布をしてくれます、床下にもよ~く撒いておきましょう。
さて、マイホームの破壊とその理由についてはこの辺りで、次回は庭の片付けと公費解体についてにしようかと思います、それでは今回も読んで頂きありがとうございました。