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保険屋さん

 室内の片づけが一段落し、破壊に目覚める前辺りのお話、保険屋さんからお電話がありまして、担当さんがついたので被災状況の調査にいらっしゃるとのこと、保険の支払に関して色々現地で見ないといけない箇所があるとの事で立ち会うことになりました、なにをするのかは分かりませんが自治体の罹災証明には全壊で認定が出ています、何も恐れる事などありません、その時の私の心境は『もう……何も怖くない!』です……完全な死亡フラグですね。


 担当さんが現着し、いざ査定の始まりです、まずは家屋図面を見て家の広さ等の確認、その後被災時にどこまで浸水したかの確認です、スマホで撮影した写真を見せながらどの辺りまで水が来たかの詳細な説明、そして室内の浸水痕と外壁の浸水痕を確認して地面からの高さを測っていきます、この時点で私の頭には『?』マーク、既に全壊なのに測って何かなるの? でした、やがて測定が終わり何やら計算していた担当さんから信じられない一言。


「この家だと容積率で68%ですので、保険の全体金額の68%で〇〇円ですね」


「へっ!? いや、全壊だから全額出るんじゃないんですか!??」


「あ~、自治体の罹災証明のやつですね、そちらと会社の規定とはまた別でして……」


 担当さんが天井を見上げて指差します。


「ここ、2階の天井まできて初めて全額です」


 開いた口が塞がらないとはこの事で、まあ、契約書の内容を熟読してない私が悪いんですけどね(´;ω;`)

 さて、こうなっては大変ですリフォームにせよ新築にせよこれでは資金が全く足りません、こうなればやることはただ1つ! 分かりますね? そう、泣き落としです、うちには幼い子供が2人居てローンもまだ3年しか払ってないんです……切々と朗々と情感込めて語ります、さあ、歌って頂きましょう! 『津軽海峡冬景色』! ……違いますね、とりあえず切々と訴えた結果2%水増しして70%にしてくれました。


 ですが、どうやらリフォームに関しては別に制度があるようで、見積もりを出して支払額がそれに足りないようなら見積もりに応じた額が支給されるらしく、実際に施工するのが見積もりをした業者じゃなくても、振り込み後に建て替えに切り替えても問題ないとのことで、常識的な範囲内なら問題なく支給されるだろうと教えて頂きました、どうせやるなら有名メーカーでなるべく高く見積もってもらえとアドバイスを頂き解散、とりあえず先を見る上で光明が見いだせてきました、サンキューおっちゃん!


 とまあ、こんなやり取りがあったわけですが、後日激甚災害認定や自治体の発表を受けて全額支給となりました、ここで注意したい所が、全額フル支給になると保険期間が残っていても1度満了となり契約終了となります、ですが契約時支払った保険料は契約からの年数分を引いた額が返還されるので損はしません、改めて新しく保険に入り直しましょう。

 

 あと、保険の回で水害に入ってない人は3割支給と言いましたが、周囲に改めて聞いた結果、どうやら郵便局の販売している火災保険などは6割の支給だったとか特例があったそうで、今回はそれを売りに保険の勧誘に回っていたらしく流石商魂逞しいというかなんというか……。

 逆に暗い話になると国内大手保険会社が足並み揃え全額支給を決めた中、外資系の保険会社の中では規定通りの額の支給しかない会社が多かったとか……格安が売りの保険が多いですがやはりこういった際には国内大手の方が融通が利くようですね、一時の安さか、万が一の保証か、どちらをとるのか悩ましい所ですね

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