レッツディストラクション
そういえば家の中の物を片づけて居たときに会社の同僚が手伝いに来てくれましてね、以前書いたような頭から汚水を被るなんつートラブルにも見舞われましたがなんとかかんとか片づけていた訳です、んで、1階部分が終わって次は2階。
「泰明よぉ、このクッションも捨てるんじゃろ?」
なーんて聞こえるわけです、分かりますよね? はい来ました3回目ドン! 『魅惑の巨乳』さんがこんにちわ! 爆笑する同僚を尻目にさっさとゴミに詰めてベランダからポイッ、袋ビリーの再び『魅惑の巨乳』がこんにちわ! 別の同僚がそれを見つけて大爆笑……もうね、あれですよ、好きにして下さい、もうこういう運命なんです……。
そんなこんなで家の中身は粗方出し終わり同僚達に御礼を言って見送り、さあ、家を破壊します、八つ当たりではありません、これは必要な破壊なのです、何処かの錬金術師も言っていました『壊して作る! これすなわち大宇宙の法則なり!』と。
とはいえいまいち勝手は分かりません、そりゃそうです解体業者に勤めでもしない限り家の解体なんてする機会はないでしょう、ですが木造建築の我が家は早くに断熱材を抜き取らなくては柱の乾燥に差し障ります、ましてや黴が全体に回った日には……。
不吉な想像は置いておいてとりあえずクロスを剥がした壁を観察、本来白いはずの石膏ボードが水を吸ってねずみ色になっています、どうしたものかと軽くノックをするように叩いてみるとそこを起点に放射状にヒビが……元々そう丈夫なものではありませんが水を吸って更に脆くなっていたようです、これ幸いとめくって剥がしてポイッ……。
……なにこれ? 前衛芸術かな?
剥がした石膏ボードの裏面には大小様々な無数の黒い斑点が……ぱっと見額に入れて『浸食』とか適当なタイトル付けたら物好きが買いそう……いやいや、現実逃避はいけません、壁裏にいたのは黒カビ、剥がした石膏ボードの裏にびっしりの黒カビです、流石に一瞬息を吞みましたがこれしきでへこたれては片付けなどできません! 恥を掻いた腹いせ……じゃなかった、生活再建への思いを乗せた拳を石膏ボードに叩き付けます。
お? あ、いや……これは……た、楽しい! 楽しいぞこれ! 考えてみればマイホームを破壊するイベントなんてなかなかないもの、通常時に石膏ボードを割砕いた日には私の頭蓋が嫁に砕かれます、そんな普段出来ない悪いことをしている背徳感! 破壊している内に何だか変なテンションになるのも無理からぬ事! 気分はさながら某格闘ゲームのボーナスステージ!! ふははははははは! 脆い! 脆いぞ石膏ボード! 貴様の本気はこんなも……バキョッ!
……石膏ボードの下にあった側板で拳を負傷しました。
皆さんに忠告です、家の解体には工具を使いましょう、調子に乗って遊んでいるととんでもない事になりかねません、何をするにも体が資本、無茶をして怪我をして後悔しても遅いんです、痛かったんです!!
ですが時に逆境という物は人を著しく成長させます、私はこの時また一つ賢くなり、大人への階段を一段上ることが出来ました、生活再建までに一体どれ程成長できることか!! 私は自分の持つ可能性が怖い! と、嫁に語ったところ無言で頭を叩かれました(´;ω;`)




