お片付け
前回の取材に前後した辺りで妹夫婦が手伝いに来てくれて、ようやく大型家電等の処分に着手できました、掃き出し窓から冷蔵庫やら洗濯機やらダイニングテーブルやらを次から次に放り出します、ってか義弟ったら力持ち……流石元総合格闘家……思わず胸が『トゥンク』って高鳴るところです、鮮やかな手際に見惚れていると義弟がバールを取り出し天井を眺めています、何かあったのか? と訝しみ見ていると……。
『バキッ』
やだ! そんな激しい! 心の準備も出来てないのに!! 義弟がぶっといバールを勢いよく突き入れていきます、何度も、何度も、そう何度も……そうこうしている内に天井の一部が崩落、水を吸った断熱材と共に大量の水が……。
「やっさん天井裏に水溜まってる所あるから抜いといた方がいーよ、おやっさまのとこもなってたから」
言われてみれば確かにそう、だけど先に言っておいてほしい、ドキドキしすぎて吊り橋効果発動したらどうしてくれる……(////)。
どうやら事前にどうするべきかを調べてきてくれたらしく、いくつかのアドバイスを貰い、手際よく片付けを終えて義弟は又実家の方の手伝いに戻っていきました、かっけぇ……(´Д`*)。
さて、大物を片付けたら次は小物を片付けていきましょう、義弟が差し入れてくれたゴミ袋に押し入れの中身を詰めていくだけ、楽勝だね、ひゃっほい!
「……そんな風に考えていた時期が、僕にもありました……。」
押し入れの前に立った僕に突き付けられた絶望は買い置きのオムツの形をしていました。
最近の紙おむつの給水性能というものは素晴らしいもので、限界まで水を吸うとハンドボール位のサイズになります、1個あたり重量は2キロ無いくらいですか? それが押し入れの下段に溢れんばかりに……。
この時買い置きしてあったオムツは80枚のパックが7セット……およそ1トンのパンパンオムツがそこにありました……皆さん、水害の危険があるときにはオムツは濡れない場所に退避して下さい、これはマジで泣きそうになります。
ちなみに去年の水害、我が家と実家に加えて伯父の家も被災しており、しかも実家も伯父の家も年寄り家庭の上に土壁というきつい現実が……。
※断熱材の家に比べ土壁の家は土その物が水を吸うため壁を全て崩す必要がある、しかも土だけにかなり重くなる。
その為我が家に関して身内の手伝いは望めず、職場も人手不足の中の災害で支援は望めない、地元での被災ですから友達も皆仲良く被災者です、つまりここから先は孤立無援、一人で片付けと解体を進めなくてはならない……あれ? これもしかして詰んでない??
……まあ、何とかなるでしょう、そうです、これまでの人生もなんだかんだでどうにかなりました、私は大きく溜息をついてから黙々とオムツをゴミ袋に詰めていきました……。




