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避難所到着

 秘密を暴かれたダメージそのままにボランティアの方々の車で私達は一路避難所へと移動しました、町内の避難所は一杯らしいので隣町の避難所へと車は走ります。

 多少水の引いた川を眺めつつ隣町に入った私達が見たのは、つい先程私達が失った日常でした……地元に繋がる道や土手の上は救急車や消防車でごった返していますが、橋を渡った対岸側は嘘のように日常のままです、少しほっとしたのと同時に無性に空しく感じたのを覚えています、ああ、色々失ったな……と。


 避難所の小学校には知った顔触れが何人もおり、互いの無事を確認し合い、同時に今後の不安を話し合いました、周囲を見ればペットと一緒に救助された方も沢山居て、散歩時によく顔を合わせた子などが元気にしているのを見ることが出来安心したのを覚えています、ちなみにペットアレルギーや吠え声の問題があるため数日後にペット同伴者専用の避難所が用意され、彼等はそちらに移っていきました。


 しばらくすると避難所に支援物資と食料が続々と運び込まれはじめ、あっという間に一区画を埋めていきます、どうやら私達が救助されるまでの間に着々と準備は進んでいたようです、タオルケットと人数分のおにぎりを頂き、取り敢えずの家族会議です、議題はベッド下のお宝ではなく今後の話、家が沈むまでに保険屋さんに連絡はしておいたのでそちらは担当が付くまで保留、オムツなどの生活必需品は持ちだした物で暫くもつ、さすがに精神的な疲労が激しかったため、取り敢えず続きは両親と合流してひと休みしてからにしようという結論になりました。


 と、そうこうしていると携帯電話に着信が……上司からです、一応被災したことは連絡しましたが確認の電話を掛けてきたようですね。


「泰明さん大丈夫ですか?」


「おう、家族は全員無事やけど家は駄目やな……暫くは避難生活や」


「それは大変ですね……どうなりそうですか?」


「? そりゃリフォームするか建て替えするか……」


「いや、そうじゃなくて……」


「? なくて?」


「出勤の方は……」


「ふざけんな避難所から出勤しろってか? しばきまわすぞおどりゃぁ! :∵(ºДº#)」


 な~んて愉快なやり取りもありました、電話でよかったですよ、目の前に居たら……ねぇ?


 さて、気を取り直しましょう、それにしても、おっさんになってから立ち入る小学校ってのはノスタルジックと言うか何だかワクワクするものです、都合良く図書室で子供向けにDVDを上映してくれるらしいので娘を送ってから内部の散策を……ですが、あちこちの教室には避難者が入っており、皆一様に疲れ切った顔をしてうなだれています、流石に散策する気も削がれたため娘の様子を見に図書室に戻りますと、子供達がワイワイ騒ぎながらテレビを見ていました。


「娘~何見てんの?」


「おとーさん! これ面白いよ!」


「え~、どれどれ~? なんてやつ~?」


「えっとね! ポニョ!」


「……(ºДº) (ºДº;)≡(;ºДº)……えっ!?」


 チョイスがおかしくありませんか担当さんOrz

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