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僕はみんなの傍に居たい。  作者: 一ノ元健茶樓
11/14

徳レベル10

 


 HISON 虹之町店は、一瞬にして薔薇の花園となっていた。


「店長!俺は、ここへ買い物に来た時、あなたに一目惚れし、ここへバイトに来たんです。でもノンケだし、結婚してるし、お邪魔にならないよう、お力になれればと思ってここで働いてましたああああっ!だから、こんな変な奴と付き合うなら、僕と付き合ってください!!」


(何が、だからなの…?)


 それを聞いた誠は、顔つきが変わる。


「ふふ、アタシに戦いを挑んで来るとは、身の程知らずもいい所ねっ!ちょっと若いからって調子にのらないでちょーだいっ!店長…まだアタシ達、会って数分しか経ってないけど…これって、運命の出逢いよね?分かってたわ…あなたが私の事、一万二千年前から、愛してたってこと。いいわ、付き合いましょう!私と!!」


(なんで俺が愛してた事になってんだよ…)


 ここで律子と忠義の、後ろで見ていた、夏美という子が前へ出て来る。


「もう、誠!場をややこしくしないのっ!ただでさえ、ややこしい存在なんだから、店員の男の子に譲ってあげなさいよ…ね?お母さん?」


 そう言って、律子の肩にそっと手を置く。


(何が、ね?お母さん?なの?モーニング娘なの?)


「そうねぇ…私は、別にぃどっちでもいいんだけど…二人とも翼には、勿体ないくらいイケメンだし…ねぇ、あなた?」


 そう言って、律子は忠義の肩にそっと手を置く。


「う、うう~ん。理解はし難いが、愛の形は千差万別、十人十色…。認めざる負えんな!ねぇ~?美月ちゃん?」


 そう言って忠義は、しゃがんで美月の肩にそっと手を置く。


「らぶらぶらぶ~!」

「きゃわ~ん!」


(コイツら…。ど、どうしよう。このオネェはいいとして、山下くんの気持ちが痛い。ちゃ、ちゃんと俺の気持ち伝えないと…)


「あ、あのぉ…山下くん…?お、俺はね…」


 そう言った時だった。


「夏美?誠も何やってんだ?お前らも、;:…、-のオバサンとこ行こうとしてたのか?」


 いつも店前で、夏美と呼ばれる子と一緒に居る男と、見知らぬ女の子が1人居た。

 それを見た夏美が、声をかける。


「あら?陸に、亜美ちゃん…。あなた達も、今日行くつもりだったの?仕事だと思って、誠と一緒に叔母様の所、訪ねたら…新しい息子さんを紹介されて、誠とバイトの男の子が、ねるとん紅鯨団なのよ…」


「な、なんだそりゃ…」


 すると陸の隣りに居た、亜美という子が翼の元に走って来る。


「ちょっとまったあああああああっ!!!」


「わ!亜美ちゃん?!どしたの?!」


 隣で叫んで走り出す亜美を見て、陸が驚く。


「わ、私!;―-…:君の元彼女なんですけど!:…-*'君が死んでから色々と!思い出してて!なんで、別れちゃったんだろうって…だ、だから!”*-…=君のお母さんの新しい息子さんなら、*:^'…君と同じだし!私と付き合ってください!お願いしまああああああああああっす!!!」


「喜んでぇ!!!!」


 翼は、食い気味に返答する。


「ええ!返事早っ!!」


 一同は、驚く。


「僕は…君を妻に迎えるよ…亜美ちゃん…」


「えっと…名前知らないけど、あ、店長って書いてる。えーと、馬一 翼さんっ!!私を波の数だけ抱きしめて!銀河の果てまで!!」


「か、母さん…」

「あなた…」


 忠義と律子は、寄り添い合い、涙を流している。


「ふふっ、残念だったわね…でも、あなたの気持ち…愛だったわよ…坊や…」


 誠は、膝と手を着いて、ガッカリしてる山下くんに向かって、手を差し伸べる。


「…ふっ、あんたも年の割りには、なかなかだったぜ…えーと、名前は?」


 誠の手を握る、山下くん。


「誠よ…よろしくね!」


「山下…です。あの…誠さん!」


 誠は人差し指を、山下くんの唇に当てる。


「そーゆー所が、坊やだってば…」


「ま、誠さん…」


 何故だか2人は、抱き合って居た。


 律子と忠義、誠と山下くん、翼と亜美ちゃん、ついでに美月とジョージは、コンビニの前で抱き合っていた。


「え、えーと…陸…」


「お、おう…な、夏美!」


 余った2人も、とりあえず抱きついた。

 しかし、2人は思っていた。


(私…)(俺…)(既に結婚してるしな…)


 コンビニの中では、それを吉田さんと、野村さんが見ていた。


「ありがとうございまあああああああああすっ!!!」


 と言って、吉田さんは倒れ。

 ノムッチは、


「恋難には、こういうタイプのモノもあるのね…メモメモ…」


 と、1人でレジを担当する事になっていた。


 ― 数分後 ―


 翼は事務所で、寝ていた。

 隣では、何故か亜美ちゃんが事務処理をしている。

 PC操作などは得意なようだ。


 亜美ちゃんは、一段落したのか眼鏡を外して翼を見る。

 ボヤける視界、何故か胸が熱くなる亜美。


「;='…*:…」


 そう言って、亜美はハッとする。


「や、やだ…アタシ、何言って…」


 目に涙が、溢れて来る。

 1人、翼を見ながら泣く亜美。

 翼が、目を覚まそうとする。


「泣いてちゃダメだよね…」


 そう言って、泣き止む亜美。


「ん…うわぁ!だ、誰?!あ…そ、そうだ。あんた…」


「もう!あんたじゃないでしょ?亜美って呼んでよね。ダーリン!」


「え?ダーリン?てか…あれ、本気じゃないでしょ?」


「…え?本気じゃないの?私は…本気…よ?」


(ど、どうしよう。あの場を丸く収めるには、この子の申し出を、受けるのが1番だと思っただけで…)


「そ、そっかぁ…アハハハハ…」


「あ、そうそう。これ書いて、婚姻届。さっき、あなたのお母さん達が持って来てくれたの」


(あのクソ夫婦…!)


「い、いや、落ち着いて…亜美ちゃん。僕ら会ったばっかりだし、僕は子持ちSHISHAMOだよ?それにあのババアが姑になるんだよ?良く考えて?」


「おば様達には、何回も会ってるから大丈夫です。個性が少し有りすぎるだけですよ。それに私、女の子欲しかったし、ワンちゃんも大好きだし…それに…」


「そ、それに…?」


「恋に時間は関係ないと思うんです!!」


「いや!あるでしょ!!!」


 その時だった。

 事務所のドアが開き、ロッシーちゃんが入って来る。


「おはよぉございます!店長!…と、誰ですか?はじめまして、私、ロッシーです。よろしくお願いします!」


「…」

「…」


 その後ろから、田所くんが来る。


「え?!ロッシー何やってんだよ!今日、お前、休みだぞ!」


「…え?」


「なんかシフトを、変えるとか言って…ん?あの人、誰だ?ロッシー…」


(そう言って、ロッシーと田所くんがゴニョゴニョ話している)


「お二人共、申し遅れました。私、馬一 亜美と申します。本日付けで、翼の嫁となりました。以後、お見知りおきを…」


「ええ?!店長の奥さん?!す、すいません。気づかなくて…よろしくお願いします!」


「店長の奥さんなんだ!よろしくお願いしまぁす!!フゥー!ラブラブゥ!」


 田所くんと、ロッシーちゃんは、お辞儀をする。


「いやいやいや!二人とも早まらないで?!まだ、決定したわけじゃ…」


 そこへ、聞き慣れた声がする。


「パパー、バァバが早く帰って来いって…」


「うぇ!?!美月?!あれ?ジョージは?」


 指差す先を見ると、山下くんが外でジョージと走り回っていた。


「ふぅ…じゃ、あとよろしくね。田所くん。あ、佐藤くんも来るんだよね、今日は。何かあったら連絡してね。あとロッシーちゃん、今日休みだよね?ウチ来る?どうせ、呼びに来るくらいだから、またバカみたいに豪勢な料理作ってると思うんだよ、あの早とちりババァ…」


「あ、す、すいません。私、ニアちゃんが待ってるんで、家、帰りますね!お疲れ様でした!」


 そう言って、走って行ってしまった。


(走るの速ぇ…)


「じゃ、帰るか美月!」


 そう言って、美月を抱きかかえる。


「美月ちゃんって、言うんだ…よろしくお願いします。亜美って言います!今日からママって呼んでねぇ~」


「ママー!」


「お、おい、美月…」


 ― 空間 ―


「なんだか、トントン拍子に話が進むな…」


「うーん、BL展開、イマイチでしたね…新カプは出来上がりましたけど…」


(そこなんだ…)


「ところで…徳レベルが10になっとる。アレが起きる前に、何とかするんだぞ、アルテア…」


「こっちとこっちのカプの方が…私的には…ゼウス様、え?!あ!?この人なんですか?!先に言っといてくださいよ!」


「いや、資料渡してただろ…」


(やっば、読んでなかった…)


「あー、アレですよね!アレぇ~?!」


(アルテアよ…逆に、そんなんで良くこの地位まで昇って来たな…逆に凄い。逆に凄いから、ゼウス何も言わない…)



 ― 翼宅 ―


「さ、レッツパリナーイ!」


「かんぱーい!」


「かんぱい!」


「かんぱーい!」

「きゃわーん!」


「…」


 翼、以外はとても楽しそうにしていた。


(冷静に考えろ俺。ノリに流されやすい俺でも、この状況はおかしいと思えるぞ!いや、常軌を逸してるだろ…)


 そう言って、新しく加わった亜美を眺める。とても楽しくしている。


(今日、コンビニの前に来た時の顔…なんか、暗かったのにな…)


 そう思った翼は、もう考えるのをやめた。


「みんなぁ!!!もっかい乾杯しようぜぇ!!!」


「ヒュー!そう来なくちゃ!」

「よく言った!翼!」

「ダーリン♡」

「パパー!」

「きゃわーん!」


「かんぱーーーーいっ!!!」


 こうして、また、家族が増えた翼だった。




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