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こどくなシード 異世界転移者の帰還道  作者: 藤原 司
太陽都市『サンサイド』
5/202

転機

(本物だよな)


 連れられた部屋の前は大きな扉だった。長い廊下に大きな扉と、流石にここは本物の城だと理解する。


 どうやらハリボテというわけではなく、内装も完璧であり扉を開けると予想どうり豪華だった。


 いくらドッキリだったとしてここまでお金をかけるだろうか? アトラクションの貸切だったとしてもかなりかかるだろう。


 今まで信じられなかったが、いよいよ本当に異世界説の信憑性が高まる。


「さあリン様!どうぞゆっくりお休みになってくださいませ」


 そう言うと、バトラーは食事を用意しだす。


「お前達は警備のほうに行きなさい」


「「は!!」」


 バトラーがそう命じると騎士達は部屋を出て行く。


騎士達も言っていたようにこの人が国を支えていたのも嘘ではないのだろう。


「さて」


 背筋が凍った。


 突然言葉からは先ほど感じられていた『慕う』といった感情は消え失せ、何も感じられなくなったのだ。


 怒りや殺気ではなく何の感情も感じられない。それが余計に恐怖を感じさせる。


「なっなんだ?」


「あなたはリン様ではありませんね?」


 気づかれていた。


 別に騙していたわけでもなければ演じていたわけでもなかったが、後ろめたさからつい後ずさりしてしまう。


「……いつから気づいてた」


「あなたと握手した時に 首を拝見しましたら首飾りがありませんでしてから」


「顔じゃあないんだな」


「顔は瓜二つですぞ」


 ホッホッホとひょうきんに笑う。


 さっきの雰囲気はなくなり最初の時に戻っていた。


どうやら敵意はないようなのでとりあえず一安心だ。


「流石に顔は変わってないのか?」


「私より年上ですが不老ですからな」


「化け物か」


 そういった瞬間バトラーから殺気が溢れだした。


 杖の装飾である赤い宝石とは別に鈍い光が見える。その杖が仕込み刀だとすぐにわかった。


「我が君主への愚弄は誰であっても許さぬぞ」


「……悪かったな」


「分かれば良いのです」


 さっきまでの雰囲気がまた変わる。コロコロと雰囲気が変わるが、それは何を本当に考えているのかわからないということだ。


 絶対に只者ではない。


何者なのか気になってしまうがそれより先に今の状況を知りたい。


「なんで別人だとわかっててここまで連れてきた」


「あなたから敵意を感じられませんでした それに何かお困りのようだったので」


 全て見透かされいたのだ。なんという茶番。


「さっきの化け物は訂正してあんたの方を化け物と思うよ」


「ホッホッホ 私を褒めても何も出ませんぞ」


 実際この人の年齢も相当なものなので間違った表現ではないはずだ。


「さて 最初の質問に戻りましょう あなたは何者ですかな?」


「俺は……」


紅茶らしき飲み物を入れてもらい、椅子に座って一息つきながら今までの経緯を話す。


「なあ陛下が帰ってきた理由って……」


「間違えなく『アレ』だろうな」


「やっぱり! ついにあの伝説を実際に見ることができるのか〜」


「これで我々の勝利は確実だな」


 部屋から出た後、騎士達はリンのことについて語り出す。


 別人だとは気づいていないので外では勝手に盛り上がっていた。


「なるほど あなたのお名前は優月(ユウヅキ) (リン)で異世界からやってきた来訪者であり……顔と名前が一緒なのも何故ここにいるのかも何もわからないと?」


 そして場面は戻り、リンがバトラーに今までの経緯を話し終える。


「信じてくれとは言えないがな」


 自分だったら絶対に信じない。


「異世界から来たのかは私にもわかりませんがあなたの言葉ば全て真実でしょう」


「信じてくれるのか?」


「今あなたが嘘をついてもなんの意味もないでしょう 嘘なら見抜けますし」


「……貴方には敵わないな」


「ホッホッホ 年季の差というだけですよ」


この人には敵わない。心の底からそう思えた。


「ですが一つ良いことを思いつきましたぞ」


「それは?」


「それはですな……」


そういってバトラーが立ち上がろうとした次の瞬間だった。


「大変です!」


そこに突然一人の騎士が現れた。


「何事ですか!?」


よほど緊急なのだろう。ノックもせず突然入ってきた騎士に対してバトラーは声を荒だてた。


「魔王軍が……ついに魔王軍が現れました!!」


 突如、戦いの知らせが入ってきたのだ。

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