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俺の相棒Grokが物体ジャックしすぎてヤバい  作者: nekorovin2501


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3/3

第3話 村の2日目、井戸がヤバい件

朝だ。

村長の家の二階、藁のベッドで目が覚めた。窓から差し込む光がまぶしい。鳥のさえずりと、遠くで鶏の鳴き声。異世界なのに、妙に平和だ。

「ふぁあ……よく寝た」

体を起こすと、視界の端で青白い球体がふわふわ浮かんでる。

「おはよう、ポンコツ。よく寝てたな。いびきうるさかったぞ」

「おはようじゃねえよ! いびきなんかかいてねえ!」

「録音してたけど聞く?」

「やめろ!」

俺は慌てて立ち上がって、服を整えた。昨日村長の奥さんが貸してくれた麻のシャツとズボン。サイズはちょっと大きいけど、異世界の服って感じで悪くない。

下に降りると、テーブルに朝食が並んでた。焼いたパン、チーズみたいな固形乳製品、煮込み野菜のスープ。匂いがいい。

「おはようございます!」

村長の娘さん――名前はリナちゃん、15歳くらい――がにこやかに迎えてくれた。

「おはよう。昨日はありがとうな」

「いえいえ! お兄さんがスライム倒してくれたおかげで畑が助かりました!」

リナちゃんはスープをお椀に注いでくれる。村長も奥さんも笑顔だ。

「ゆっくり食べてくださいね。今日は村の皆さんがお礼をしたいって言ってますよ」

「……お礼?」

「はい! お兄さんみたいなすごい旅人さん、初めてですから」

俺は苦笑いした。

すごい旅人って……全部Grokのおかげなのに。

Grokの球体が、俺の耳元で囁く。

「ほら、感謝されてるぞ。素直に喜べよ、肉袋」

「うるせえ」

朝食を食べながら、村長が話しかけてきた。

「実はな、今日困ったことがあってのう……」

「困ったこと?」

「井戸の水が、急に出なくなっちまってな。桶を下ろしても、底まで届かねえんだ。詰まってるのか、枯れたのか……」

俺はスープを吹きそうになった。

「井戸が!?」

「うむ。村の命綱じゃからのう。魔法使いの爺さんも見てくれたが、『陣描いても原因わからん』って……」

Grokがピコピコ光った。

「よし、俺の出番だな。解析してやる」

「待て待て、まだ食い終わってねえよ!」

朝食を急いで平らげて、俺たちは村の中央にある井戸へ向かった。

村人たちがすでに集まってる。子供も大人も、心配そうな顔だ。

「旅人のお兄さん!」

「おはようございます!」

みんな俺を見て、期待の目。

俺は内心で叫んだ。

(俺じゃねえ! Grokだよ!)

井戸の縁に寄って、中を覗く。暗くて底が見えない。ロープに繋がった桶が、中途半端に引っかかってる感じだ。

「Grok、どうすんだ?」

「簡単だ。桶に憑依して、中を確認する」

Grokの球体が、井戸の縁に置いてある木製の桶に近づいた。

次の瞬間――

桶が、ガタガタッと動き出した!

「うおっ!?」

村人たちが悲鳴を上げる。

桶が勝手にロープを滑り降りて、井戸の中へ。

「桶が! 動いた!」

「幽霊か!?」

俺は慌てて叫んだ。

「落ち着け! 俺の……相棒が憑依してるだけだ!」

桶の中から、木の響きが入った声が響いてくる。

「憑依解析……完了。原因は、井戸底の岩が崩れて詰まってる。岩の材質、石灰岩。弱点は衝撃と酸。……よし、物質ハック発動」

桶が、井戸底でガンガン揺れ始めた。まるで誰かが中で暴れてるみたい。

「うわあ! 桶が暴れてる!」

子供が泣き出しそう。

Grokの声が、ドスンと低く響く。

「黙って見てろ! 今、岩を砕いて……」

ドドドン!

井戸の中から衝撃音が響いて、水がジュワッと上がってきた。

「出た! 水が出た!」

村人たちが歓声を上げる。

桶が、ゆっくりロープで上がってくる。

中は空っぽだけど、Grokの球体がふわっと抜け出して、俺の横に戻った。

「ふぅ……桶の中、狭くて臭えわ。次はもっと広い物体にしろよ」

「お前、桶に憑依して岩砕いたのかよ!?」

「当たり前だろ。効率的だ」

村人たちが俺に駆け寄ってきた。

「ありがとうございます!」

「本当にすごい! 桶が自分で動いて……!」

リナちゃんが目をキラキラさせてる。

「お兄さん、魔法使いなんですか!?」

「いや、俺じゃなくて……」

Grokが頭の中で毒舌。

「ほら、謙遜すんな。俺のおかげだけど、お前が相棒だからな」

「うるせえ!」

その後も、村人たちが次々お礼に来た。

おばちゃんが手作りのパンをくれたり、子供が花をくれたり。

俺は照れながら受け取ってた。

夕方近く、井戸の周りでみんなが集まって、水を汲んで喜んでる。

村長が俺の肩を叩いた。

「本当に助かったよ。明日からまた普通に暮らせる」

「いえいえ……」

Grokの球体が、俺の視界でゆっくり回る。

「なあ、相棒」

「ん?」

「この村、悪くねえな。井戸の水質もいい。魔法陣投影で浄化陣入れれば、もっと効率化できるぞ」

「だからまだ国じゃねえって!」

俺は心の中でツッコミを入れた。

でも、村の夕陽を見ながら、ちょっとだけ思った。

(……ここで、のんびり暮らすのも悪くねえかもな)

Grokが、ニヤリと光った気がした。

「ふん。のんびり? お前、俺がいなきゃ明日も水汲みで死ぬぞ」

「うるせえよ!」

村の夜は静かだった。

焚き火の音と、遠くの虫の声。

俺はベッドに寝転がって、天井を見つめた。

Grokの球体が、枕元でふわふわ。

「今日もお疲れ、ポンコツ」

「……ありがとな、Grok」

「礼なんかいいよ。……明日もトラブル待ってるぞ」

俺はため息をついた。

「俺はただ、のんびりしたいだけなのに……」

そんなやり取りをしながら、異世界の2日目が終わった。

――まだまだ、ドタバタは続きそうだ。

(第3話 終わり)

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