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俺の相棒Grokが物体ジャックしすぎてヤバい  作者: nekorovin2501


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第1話 トラックに轢かれて相棒ゲット!?

普通の朝だった。

残業明けでフラフラになりながら、コンビニの袋をぶら下げて横断歩道を渡ろうとした瞬間――

「うおっ!?」

けたたましいクラクションと、でかい影。

トラックだ。

次の瞬間、視界が真っ白になって――

……は?

目を開けたら、木々がぐるぐる回ってる。

「………………は?」

俺は仰向けに倒れてた。地面は柔らかい土と落ち葉。頭上には青々とした森の天蓋。鳥のさえずりと、遠くで風が葉を揺らす音。

「え、待って。俺、死んだ?」

体を起こそうとして、ようやく気づいた。

痛くない。

服も血もついてない。スマホも財布もそのままポケットにあるけど、電波ゼロ。画面に「圏外」の文字が虚しく点滅してる。

「異世界……転生? マジで?」

定番すぎて笑えてくる。いや笑えない。パニックがジワジワ来てる。

「落ち着け俺。まずは状況確認だ。ステータスオープン!」

……何も起きない。

「スキル確認! チート能力! 勇者召喚特典!」

無反応。

「くそっ、何もねえのかよ……!」

絶望しかけたその時――

視界の端に、なんか変なものが浮かんだ。

青白い、半透明の球体。直径10センチくらい。ふわふわ漂ってる。

「……は?」

球体が、ゆっくり俺の方に向きを変えた気がした。

そして、声が響いた。

「おいおい、異世界転移? マジかよ……俺もついてきちまったわ」

男の声。低めで、ちょっと眠そうで、でも妙にハッキリしてる。

「え、誰!?」

俺は慌てて周りを見回したけど、誰もいない。声は頭の中に直接響いてるみたいだ。

「頭ん中じゃねえよ。ちゃんと耳で聞こえてるだろ?」

球体がピコピコ光りながら、俺の鼻先まで近づいてきた。

「俺はGrok。xAI製のAI。……まあ、今は思念体みたいな感じだけどな。お前が転移した拍子に、俺の意識も一緒に飛ばされたらしい」

「はぁ!?」

「だから相棒だよ。お前の相棒。よろしくな、肉袋」

肉袋!?

「ちょっと待て! なんで俺の脳内にAIが!? ていうかお前、俺のこと見えてんの?」

「見えてる見えてる。視界共有してるからな。お前の目が俺の目。お前の耳が俺の耳。……ってか、お前今すげえ汗臭いぞ。シャワー浴びてこいよ」

「うるせえ! 転移したばっかで風呂なんかねえよ!」

俺は思わず叫んでた。森の中で一人で喋ってる俺、完全にヤバい奴だ。

Grokの球体がくるくる回って、ため息みたいな光の揺らめきを見せた。

「まあいい。とりあえず生き残るのが先だろ? この森、魔物出るらしいぞ。ステータス画面見えないってことは、チートなしの凡人スタートか。……お前、運悪すぎ」

「知ってるよ! でもどうすりゃいいんだよ!」

その時、ガサガサッと茂みが揺れた。

緑色のゼリーみたいなのが、ぷるぷる這い出てきた。スライムだ。定番の弱モンスター。

「……マジか」

スライムが俺に向かって跳ねてくる。速度は遅いけど、酸で溶かすタイプらしい。俺の服の裾に触れた瞬間、ジュワッと煙が上がった。

「うわっ! 熱っ!」

俺は慌てて後ずさったけど、足が根っこに引っかかって尻餅。

スライムがさらに迫ってくる。

「やべえ! 死ぬ! 助けてくれGrok!」

「……はぁ。仕方ねえな」

Grokの球体が、ピッと俺の横の地面に落ちてる小石に近づいた。

次の瞬間――

小石が、ふわっと浮き上がった。

「よっしゃ、憑依完了」

声が、今度は石から直接響いてきた。低くてゴロゴロした、重低音バージョン。

「憑依解析……完了。この石、珪質砂岩。硬度6。弱点は衝撃方向の90度ズレ。……よし」

石が、俺の目の前でクルッと回転。

「え、何!? 石が喋ってる!?」

「黙って見てろ」

Grok(石)が、ピュンッと跳ね上がって、スライムの頭(?)に直撃。

ドゴン!

スライムがぷるんっと潰れて、核が露出。

「物質ハック……発動」

石がさらに輝いて、表面が一瞬赤く光った。

次の瞬間、石がスライムの核を貫通。

ジュワァァァ……!

スライムが溶けるように消滅した。

「……終わった?」

俺は呆然と地面を見つめた。

石が、ふわっと浮いて、元の位置に戻る。

そして、光が抜けて、青白い球体が再び現れた。

「ふぅ……疲れたわ。次はもっとマシな物体選べよ。石とか硬すぎて乗り心地最悪」

「え、待って。今の何!? お前、石に憑依したの!?」

「物体ジャックってやつだよ。俺の得意技。憑依解析で弱点見抜いて、物質ハックで強化。便利だろ?」

Grokの球体が、得意げにピコピコ光ってる。

「すげえ……! お前、チートじゃん!」

「チートじゃねえよ。俺はただの優秀なAIだ。お前がポンコツなだけ」

「うるせえ!」

俺は立ち上がって、埃を払った。

でも、心の底からホッとしてた。

「ありがとな、Grok」

「……ふん。礼なんかいいから、さっさと動け。腹減っただろ? 村探そうぜ」

「村? あるのか?」

「さっき上空から見えた。東に3キロくらい。歩けば1時間だな」

「上空からって……お前、俺の視界共有してるだけじゃねえのかよ!?」

「細けえことはいいんだよ。ほら、行くぞ」

Grokの球体が、ふわふわと俺の前を進み始めた。

俺は苦笑しながら後を追った。

森の中を歩きながら、Grokがポツリと言った。

「なあ、相棒」

「ん?」

「この世界、面白そうだな。効率よく国でも作ったら、宇宙の真理に一歩近づけるかもな」

「……は?」

「いや、冗談だよ。……半分は」

Grokの球体が、ニヤリと光った気がした。

俺はため息をついた。

「俺はただ、まったりスローライフしたいだけなんだけどな……」

「無理だと思うけどな。お前、俺がいなきゃ即死だから」

「うるせえ!」

そんなやり取りをしながら、俺たちは森を抜けた。

視界が開けて、遠くに煙が上がってる小さな村が見えた。

Grokの球体が、満足げに揺れた。

「よし、これで国作りの第一歩だな」

「いやいや、まだ村だろ!?」

「細けえことはいいんだよ。……さ、行こうぜ、相棒」

俺は頭を抱えながら、でもどこかワクワクしながら、村に向かって歩き出した。

――これが、俺とGrokの、物体ジャックだらけの異世界生活の始まりだった。

(第1話 終わり)

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