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御御足は細く長く

作者: しろかえで

 だいたい私は醜女(しこめ)ってるから……自分の心に“化粧映え”の呪文でも掛けなきゃ駅前に出るのだって嫌だ!

 ましてや酷暑で強烈な日差しなのだからますますメイクは()()()()となり、挙句の果てには“夜目”とは真逆だけど……遠目、()()の内を決め込んで、ようやく電車に乗る決心がついた。 

 ジリジリ焼ける田舎道?をギーコギーコと自転車を漕ぎ駅へ向かう。

 駅前の地下駐輪場(でないと日差しに焼かれて自転車が地獄の乗り物と化してしまうので)に自転車を停め、階段を上って再び灼熱の路上へ出る。

 ここで私の“HP”はゼロになってしまった。

 さりとて動かなければ“ローストしろかえで”になってしまうので……無いHPを振り絞って先へと進む。

 ああ!駅の高架に繋がるエスカレーターまであと10メートル!


「?!」


 今、私の横を通り過ぎたのは……このあいだムエットで試したリブレ ロー ニュの香り……その香りの軌跡を追うと華やかな白いワンピースが“颯爽と”歩いて行く。

 その裾は短めで御御足(おみあし)は白く眩しい。

 素敵だ!!

 あたかも香りの鎖で繋がれ牽引される様に私は彼女の後を追い、エスカレーターに乗る。

 二段先の彼女の御御足は細く長く……素晴らしくお手入れが行き届いている。

 前にレディコミで……『カレのお尻でご飯三杯イけるわ!』ってセリフを読んだ記憶があるが……今の私もおんなじ心境!!

 エスカレーターが尽きて……御御足が改札口に入るまで、ずっと見つめていた。

 ただ、残念な事にカノジョはすぐにホームへ下りてしまったけど。

 二つ向うのホームへ下りなければならない私は心の中で指を咥えながら人波に逆らう。

 ひょっとしたらホームの向こう側からカノジョが()()()()なのか覗けるかもと思ったけど……隣のホームに停まっている電車に阻まれて見る事ができない。

 この邪魔な電車が“人を入れ替えて”出発した後、ようやく見渡せる様になった二つのホームに人は無く……肩透かしを食った私はクーラーの効いた待合室へそそくさと逃げ込んだ。



                          

                            おしまい



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― 新着の感想 ―
私は全然気がつかないし、あまり気にもしていなかったのですが、高校時代の友達が凄くこういった「見られている」事に敏感で、自分が見られた事だけでなく、私が誰かに見られていたことも注意してくれるのですが「で…
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