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第20話 ちょっとお猿さん退治して?


王都ルクスルへの行軍は順調に進んでいた。


行軍中に魔獣が多少出没していたが、どれも下級魔獣のようで、海軍の兵士や王国の兵士達が問題なく追い払っていた。


何度か小休止を挟み、昼食を食べてから1時間をした頃、リタさんの馬車に並行して行軍していたティオフィル・アンリ司令官の馬車に慌てた様子の兵士が馬で近づいていた。



「で、伝令!伝令!アンリ司令官に緊急の伝令です!」


大きな声で叫ぶ伝令役の兵士に気づき、窓を開けて応えるアンリ司令官


「リアビティ皇国の皇妹殿下の御前であるぞ。見苦しい真似をするな」


険しい顔で兵士を低い声で一喝するアンリ司令官


しかし兵士の方もよほど伝えたいことがあるのかアンリ司令官に食い下がる。


「し、失礼いたしました!し、しかし案件が案件でありまして…こちらをご確認ください!」


そう言って懐から書状を出す伝令の兵士


アンリ司令官は兵士から書状を奪うようにして取る。


「…よこせ。……ふむ………何!?」


書状を一通り読み終えたアンリ司令官が、側で一連の流れを見ていた僕に声をかける。


「シリュウ准将、誠に勝手ながら一度行軍を全軍停止していただきたい。そして皇妹殿下にご報告したい議がある」


「何か緊急事態のようですね。わかりました」


アンリ司令官の提案を受け入れ、僕は全軍に響くように叫ぶ。


「全軍停止!なおパオ少将とジョルジュ大佐は至急皇妹殿下のもとへ馳せ参じよ!」


僕の号令を聞いて、アンリ司令官が「よく通る声だ。将としては良いものを持っているな」と少し褒めてくれた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


僕の号令からほどなくしてジョルジュ大佐とパオっちとリアナさんが僕達のもとへ来た。


今僕たちはリタさんも含めて馬車を降り、街道横で円を囲むようにして、立ち会議をしている。


「行軍を停止させ、誠に申し訳ありません」


「それはいいわ。何があったか話してくれるのよね?」


リタさんに促されて説明をするアンリ司令官


「はい。この街道の2キロ程度先にある地点でSランク魔獣の双剛魔猿が確認されました。安全が確保されるまで、行軍を停止させていただきたいのです」


「そうごうまえん?」


僕が頭に疑問符を浮かべているとアンリ司令官が補足で説明してくれた。


「双剛魔猿、別名ツイン・エイプと呼ばれ、常に行動を共にする剛猿と魔猿の二対で1種の魔獣として認識されている。我が国ではSランク魔獣として登録されている」


アンリ司令官の説明を引き継ぐようにビーチェがさらに説明してくれる。


「剛猿は魔力耐性が高くゆえ、武術師で討伐し、魔猿は物理防御が優れておるゆえ、魔術師で討伐するのが定石…武術師と魔術師の確かな連携がなければ、討伐が難しい厄介な魔獣ですね」


「その通りだ。しかし今私が率いている部隊に剛猿と相対することが可能な武術師がおらぬゆえ、増援を要請したいと思っております。増援が遅れるようであれば、引き返し最寄りの街で一泊させていただきたいと考えています」


アンリ司令官がリタさんに提案するが、リタさんはにべもなく言い放つ。


「ツイン・エイプって皇国ではAランク相当のはずよ?そんなに慌てる相手じゃないでしょうに」



おいおいおい


他国の司令官になんてことを…


しかしリタさんの辛辣な物言いにアンリ司令官は平身低頭で対応する?


「誠にお恥ずかしい限り。我が国は魔術は大陸一と謳っておりますが、武術に関しては皇国と帝国の後塵を拝しております。魔猿はともかく剛猿の討伐に関しては、貴国に及ばぬでしょう」



おおう…あんな物言いをされたのに大人に対応だ。


「まぁ得手不得手はどうしてもできてしまうわね…仕方ないわ。シリュウちゃん、ちょっとお猿さん退治してきてくれない?」


軽い感じで、僕に命令するリタさん


まぁそんなに流れだと思ってましたよ。


「は?いや、これは我が国の問題でして、皇国の方のお手を煩わせるわけには!」


そして焦るアンリ司令官


まぁ外交使節団の護衛を買って出たのに、討伐できず、行軍を中止にさせてちゃ面目丸潰れだもんね。


「大丈夫よ。うちで討伐したなんて喧伝しないわ。むしろあなた達で討伐したことにしておきなさい。話がややこしくなるし、面目も保てるでしょう?」


「た、確かにそうではありますが…」


「なら良いじゃない。あなたの上司に言っておいてね。貸し一つよって。シリュウちゃん、頼める?」


「仰せのままに。人選は僕に一任させていただいても?」


「もちろんよ。あなたがこの軍の将なんだから」


「畏まりました。ではこの時を持ってこの軍の指揮権をジョルジュ・キエリ大佐に移譲する。ベアトリーチェ・ドラゴスピア少尉とリアナ・フォッサ少尉はその補佐をせよ。パオ・マルディーニ少将は僕と共にツイン・エイプ討伐に同行せよ。その他の者はこの場で待機を命ずる!」


「「「はっ!!!」」」

「うぃっさ!」


さて、久しぶりのパオっちとの共闘だ。


それにシルベリオさんからもらったこの槍の初陣、気合を入れて行くぞ。



シリュウ「ここまで戦闘らしい戦闘がなかったし、腕がなるなぁ」


パオ「ろんろん、やっと本気出せそうじゃもんね」


ジョルジュ(行きの航海で出会ったB級魔獣達はカウントされないのですかい?)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 ジョルジュさんジョルジュさん、もうアレですよ。皇帝鯨みたいなヤバいのを体験してるシリュウからしたら、B以下は戦いではなくトレーニングやスパーリング感覚でしかない格下=…
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