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第18話 同志


リタさんの話を聞いて僕とビーチェとパオっちとリアナさんは話を整理するために、僕とビーチェが滞在してる船室に来ていた。


パオっちが「オイラたちの部屋でもいいろんよ」と言ったがリアナさんが「だ、だめよ!あんな片付いていない部屋は…」と拒否した。


出航から数日で人を招くこともできないほど荒れてるって何してたんだよ。


「ナニしてたんじゃろうなぁ……」


ビーチェがニヤニヤしながら言う。


やめておきなさい。



そんなこんなで部屋に集まった僕らは、さっきの話を整理していた。


「前提として、リタさんの話は本当なの?皇国が腐敗してるって」


「残念ながら真じゃ。上級華族なら周知の事実じゃろうて。腐敗に巻き込まれていないのは地方の大華族くらいじゃろうて」


「あ〜サザンガルドとノースガルド、それにタキシラだっけ?」


「それとカイサは商人たちが取り仕切っており、メディチ家の庭のような都市じゃからまさに皇都が腐敗の中心じゃろう」


「それに政庁の奴らはオイラたちの邪魔ばっかするにー」


「そ、そうです!巡回航路に苦情を入れてきたり、予算は減らすし!」


うーん、地方の有力華族であるビーチェに海軍少将のパオっち、海軍少尉のリアナさんが口を揃えて言うのだから間違いなさそうだ。


「してシリュウや、お主はどうしたいのじゃ?」


ビーチェが僕に尋ねる。


「人間的にはリタさんは信用できる。それは間違いない。ただ今の僕は個人的感情だけで立場を決められるほど、軽い立場にいないこともわかっているんだ……」


「おお……シリュウが……こんなに大きくなって…」


ビーチェが涙を流しながら僕の発言に感動しているけど、そんなに子供じゃないってば…


「それにパオっちはどうなのさ?僕はリタさんとは繋がりがあるけど、パオっちからしたら関係性は薄いんじゃない?」


「ろんろん。確かに皇王派?とやらの誘いは何回かあった気がするにー。全部興味ないから無視したろんね。でもこの国を変えてくれるというなら皇妹殿下に味方しないなくもないおろろん」


へぇ、パオっちにも皇王派の手が伸びていたのか。


「皇王派なんて……敵です!敵!」


リアナさんが鼻息荒くそう断言する。


「…リアナよ、皇王派と何かあったのかや?」


ビーチェがリアナさんに聞く。


「あいつら……パオを味方に引き入れようと可愛らしい令嬢をパオに近づけて誘惑してたのよ!それにそれに……」


はい、納得


リアナさんはまだ皇王派の所業に文句を言いたそうだったが、話が進まないので一旦スルーする。


「でもただ一つはっきりしていることがあるにー。オイラはシリュウっちと一緒に行くろん。オイラの背中を預けられる1番のソウルブラザーだからじゃもんね」



パオっち……なんて嬉しいことを言ってくれるんだ!


僕はパオっちをかばっと抱きしめた。


リアナさんから「あっずるい!」という声が聞こえたが、今だけはパオっちを独り占めさせてもらおう。


そんな僕らを見てビーチェが提案をした。


「ならば妾達で協力しあう派閥を作らぬかや?パオ少将を筆頭とした『マルディーニ派』じゃよ」


「お!いいね、それ!僕ら4人が仲間みたいだ!」


「ベアトにシリュウ准将と仲間なんて頼もしいし、楽しそう!」


リアナさんも乗り気だ。


ただパオっちは考えている。


「どうしたの?パオっち?気に入らない?」


僕は不安そうにパオっちに尋ねる。


「いや、そうじゃないろんね。……オイラじゃなく、シリュウっちが筆頭になるべきだと、オイラはそう考えてる」


「え!?でも、パオっちの方が階級も年齢も上じゃんか!」


「そんなものは関係ないにー。シリュウっちは皇都に来て1月足らずで、将校になり、皇妹殿下直々に勧誘するほどの人物だろん。奥さんのベアちゃんはあのサザンガルドの一族で、おじいちゃんはあのコウロン・ドラゴスピアじゃもん。シリュウっちはオイラよりよっぽど格があるおろろん」


「ぼ、僕の周りの人が凄いだけだって!」


「シリュウっちが凄いから、周りに凄い人が集まるろんよ。サルトリオ侯爵が言っていた言葉覚えてるぬん?『英雄の匂いがする』って。オイラも同じことを思ってた。シリュウっちはこの戦乱を終わらせたいという大志もある。オイラよりよっぽど立派な烈国士さ」


「パオっち…」


「それにオイラは、オイラの周りの人が、リアナが隣で笑ってくれていたらそれでいいにー。そのためにオイラの魔術はあるのさ」


パオっちの言葉に僕は胸を震わせていた。


それにビーチェが続けて言う。


「シリュウと出会った人はみんなシリュウに救われているのじゃ。妾に始まり、ハトウでホブゴブリンの群れを狩ったこと、カルロのためにエンペラーボアを狩ったこと、皇都を守るためインペリアバレーナを狩ったこと。シリュウに救われた人は沢山おる。それも在野の人でありながら。そのシリュウがもっともっと光の当たる場所で輝けば、救われる人はきっと沢山増えると思う。少なくとも妾はそう信じている」


「ビーチェ……」


「パ、パオと付き合いが長い私も、パオがここまで人を評価することは見たことがありません…きっとシリュウ准将ならパオは付いていけるのだと信じてるのでしょう…わ、私も短い付き合いですが、同じ思いです!」


「リアナさん…」


ここまで言われたら、やるしかないよな。


「皆ありがとう。僕たちで、やってやろうじゃないか」


そう言って僕は手を前にだす。


そしてビーチェ、パオっち、リアナさんと手を重ねた。


「僕達は同志だ。この国の、この大陸の未来のために共に力を合わせよう」


ここに、僕を領袖とする派閥『シリュウ派(仮称)』が誕生した。


この日から僕達は、これから起こる大きな時代の流れに共に抗うことになるのであった。

ビーチェ「それにしてもパオ少将のシリュウに対する評価はすごいのう…まだ会って日も浅いじゃろうに」


リアナ「やっぱりインペリオバレーナの討伐戦が大きかったかな。魔力耐性が凄まじいインペリオバレーナは生粋の魔術師であるパオにとって天敵だもの。もしシリュウ准将があの場にいなかったら、パオはインペリオバレーナを倒せず、悔しい思いをしたと思う。それを救ってくれたシリュウ准将はパオの恩人なのよ」


シリュウ(…後書きで真面目に話すリアナさんに違和感が…)

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