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【閑話】救世主の息子~サンディ・ネスターロの独白

めちゃくちゃ間空いてすみません…リアル多忙です。

趣味でのんびり書いているので許してください…

でも見てくれてありがとうございます!!


俺は神国…いや教団を滅ぼす。


そのために生きている。



それを説明するには俺の生い立ちを話さないとな



俺は物心ついた時にはヘスティア神国の教団施設にいた。


壁も天井も床も全てが真っ白な施設だった。


俺と同じような年齢の子どもが数十人はいて、教団の連中に特殊な教育を施されながら生きていた。

教団は『女神の子』とやらを育成することに躍起になっていて、どうやら一定の基準を満たした子どもを誘拐してはこの施設に送り込み、『女神の子』を育成…いや造り出すことをしていたんだ。

通称『神聖児計画』ってやつさ。


しかしこの育成計画ってのが碌でもない。

朝から深夜まで血の尿が出るまで勉学を叩きこまれた奴もいれば、数週間も過酷な樹海に放り込まれた奴もいる。

兎にも角にも『教育』という名の拷問をひたすら幼気な子どもに施す地獄みたいな場所だった。


年齢を重ねる度に、いつの間にかいない奴も増えていった。

こんな地獄がいつまでも続く。

終わりなんて見えない。

希望もない。

俺はただただ教団の奴らが施す『教育』をただひたすらに受ける心亡き人形だった。


しかしそんな日がある日突然終わりを迎えた




俺が十になるかならないかくらいか…忘れもしないあの日のことは


真っ白の施設に普段は絶対に聞かない轟音が響いた。


轟音の音源へ向かうと、施設の天井からいくつもの鋼の柱が降り注いでいた。


まるで鋼鉄の雨のように降り注ぐそれは、俺達を閉じ込めていた真っ白の監獄を嘲笑うかのように破壊していた。


そしてその雨の中心地には、2人の男女が立っていた。


呆気にとられる『神聖児』達、怒号を挙げながらその男女を取り囲む教団員


日常とはかけ離れた光景に俺は胸を高鳴らせていた。


俺は教団員の制止も振り切って、その2人の顔が見えるところまで駆けた。


すると女性の方が俺に気付き、ニカっと笑いながらこう言った。


「助けにきてあげたわよ。あんたラッキーね。感謝しなさい!」


その女性は、銀色の髪で、魔術師のローブとメイド服を組み合わせたような恰好をしていた。


その隣には明るい茶髪で豪胆そうな女性とは対極で温厚そうで剣を携えた男性がいた。


「マリア……いきなり感謝を強要するのは良くないよ」


「タランってば。こういう時は最初が肝心よ。ほら、あの子私のこと命の恩人だと思うでしょ?あの子が大物になった時、私に恩返ししてくれるかも!いや、しなさい!」


こんな修羅場でまるでティーブレイクをしているかのように軽く会話をしている2人を見て、俺は確信した。


俺は助かったんだ!


ここから出れる!


その確信のとおり、女性は鋼の魔術を巧みに操り、男性は見事な剣技で教団員を圧倒した。


そしてその時生き残っていた『神聖児』達は、マリアという女性とタランという男性に救われた。


しかし実行部隊がこの2人であっただけで、この救出作戦には協力者がまだいたようだ。


それは「レギウス」と「リタ」という名の男女だった。


施設から救出された後は、4人の案内でノースガルドにて保護されることになり、俺は人より頭が切れることを買われてノースガルド領主であるガスパロ・フォン・ノースガルドの小姓として雇われることとなった。


4人は俺達をノースガルドへ送り届け、全員の預かり先が決まるとノースガルドから旅立っていった。


別れの際には、「私はあんたの命の恩人よ?恩は返しなさいよね!」とマリアに言われた。


「必ず返すよ…!どんなことになっても!」


俺は子どもながらに精いっぱい答えた。


するとタランの方がこう言った。


「そんなに気負わなくても大丈夫さ。でも君は賢いし、きっと将来良い役人になりそうだ。もし僕達に子どもができて、いつか出会うことがあれば親切にしてくれると嬉しい」


タランの何気なく言ったその言葉は俺の人生の目標の一つになった。



一つは、あの地獄を見せた教団への復讐


一つは、マリアとタランの子どもへいつか恩を返す


そのことを人生の目標として生きることを決めた。


そうしてノースガルドにて「サンディ」が生まれた。



まぁこの後はガスパロ爺さんに世話になりながら自己研鑽をしたり、アレスの旦那に命を救われて陸軍を志すことになったり色々あったんだが、リータ殿下を王とする理由は、幼少期での出来事に詰まっている。



俺は幼い頃にリータ殿下に救われていた。


これはリータ殿下と帝国からの帰還の際に話して初めて気づいたのさ。


あれから20年近く経つもので、お互いの容姿も大きく変わっていたからな。



でもマリアとタランの子どもは、顔を見てすぐに気づいた。


なんせ髪は珍しい銀色に、顔がタランにそっくりだったからだ。


まさか16歳という年齢で将軍待遇で軍に入ってくるとは思わなかったが、このことは俺には都合が良かった。




同じ軍人なら恩を返す機会はいくらでも作れるからな。






だから2人が望むなら国興しくらい付き合ってやるのさ 











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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 復讐に足る理由ですなぁ、サンディさんの過去…。こんな教団は存在してたら百害あって一利なしですから、彼の悲願が成就するのを心から願うばかりですね。 それでは今日はこの辺りで失礼致…
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