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【閑話】7月2日付 帝都新聞 『国際会議電撃中止!/帝国軍、新たな十傑を発表』


【ヘスティア神国での国際会議が中止、休戦条約の行方は?】

本日衝撃的な速報がこの帝都に入って来た。

政府は今月7日から開催される予定であったヘスティア神国での国際会議が中止になったことを発表した。

帝国での不安定な情勢を受けて、ヘスティア神国から中止の打診があった模様である。

そしてアルジェント王国もリアビティ皇国も現在の休戦条約を半年間延長することを条件に中止に賛同した。


これを受けて帝国はヴィルヘルム軍を含む各勢力との安全保障上の戦略を一から練り直す必要に迫られている。

ヴィルヘルム軍は言うに及ばすであるが、アルジェント王国とリアビティ皇国との軍事的緊張の緩和が必要不可欠だ。

我が帝国は一刻も早くヴィルヘルム軍を打ち倒し、帝国内の安寧を手に入れなければならず、他国との紛争に戦力を割いている場合ではない。


幸いにもリアビティ皇国と現皇帝カール・シュバルツ・ラインハルト陛下との関係は良好だ。

つい先日ヴィルヘルム軍が皇国使節団が滞在中にもかかわらず帝都を襲撃するという前代未聞の愚行を犯したにもかかわらず、皇国使節団の人々は帝国を非難するようなことは言わず、むしろ「撤退を支援してくれた」と感謝を述べていたと帝国軍関係者は語る。

願わくば皇国軍とは力を合わせてヴィルヘルムを打倒する良き友であって欲しい。


そしてアルジェント王国は、国内では侵攻論はすっかり鳴りを潜めており、現王のシャルル王は内政に注力する方針を公にしている。


現状では皇国・王国とは良好な関係だと言えるが、この戦乱の世の中において、各国情勢は一寸先は闇であり、引き続き注視が必要だ。


【帝国軍新たな十傑を発表!衝撃の人選に各界衝撃を受ける】


帝国軍広報は、ヴィルヘルム軍に所属する逆賊を帝士十傑から解任し、新たに帝士十傑に選出した人物と、それを踏まえた新たな序列を下記のように発表した。なお本人達には既に就任を要請し、その全員が就任を受諾したとのこと。


第1位  『白虎』ゲルト・ミュラー          

帝国軍   大将軍


第2位  『黒狼』フリッツ・バルター         

帝国軍   総司令


第3位  『紅虎』カチヤ・シュバインシュタイガー   

帝国軍   将軍


第4位  『蒼馬』レオンハルト・ラインハルト     

ヒュンフ州 将軍


第5位  『銀龍』シリュウ・ドラゴスピア       

皇国海軍  准将


第6位  『金鷲』メスティ・エジル          

帝国軍   将軍


第7位  『赤兎』ゾラ・ベッケンバウアー       

アハト州  将軍


第8位  『黒猿』オスヴィン・カーン         

ヒュンフ州 千人将


第9位  『紫燕』マクシーネ・ビスマルク       

帝国軍   情報部 主幹


第10位 『紅亀』バルナバス・シュバインシュタイガー 

帝国軍 千人将


一覧を眺めるだけでも、衝撃の人選に驚くことだろうが、下記に各人の詳しい解説を載せる。



第1位 『白虎』ゲルト・ミュラー 帝国軍 大将軍


言わずと知れた『帝都の守護者』で、十傑の筆頭に相応しい実力と実績を持つ稀代の武術師である。

今回新設された帝国軍最高職の大将軍に就任するとともに、ますますその武に期待がかかるまさに帝国軍の大黒柱である。


第2位  『黒狼』フリッツ・バルター 帝国軍 総司令


帝国軍をその類まれなる知能で支えるまさに文武両道の極致に至るお方であり、長年帝国軍を支えたその実績は疑う者はいない。

帝都に攻め入ったヴィルヘルム軍に対して弱腰のハインリヒ皇子を一喝した逸話も知られており、帝国に真に忠誠を誓う全帝国軍人の模範的存在である。


第3位  『紅虎』カチヤ・シュバインシュタイガー 帝国軍 将軍


天才女性武術師で名高い彼女がついに序列第3位にまで登りつめた。

これは過去の女性では最高位であり、長く帝国の歴史の中で最も武に秀でた女性だと言える。

先日の帝都戦役でも元十傑のミロ・クローゼを見事に一騎討ちで撃退し、帝国の武威を示してくれた。

そんな彼女がこの地位にいることに誰も文句などあるはずもないだろう。


第4位  『蒼馬』レオンハルト・ラインハルト ヒュンフ州 将軍


新たに十傑に選ばれたものでありながら第4位に抜擢されたが、その実力を疑う者はいないだろう。

帝国で最も精強な領邦軍であるラインハルト軍において、突出した武を持つ彼のおかげでラインハルト領が安寧を保っていると言っても過言ではない。

その実力はカチヤ・シュバインシュタイガー将軍に並ぶ程であり、この十傑就任を機に彼の飛躍に期待したい。


第5位  『銀龍』シリュウ・ドラゴスピア  皇国海軍 准将


ここに来て衝撃の人選だ。まさかの皇国海軍所属のシリュウ・ドラゴスピア准将が帝士十傑に就任することと相成った。

帝国軍によると、シリュウ・ドラゴスピア准将の御父上が帝国人であり、シリュウ・ドラゴスピア准将が帝国人である資格を保有しているため選出の対象であったこと、さらにシリュウ・ドラゴスピア准将の武は元十傑のエゴン・レヴァンドフスキに完勝し、ロロ・ホウセンを撃退せしめるほどのものであること、さらに皇国との友好を示すことと以上の理由により選出されたそうだ。

帝国人としては帝国人以外の者が十傑に就任することに思うことがないわけではないが、これも時代の流れとして受け止めていきたい。


第6位  『金鷲』メスティ・エジル 帝国軍 将軍


第6位には以前より第10位にて就任していたメスティ・エジル将軍が選出された。

まだ十傑に就任して間もなく、さらに目立った戦績もないため、繰り上がりでの昇格という印象が強い。

しかし彼の弓術と風魔術との組み合わせにより披露される武は見事なものであることは間違いない。

これからの活躍に期待するとしよう。


第7位  『赤兎』ゾラ・ベッケンバウアー アハト州 将軍


これもまた衝撃的な人選だ。

帝士十傑で「魔術師」であるゾラ・ベッケンバウアー女史が就任することと相成った。

帝士十傑は武術師が就任することが慣習であったが、今回は帝国一の魔術師との呼び声が高い彼女が抜擢された。

しかし彼女の戦場での功績は見事な物で、彼女が率いる軍は寡兵で大軍を打ち破る功績が多く、将軍としての資質も兼ね備えていると言える。

そして第三皇子レギウス皇子の実の娘であることから、彼女の今回の就任は帝国軍と第三皇子との友好関係の構築を兼ねているとも思われる。




第8位  『黒猿』オスヴィン・カーン ヒュンフ州 千人将


王国前線で活躍する無手の戦士が第8位の十傑に抜擢された。

オスヴィン・カーンは持ち前の身体能力と得意の徒手格闘術で王国前線において、魔術師相手に数多の功績を挙げている生粋の武術師である。

今回の人選において、数少ない予想された人選であろう。

長年前線で活躍していることもあり、帝都では知らない者も多いだろうが、彼の武術は本物である。


第9位  『紫燕』マクシーネ・ビスマルク  帝国軍 情報部 主幹


『鉄血宰相』オットー・ビスマルク宰相の実の娘 マクシーネ・ビスマルク女史が初選出となった。

帝国軍の情報部でありながら、卓越した剣技を持ち、『帝国で最も美しい剣士』と言われている。

美しさだけでなく強さも本物であり、特殊任務が多い情報部において、随一の実力を誇り、選出に疑問の声も少なかった。

ただ一つ、彼女は真面目すぎる性格であり、厳格な帝国軍人の鑑とも言える方である。

十傑就任によって、彼女が柔軟な視野を持つ軍人となるのか注目だ。


第10位 『紅亀』バルナバス・シュバインシュタイガー 帝国軍 千人将


最後の席はカチヤ・シュバインシュタイガー将軍の弟、バルバナス・シュバインシュタイガー千人将が就任する。

何と言っても彼の武術の特徴は見事な盾捌きだ。

幼少の頃よりカチヤ・シュバインシュタイガー将軍の剣を盾で受けてきたこともあり、その盾捌きは帝国一と称される。

ただお優しい性格もあって、実戦での功績が少ないことが難点であった。

これからは自慢の盾捌きを持って、帝国の要人を護衛する任務に就くのだろう。




シリュウ「就任を要請?受諾?完全に事後報告でしたよぉ?」


ビーチェ「カール陛下にいいようにやられたのう……流石は大国の君主…食えぬお方よ…」

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