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第7話 王家十一人衆って何するの?

烈歴98年 6月29日 11時12分 皇都セイト 10区(軍港区) 海軍本部 大将執務室


軍議の間での論功行賞を終えた僕らは、ゾエさんとフランシス中将に連れられて大将執務室に来ていた。


ここにいるのはゾエさんとフランシス中将、僕とパオっち、そしてビーチェとリアナさんの6人だ。


大将執務室にあるローテーブルを囲むソファに僕達は座りながら話をしていた。


「改めて、外交使節団の護衛任務ご苦労だったさね。点数で言うと100点中250点くらいさね」


ゾエさんからお褒めの言葉を貰う僕ら


それにしても褒め方が独特だ。


「上限突破してるじゃないっすか…」


僕は苦笑しながら言う。


しかしフランシス中将はにこやかに微笑みながらゾエ大将の言葉を肯定した。


「護衛団の振る舞いに不備はなく…全員欠ける事無く帰国した……これだけで満点だ…それに加えて帝国の十傑を破り…ポアンカレやプラティニ…ボナパルト王家とも親密な関係を築いてきた……妥当な評価だよ…」


「いやはや振り返ると色んなことがあったろん」


「いやほんとに…」


「まぁ…振り返れば良き思い出ですかのう…」


「ベアト切り替え早いわね…私はまだ実感がないわ…」


僕達4人は王国と帝国の思い出を振り返りながら言う。


「はっはっは!いい経験をしたさね。お前さん達を送り出して良かった」


「これからも……頼りにしている…」


「「「「はい!(うぃっさ!)」」」


ゾエさんとフランシス中将の励みの言葉に僕達4人は力強く返答する。


そして話が切り替わる。


「お前さん達を呼んだのはいくつかの確認したいことがあるからさね」


「確認…?」


「まずシリュウ、王家十一人衆の就任おめでとう。歴代最年少とまではいかないが、それに準ずる早ささね」


「ありがとうございます」


ゾエさんの言葉に素直にお礼を言うが、ビーチェとパオっちとリアナさんは小さく驚いている。


「シリュウより早い就任者がいるのですか…?」


ビーチェはゾエさんに問う。


「まぁアタシの時代よりももっと前にいたらしいんさね。シリュウの爺さんなら知っているんじゃないか?その人物は御年14歳にて王家十一人衆に抜擢されたらしいさね」


「じゅ…14歳!?…本当に子どもじゃないですか…?…そんな年で王家十一人衆に就任した人がいたなんて…」


リアナ少尉が驚く。


確かに14歳で王家十一人衆に就任したなんて、かなりの傑物じゃないだろうか。


「まぁ今の時代はだいたい18歳から22歳の間で入隊するさね。でもアタシらの時代は16歳で入隊するのが普通だったさね。軍学校なんてまだ少なかったからね。それより前の時代は10歳にもなれば入隊が可能だったさね」


「と、とんでもないですね…」


時代の変遷と共に、入隊年齢が晩年化しているのか。


「まぁそんなことはどうでもいいさね。王家十一人衆に就任したシリュウは、『円卓会議』と『連絡会議』に出席してもらうさね。後は皇国軍の顔としての活動も増えるさね」


「わかりました。でも『連絡会議』ってなんですか?」


「簡単に言うと『簡易な円卓会議』さね。『円卓会議』は原則11人全員の出席が必要で、採決結果も公式に記録を取る大仰な会議だが、『連絡会議』は各軍の将軍が皇国軍の諸問題について不定期に議論する会議さね。大体各軍から1人か2人くらい出てくるさね。シリュウが海軍の代表として皇軍や陸軍の代表者達と軍務について調整するさね」


うげぇ……僕が一番苦手な分野じゃないか…


「はっはっは!顔が正直すぎるさね!安心しな。補佐官の出席も認められているさね。ベアトリーチェを連れて行けば変なことにはならないさね」


おお!それは助かる!


「ビーチェが一緒なら安心ですね」


「にー。オイラもいつもリアナと行ってるろんよ」


「なるほど。パオっちもなのか。また色々教えてよ」


「もちろんじゃもん」


ここは王家十一人衆の先輩であるパオっちに教えを仰ぐとしよう。


「それに皇国軍としての顔の活動は、早い話が晩餐会や地方の行事への参加さね」


「そういうものもあるんですね」


「そうさね。取り急ぎシリュウにはタキシラの基地とカイサの基地での監査に参加して欲しいさね」


「監査?」


「簡単な話さ。偉い将軍が地方の現場を回って、ちゃんと仕事をやっているか見に行くのさね。それも海軍だけじゃなく陸軍もさね。これが王家十一人衆ならではの活動さね」


「軍の垣根を越えてお互いを監視し合うのですか?」


「そうさね。まぁそんなに本気で粗探しなんてしないさね。お前さんなら地方の基地に行って、現場の兵士を稽古でしごくとかそんな感じになるだろう」


「それなら僕にもできそうです!」


武を使うものなら僕の得意分野だ。


できればそういう仕事しか回さないで欲しい。


僕がそう願っていると、ゾエさが話を変えようとする。


「まぁ王家十一人衆の仕事が舞い込んできたらそん時詳しく話すさね……んで…ここからが本題さね」


するとゾエさんは顔を真剣なものにした。


この部屋の空気が張り詰めたものになるのを僕は感じた。






「率直に聞く。お前さん達は皇妹派さね?」



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