表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/245

【閑話】ビーチェの気づき、謎の商家、淡い希望的観測

 妾は宿のベットに腰掛け、紅茶を飲みながら商家でのやり取り、そして証文の中身について思い出していた。


 あの証文の内容を整理すると、シリュウが魔獣を狩り、その素材をハトウリッツ商家に持ち込んだ。


そして、ハトウリッツ商家が捌き切れなかったので、ソウキュウ商会が残りの素材を引き受けて、その代金をシリュウへの債務として証文を残した。


これだけなら小さな商家が大きな商会に自らの容量を超える取引を移譲したかに思える。

なにもおかしくはない。


しかしそれは()()()()()()()()()()()()()()()であればだ。


昨日今日とシリュウの実力と普段からの狩りの様子を聞いた限り、おそらく狩っていたのはAランクやBランクなどの上級魔獣で、その素材の取引金額はまず金貨で行われる額になり、需要などいくらでもある。

 

それほどまでの上級魔獣の素材が、小さな商家が捌ききれない?


むしろ自らの商家を拡大する格好の機会ではないか。


シリュウが持ち込んだ素材をもとに、取引を行えば、よほどのポンコツでなければ儲かる一方だろう。


またシリュウが高名な存在になれば、最初期から取引した商人として、その商会の名を轟かせ、さらに大きな事業を興せたはず。


その機会を逸してまで、大きな商会に素材を横流しするメリットがハトウリッツ商会にはあったのか?


そしてもう1つ、シリュウはここ数年ハトウの街へ、魔獣の素材を持ち込んでいるように言っていた。


それも上級魔獣の素材を。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


このハトウの街は、今日の冒険者ギルドでCランク以上の冒険者がいなかったように、そこまで猛者が集まる地域ではない。


エクトエンド樹海は、獰猛な魔獣が集う皇国屈指の修羅場である。

(妾は間違って踏み入ってしまったが。あれは偶然で、あの森の奥がエクトエンド樹海だと知っていたら入っていない)


なのに偶にではあるが、上級魔獣を納品に来る者など目立って仕方ないはず。



なぜシリュウは無名なのか?


ここで気になるのは、シリュウが言っていた御仁、サトリなる者


シリュウ曰くサトリというものが証文の手引きをしたと、ハトウリッツ商家も交渉の窓口はサトリだと言っていた。


つまり()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


シリュウの今日のハトウの街での過ごし振りからして、ハトウリッツ商家以外に懇意にしている商人はいなかったように思える。


今までシリュウが世に出なかったのは、ハトウリッツ商家がシリュウの存在をひた隠しにしていたからではないか?


それもサトリという御仁と結託して


更に気になるのが横流し先のソウキュウ商会だ。


サザンガルドのソウキュウ商会と言っていたが、それは()()だ。


ソウキュウ商会は、商都カイサで伝説の商人ソウキュウが興した皇国屈指の大商会で、本拠は皇都セイトにあり、()()()()()()()()だ。


上級魔獣の素材を持ち込み続けても無名の存在だったシリュウ


シリュウの存在を冒険者ギルトや駐屯所にも知らせず、むしろひた隠しにしていたかもしれないハトウリッツ商家


その背後にある皇家御用達の大商会


そしてシリュウの故郷にいたサトリなる聡明な御仁


もしかしたらシリュウはとても大きな組織によって、その存在を隠されていたのではないか。


いや隠す?


これほどまでの実力を持つ若者を隠す理由がある組織など()()()()()


ということは、シリュウは守られていた?


それもとても大きな力によって?







であればシリュウはとても高貴な存在なのではないか?







妾はシリュウのことをそう推理した。







妾の推理は大方外れてはいないと思う。







ただ1つの希望的観測を除いて






シリュウが田舎の村のただの庶民の少年でなく







皇国の高貴な存在であれば







華族の妾とも縁を結ぶこともあろうかと









ビーチェ「シリュウ……本当に不思議な存在じゃ…願わくば妾と…」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ