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 それは本当に大変なことだ。

 俺はもうほんとうにヤバい状態にあるのかもしれない。

 どっちだ!? どっちを選べば良いんだ。

 俺はどっちに告白をすればいい! くそ、俺の心を弄びやがって、ライバル登場だ!


「もうどうすればいいんだ。もう俺は死にたくなってくるよ。もう死にたくて、どうしてもいいよ。もう大丈夫だよ、もう泣きたくなってくるよ。もう素晴らしいよ」


「何を言っている! 早く来い! 突き出してやるからな!」


 ああ、もういやだ、え、俺が連れて行かれるってどういうこと?

 もうおっさんやこの付き人との男とあえなくなるってこと?

 例えば獄中でこの二人と一緒に暮らしていけるのだとすれば、それはやむなしなのかもしれないと思えるよ。でもこれは違うじゃん、完全に違いますよね? 差し支えなければ、どなたか教えていただきたいと思うんですが、どうすれば、俺はこの二人と仲良く一生を遂げることができると思いますか? その答えをマジで知りたいです。どなたか恐縮ではありますが、教えていただけませんか? もう俺はこと答えを求めることで頭がいっぱいになってしまっております。もうやばいです、頭がパンパンになってもう最悪な状態になってきております。気持ち悪いです、すごくすごく吐きそうでございます。


「どえええええええええええ!!」


 俺は吐くふりをしてみた。

 しかし吐きそうになっているだけで、吐く寸前までいっているわけではない。

 それによく考えたらそんなに吐きたくなっているわけでもない気がしてきた。

 もうやばいよ、俺はまじであほだなぁ、もう本当にアホすぎて、どうにかなりたいっ気分だ。

 もうすごく清々しい気分だよ。


「きえ、きえええええええええええええええええええ!!」


「お、おい! 大人しくしろ! 暴れるなこの野郎!」


 俺は棒か何かで頭をこづかれた。

 痛い、痛いよう……酷い、大の大人がこんなことをするだなんて、俺はとてもではないが、受け入れられない、いや、愛のムチだと考えれば少しは受け入れられるのかな。これは本当にいいことなのかな。すごく興奮してきたかもしれない。もう俺はどうしようもないらい興奮しているかもしれない。


「しねええええ!!」


 俺は勢い余ってハンサムな方の男の頭を殴り飛ばしてしまった。

 頭はなくなって、胴体だけの人間になってしまった。

 うわああああああああああああ!!


「なんてことを……! 俺はなんてことを!」


 ひどい、ひどすぎるよ、あんまりだよ俺、頭がおかしいとは思っていたけど、ここまでとはマジで思ってなかった。もうひどすぎる流石にひどすぎる。えいきゅうとうどで凍てつきたい気分だ。もう冷凍保存されたい気分だよ。いっそのこと冷蔵庫に入ってしまおうか、いや冷凍庫と呼称するほうが正しいのかな。そんなのどうでもいいわ、とにかく俺は凍てつかないと気がすまない!


「うおおぽおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 この瞬間俺は覚醒した。

 新たな能力を手に入れることができたのだ。

 それはなぜそうなったのか、経緯はよくわからない。

 しかし俺は感じた。

 花火とは違う、第二の能力を手に入れたことを。その感覚を。


「絶対零度!」


 俺はさっそく能力を行使した。

 建物全体が、氷の王国と貸した。


「しゅわっち!」


 俺は天井を突き破り、空へと跳ね上がった。

 なんこも天井を破ってしまったから、本当にもう天井がえげつないことになっている。

 頭がすごいことになった。

 がちんがちんがちんがちんって、凄いことになってしまったよ。

 もう俺は本当に凄いことになってしまった。


 もう何もかも、どうでもよくなってしまう。


「いやだめだ、俺は。何を考えているんだ。今能力を使ったばっかりだろう。こうなっては使ってしまったことに責任を持たなくてはだめだ! そうだろう?」


 俺は気を取り直して、地上を見てみた。

 建物は当然のごとく凍ってしまっていたが、その周辺もある程度凍りついてしまっていた。

 ああ、すごく寒そうだ、まるで氷の楽園だ。

 俺は今そんなに着込んでいるというわけではないから、これはすごく寒そうだよ。もうあそこには近づいていけないかもしれないよ。もうそんなこと散々だよ。


「は! でもあのおっさんがあの中にいる! 俺はあのおっさんと結婚すると決めた! だからこそ俺は助けにいかなくちゃいけない! 俺は絶対に助ける! 救い出してみせる! それが俺の性なんだ! 運命なんだよ!」


 俺は建物まで駆け寄った。

 そしておっさんを見つけ出した。

 おっさんは凍ってしまっていた。


「ああ、可哀想に、もうこんなふうになってしまって、全然笑えない。笑えないよ。凍ってしまっていて、普通は笑い出しそうになるかもしれないけど、僕は全然笑えない。これはあんまりだ、僕はあんまりすぎて、凄いことになりそうだよ」


 俺はまだ生きてるかもしれないと思った。

 このおっさんはこの氷の中にいるだけで、まだまだギリギリ生きているのではないかと。

 今この氷を解除すれば、ギリギリのところで助けられるのではないかと。


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