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やばいなぁ、気持ちすぎるなぁ。つい街を破壊した拍子でいろいろやっちゃったけど、なんかすごくいい感じだったわ。
「いい感じっす。しゅぎょいです。これはもうやばたんです!」
もうこうなれば、次の街にでもいこうかな。
そうして俺のスピリッツをいい感じにしてみようかな。それがいい感じなんだよな。そうしないと、もうだめだめになっちまうよぉ。怖いよぉ。ふへん、ぷえん、ぷえぷえぷえぷえぷえ!!
「次の街へ、れっつらごおおおおお!!」
俺はれっつらごおした。
完璧にれっつらごおしていた。
それは俺がすごいという証明だった。
はぁ、すごいなぁ。完全に勝ったなぁ。もうだめなんですけど。完全にだめだめなんですけど。
「がちでおわこんっすわ。もうだめっすわ僕、でもいい感じに生きたいんだ。すごくいい感じになりたいんだ。そうだ、だから街を目指そう。そして人を食おう。人肉をむさぼるんだ。それが俺の生きる道なんだ」
空を飛んでいく俺。
かっちょよく飛んでいく俺。もう半端ないかっこよさだった。
まもなくして、よくわからない場所についた。
そこは遺跡のようだった。
「なんだよここは、マジで冷めるわ、本当に遺跡っぽいとしか言いようのない場所だわせっかく建物が見えたからどこかの街かなんかだと思ったのによう。もうマジでどうでもよくなってきたわ。遺跡破壊しよーっと」
俺は視界いっぱいを大爆発させた。
本当に凄まじい大爆発っぷりだった。もうどうでもよくなるくらい清々しくて、もう本当に笑っていたくなってしまうくらいだった。
「くかかかかかっかかかか! 我に敵うものか! この俺様の強さに匹敵するやつなんてもうこの世にはいない。全部破壊だ、大破壊だ。それが本当にやばいくらいの破壊ムーブなんだよ、決めてやったぜ、異世界でこのムーブをよ。よし、まだまだだ、こうなれば本当にまだまだだ。完全に世界を掌握してやるぜぇ。もう本当にどうにかしてるんだぜぇ。もうやばすぎて、やばしゅぎって感じになっちゃうんだ。なったう、なったう。なったうぅううううう!」
きっしょいきっしょいだった。
完璧にきっしょいきっしょいからの、よっこらせといった感じだった。それはもうそうだった。
「ひひひ、思った通り粉々になってるな、もうすべてがどうでもいい感じになってるな、可哀想に、これは本当に可愛そうな感じになっておりますわ、よーし、遺跡はいい感じに破壊したから、これからは本格的に他の街を探すとしようかな」
きゅうおおおおおおおおおおおおおお
そう思っていると、どこからか変な音が聞こえてきた。
なんだ、マジでなんなんだ。頭がおかしくなりそうな程の音だったぞ、聞いたことのない。憎悪と悲哀をこれでもかと叩きつけてくるかのような悲痛の雨。
身の毛もよだつ思いだった。
「きおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
そして目の前の地面がいきなり隆起したかと思うと、まばゆい閃光が視界を覆う。
紫の光。
思わず目を閉じる。
僅かな間を開け回復した視界に開目一番飛び込んできたのは、巨大な兵器だった。
な、なんだありゃ。スフィンクスかなにかか? でかい、あまりにデカすぎる。古代兵器、その言葉がまさにふさわしい異型。
生き物? そうとしか思えない。目には紫の眼力が宿り、その視線は間違いなく俺を睥睨してきている。
マジでなんだ、なんなんだ。この生き物は、ガチでやばいような気しかしてこないんですが。
「きゅううううううう……」
その巨大生物はそんな言葉を発した。
なんだと思うと、次の瞬間、
「じゅごおおおおおおおおおおおおおおろろろろろろろろろろおおお!!!」
まばゆいばかりの熱量の紫の光線を撃ち込んできた。
「どわわあわわあ」
俺は避けきれず、たまらず腕を前にして攻撃を受ける。
な、なんだ、何がどうなってるんだ。俺は今耐えてるのか? 凄い衝撃と光だ。前が見えない。手も外せない。何かが噛み合わなくなれば、俺はこのまま吹き飛ばされてしまう。そんな直感にも似た確信が駆け巡っている。
でもこのまま、じゃ、拉致が、
「あかねえ!!」
俺は両腕をふるい、光線を跳ね返した。
古代兵器が一瞬たじろいでいるのがわかった。
チャンスだ!
俺は地を這うかのごとく超低空飛行で古代兵器に急接近した。
瞬きもできないくらいの速度だったことだろう。
隙あり! いや、隙だらけだ。
「ぱああああああああああんち!!」
俺は渾身の拳を繰り出した。
拳は古代兵器の額にヒット。一瞬間ができたあと、周囲に波動が広がった。
地面がえぐれ、瓦礫が浮かび、反動で周囲が歪んでいく。
古代兵器はその一瞬では何事もないかのように思えたが、拳の当たった部位にぴきりとヒビが入ると、その後一気に全身に細かい亀裂が広がり、やがて爆散した。
キラキラと紫の光りが周囲に舞う。
まるでダイヤモンドコスモスのように、それは艶やかに俺の舞台を照らした。
「ふぅ、やっかいな相手だったぜ。まぁダイヤモンドコスモスってワードは俺が今考えたんだけどな」
こうして俺の旅は終わりを告げた。
周囲を漂う紫の光の残滓は、花が散る様を表しているかのようだった。




