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「あーあー暇だなぁ。どうしようかなぁ。マジで俺このまま死んでいくのかなぁ」


 俺は死ぬほど暇だった。

 高校に通っているのがいいが、学校以外の時間帯でガチでやることがない。

 もう高校二年生にもなるというのに、将来の展望がまるで見えないんだよ。

 本当にどうしたらいいんだ。もういっそ死んだほうがいいのかな?


 ――そんなにあれというのであれば、この儂が連れて行ってやろう。ヘブンザ異世界にな。


 どこからか急に声が聞こえてきた。 

 年寄りの男の声だ。

 酷く耳障りだった。


「う、うわ、うわああああああああああ!!」


 俺はなぞのぐるぐるに巻き込まれ、意識を奪われていた。





「目覚めたかの」


 次に起きたときには目の前にお爺さんがいた。

 しわくちゃの、白髪のお爺さんだ。

 なんでいきているのかがわからない、いっそのこと死んだほうが早いんじゃないかと思えるほどの爺さんだ。


「なんなんだよ、あんたは誰なんだ? というかここはどこだ、なんだか白い部屋っぽいけど」


「うむ、お主は双葉扇子ふたばせんすと言ったかの。なかなかに珍しい名前じゃ。お主を今回特別に異世界に連れて行ってやろうと思うておる」


「は、別に珍しい名前じゃないだろ、というか異世界だって? いきなり怪しいぞ、怪しいどころじゃないぞ、どういうことなのか一から百まで説明してもらおうか」


「そうじゃの、説明してやろう、と思ったのじゃがなんだかかったるい。説明はなしにしよう」


 なんだそれは。

 俺は唖然としすぎて口がどうにかなりそうだった。


「それでは扇子よ。これよりお主は異世界に転生する。そこで新たな道を切り開くがよい。ちなみにもう二度と地球には帰ってこれんからそのつもりでな」


 その言葉と同時に俺の体は光に包まれ始めた。


「お、おいじじい! なんてことすんだよ! 流石にブチギレるぞ! でもじじいって言っちゃってごめんなさい!」


「素直じゃのう。仕方ない、お主には花火を打ち上げられる能力を授けてやる。もうこれで異世界の門出を祝えるな。それでは達者でな」


 そうして俺がなにか反論するより前に俺の意識は途絶えていった。





「う、うぅうううう……ありゃ」


 なんだか違和感を感じ、俺は目覚めた。

 俺はなんだか知らないが、空中にいた。

 空中から地面に落下していっているのだ。


「うそだああああああああああああああああああああ!!」


 俺はそのまま地面に突っ込んだ。

 地面に俺の姿の穴が空いた。


「いてて……死なずにすんだ……ってなんだこれは。ギャグみたいな展開だけど、現実に起きてるんだよな。あれ、ここってもしかして異世界?」


 こんな訳のわからないことがまかり通るのだ、もうここは異世界に決まっているだろう。そうとしか考えられないぜ。


「よっし、そうなると早速花火を打ち上げよう。そうすることで俺の異世界の門出を祝えるらしいからな」


 俺は花火を打ち上げたいと考えた。

 考えた矢先、目の前に花火セットのようなものが出現した。

 勝手に導火線に火が付き、ぼひゅんと天たかだかに花火が打ち上がる。



 バーン!



 きれいな花火が咲いた。

 しかし今は昼だ。

 全然微妙な感じになってしまった。


「うーん、花火はやっぱり夜にやるものっしょ。マジで冷めたな。なんで昼に花火なんて上げちまったんだ。人生における一生の汚点だな」


 まぁ何はともあれ俺は異世界に着てしまったらしい。

 そもそもあのお爺さんは何者なのかとか全くわからないが、とにかく異世界に着たということにしておこう。その方が都合がいい。


「どうせ地球にいたってつまらない人生だったんだ。こうなったら異世界とやらでとことん楽しませてもらったほうがいいかもしれないな。まぁつまらなくなったら遠慮なく自殺してやるけど」


 ならば早速異世界を満喫しよう。

 どこかにいい満喫スポットはないかなぁ。異世界だろ? 異世界といえばなんだろうか。やっぱり村かな。村人とかだよな。みすぼらしい服を着た村人たちに会いたいようなぁ。そしてその村人たちをいじめたいよなぁ。それが異世界に来てはじめにやりたいことだよなぁ。


「でも待てよ? 弱者いびりの目的を果たしたいなら、もっといい方法があるんじゃないか? それこそ異世界なんだから奴隷なんかもいるだろ。奴隷をいい感じに買って、いい感じにしばき倒せば、ガチでいい感じの異世界になるんじゃないか? もうそれしか考えが浮かばなくなっちまったぜ、もうそうしよう」


 俺はとりあえず街に向かって歩くことにした。

 とはいえ街はどこの方向かはわからないけどな。


「おーいあんちゃん、何をしているんだい?」


 するとここに都合よく一人の通行人が現れた。

 四十歳くらいの冴えない感じのおっさんだ。


「いや道に迷ってしまったんだよ。もうどうしたらいいのか分からなくてね。もうそのへんでゴロゴロして、一生ゴロゴロマンになってしまおうかと思っていたところなんだ」


「それはなかなかにナイスだね、凄いナイスなやり口だと思うよ。もしよかったら、僕も一緒にゴロゴロさせてもらえないかな」


「え、もちろん冗談ですけど? 何がちになってるんですか? 頭がおかしいですよはっきり言って。気持ち悪いのでこれ以上近づかないでいただけますか」







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