俺、煉獄いき?
目が覚めると、黒い空があった。
俺の体の下には赤い花が咲いている。
目を何度も、まばたきさせ、体を起こす。
見渡す限り花。
それが第一印象だ。
「ん?なんだここ。」
俺は視線を、右、左とむける。
誰かがいる。
倒れているようだった。
俺は立ち上がり、その人のところにいく。
「大丈夫ですか?」
そいつは、金色の髪のロングで後ろ髪はピンク。髪は後ろで編んでいて、一つにゆっている。
白い騎士のようなスーツにロングブーツ。
黒いシャツのようなものを中に着ていた。
女だ。花のように美しい。
意識はないようにみえる。
「おい!しっかりしろ」
俺は、習っていた心臓マッサージをしようとする。
胸に手を当て、動作を開始する。
それが効果を得たのだろう。
女が少し瞼をあげた。
「こんにちは!大丈夫「きゃー!!」」
女は絶叫し、突然俺の頬をたたく!
「なんだ、お前!どこの悪魔だ!」
女は、足元のロングブーツから小剣をだし、俺の方へと向ける。
なにか勘違いを受けている。
そう感じた。
「警官です!意識を失っていたようなので、心臓マッサージをしました!それを置いてください。」
俺の言葉に女は、「警官?」と聞き返す。
だがその目は厳しい。
「こんなところに警官なんてこない!どこ所属の悪魔だ!いえ!」
俺が何故悪魔といわれているのかさっぱりだった。
「婦女暴行とかじゃない!本当に、俺も……」
そこで、彼女をみていた時、なにかの映像が流れた。
黒いオートバイ。ばあちゃん。
宙を舞う俺。
はねられた時の記憶だ。
死んだのか俺。
頭痛がした。
「ここは煉獄だぞ。どうせあの悪魔の差金だろう。
一体いくらで、私の屍を持ってくるよういわれた」
「……れんごく?」
「なんだ、お前、すっとぼけるのも大概にしろ。お前たちの主だぞ、私をこんな場所に置いたのは」
「すみません。ここは天国ではないんですか?」
俺はかすかに口をひらく。
「天国?まあ、悪魔からしたら天国なんじゃないか?ここは。」
なんてことだ。煉獄はきいたことある。
地獄だっけな確か。
俺地獄に落ちたのか。
「地獄かよ。よりによって」
「煉獄だ!何回も知らないふりをするな!」
俺はただ、崩れ落ちる
「あなた、誰だ。なにかの地獄の番人か?」
女はムスッとする。
厳しい目つきのまま「番人じゃない。私は囚人だ。何度も嘘をつくな」
「すみません。本当にわからなかったんです。自分が死んだだなんて。」
「死んだ?」
俺が懇願するようにいうと、女の目が見開かれる。
そして剣をしまうと、近くに来て、クンクンと鼻で匂いを嗅ぐ。
「ふむ。確かにまだ死んで数時間みたいだな」
彼女は、自分の顎に手をやりながらつぶやく。
「お前、なんで死んだ?」
「ばあさん、庇って、事故で死にました」
女は真剣な眼差しで話をきいているようにみえた。
「なら、なんでここに来たか。それは……しらなさそうだな。まあ、私も知らないが。相当の悪魔とやりあったのか?」
「悪魔というか犯罪者を捕まえていました。警官だったので。」
「ふむ。」
彼女は考え込むようにうなづくと、
「犯罪者はレオナルドか?」
「え?だれですか?それ?」
「いや、知らないのか。ただの小悪魔討伐してた系か?」
「えっ、小悪魔というか。ただ犯罪を逮捕したりしてただけで。犯罪が多いので。」
彼女は、じっと俺をみつめる。
「ただの警官が落ちるわけないんだが、やっぱり嘘だろお前」
「違います!」
女は何を思ったか、目の前でじっと俺をにらみつける。
「んー????んー!!!」
しばらく睨み顔でみたあと、なにかに気づいたように目を見開く。
「ああー!!!」
と仰天したように声を発する。
「お前、マジかよ!」
そう叫ぶと後ろへと振り返り、「やべえ!超やべえ!」と彼女はあせったようにする。
「はあーこんな形でお会いするとは、マジこの服だけしかもってない、私最低!絶対匂うし、やばすぎ!」
彼女がぶつぶついいながら、服についていた複数の汚れをおとすそぶりをする。
「ラファエルも来ねえし、ウリエル姉さんも来ない!よりによってこの方直接かよ!」
「クソが!」
彼女はそう吐き捨てると
なにかを頭につけた。
そして、さっきの厳しい目はどこへやら
かわいいきゅるんとした目つきをした彼女が
「すみません!我が主人よ!無礼をお許しください」
と猫撫で声をだしながら、その猫耳をつけながらいうのであった。