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【一部完】世界を救っているのに自分は気づかない話  作者: おむすびさん
第二部 一章【王都剣術大会~剣術大会の様子が見れるとは限らない~】
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 そういえばザーザさんやダルガさん達はどうしたんだろう?


「シュリさん。ザーザさんはどうしたんですか?」

「ザーサさんなら我が家に滞在してもらってるわ。私とエルザ、セバスを連れてきたら馬車がいっぱいになるでしょう。あの馬車は三人乗りだから」


 いや、三人以上余裕で乗るよね?

 まぁ気にしても仕方ないか


「そうだったんですね。ザーザさんには申し訳ないことしたな。それで師匠。他の弟子の方はどうされたんですか?」

「大会が終わったからな。それぞれ旅に出たぞ。俺の試合は見る価値がないんだとよ」

「そうなんですか。挨拶くらいしたかったです」


 そういえば師匠って誰と戦うんだ?


「あっ、そういえば師匠戦うんですよね?」

「あぁ、どうしようか迷っている」


 もしかして相手は強いのか?


「なにをですか?」

「どうやって華をもたせるかだな。相手が王族なんだ…」


 王族って面倒くさそうだな。しかも今そいつ人気なんだろ。師匠ヒールじゃん。

 俺には関係ないし、弱いなら興味もない。


「ふーん。その程度の相手なんですね」

「はっきりいって弱い。目を隠しても勝てそうだ」


 凄いな。俺は目を隠されたら戦える気がしない。


「まぁ剣に関しては俺以外は皆弱いんだけどな」


『くぅーっ、悔しいのぉ。主も黙っとらんで言うてやれ』

『わかってるよ』


「…まぁそれもあと一年ってところでしょ?」

「ほう、お前にしては目算が甘いな。桁が足りないんじゃないのか?」

「いやいや、俺には老人をいたぶる趣味はありませんよ」

「ふんっ、可愛げのない奴だ」

「まぁ、あと三年ですかね。もし三年以内に勝てなかったら、弱い者イジメになっちゃいますから、師匠の勝ち逃げでいいですよ」

「ふんっ、本当に可愛げのない奴だ…あっいいこと考えた」

「ルークの考えることなんて、ろくな考えじゃないんでしょ?」


 俺もそう思う。


「シュリさん。良い考えですよ。スカイお前が今回の戦いに出ろ。ねっ良い考えでしょ?」

「えぇーっ、弱い者イジメしたくないんですよ。魔物以外。師匠は華持たせる方法を考えたくないだけでしょ。俺も嫌ですよ」


 なにが楽しくて弱い王族の相手をしないといけないんだ。面倒くさい。


「頼むよ。お前なら相手が王族でも別に華を持たせなくてもいいだろ」

「嫌ですよ。義母上も反対でしょ?」


 貴族だからって王族相手は面倒だろう。義母上も反対してくれるはず…


「うーん…そうね。ルーク様。もしスカイが変わってくれたらなにかありますか?」

「義母上。王族ですよ。面倒くさいですって…やめときましょうよ」

「スカイあなたは少し黙っておいて」


 はいっ!お口にチャックだ。


「そうだな…もしスカイが三年以内に俺に勝ったら、お前の家の兵隊にでもなんでもなってやろう」

「兵隊なんてとんでもない。それでは我が家の騎士になってくれるんですね?」

「あぁ、今回のことを引き受けてくれて、なおかつスカイが三年以内に俺に勝ったらな」

「スカイ受けてくれないかしら…それとも義母のお願いは聞けませんか?」


 くっ、義母上にしたてで来られると逆らえない…借りが返せないほどあるし…

 これが嫌な予感の正体か?


「わかりました。その代わり王族関係の面倒くさいことは任せましたよ」

「ありがとうスカイ。王族関係は任せておきなさい。殺さない限り大丈夫よ。多分…」


 それなら大丈夫か?いやちょっと待て…


「師匠。戦う王族って体はどうですか?強いですよね?」

「普通じゃないか?ツバキより弱いくらいか…俺も遠くからしか見てないしな」


 めっちゃ体弱くて殺してしまう危険性はないか…


『考え過ぎじゃろ』

『考え過ぎて悪いこともないだろう』


「後のことを義母上に任せていいのなら俺が出ます」


 うん。どうやって華をもたせるかは俺も考えよう。

 そうか、別に負けてもいいのか…それなら良い考え思いついた。


 俺が考えている間、義母上達もどうやって俺を出すのか、師匠との戦いはどうするかを話していた。


 どうやら三年後のこの日には必ず戦うことになった。



 闘技場に到着すると、懐かしい気持ちになった。

 さすが悪者の師匠対人気の王族と満員御礼だった。


 俺、義母上、エルザ、ツバキの四人で関係者受付で受付をしていた。

 師匠、シュリさんはお留守番だ。


 義母上が師匠の嘘の診断書をだした。


「ごめんなさい。ルーク様はうちの子が怪我をさせちゃって来られなくなりました」

「困りますよ。それじゃあどうするんですか?」

「だから代わりにうちの子を出そうと思うのよ」

「ハンっ…ダメに決まっているでしょう?常識的に考えてください」


 義母上にその態度はマズイだろ…

 俺は急いで義母上の手をとった。

 落ち着いてくださいよ。面倒くさいことになる前に面倒くさいことをするべきではないです。


「ほら…その子も怖がっていますよ」


 …はっ。俺がどんな気持ちで止めてると思ってんだ!?


『主…はたからみると甘えているようにしか見えんぞ』

『そうか。もうどうなっても知るか』


 義母上の手を離した。


「うーん…あなたじゃ話にならないわね。上の人連れてきてくださる」


 おっ、命拾いしたね。この人ラッキーだ。


「はいっ!?あまり調子のらないでいただきたいですな。私は近衛の者ですよ。あなたの方が話にならない」


 この人凄いな。破滅から普段の生活に戻れる蜘蛛の糸を切っちゃった。


「そう…分かったわ。王族の方になにかあっても私は感知しないことでよろしいんですね?」

「はい。王城にはあなたより立派なお医者様や治療師様がいらっしゃるのに、どうしてあなたが感知しないといけないんですか?」


 本当に凄いな。切るだけじゃなく燃やしてしまった。

 切るだけなら誰かが結べばなんとかなったのに、燃やしてしまったらどうしようもない。


「そう…分かりました。あなたお名前は?」

「オドールだ」

「そう。無知な私に教えてくれてありがとう。それにしても王城にはそんな方がいらっしゃったのね。これで私が呼び出されることもないでしょ。スカイ…残念だけど帰りましょう」


 ラッキー。それにしても義母上凄いな。これを読んでいたのか?

 これなら師匠の代わりも果たして、我が家に厄介ごとが起きない。

 オドールさんがこの後どうなるかなんて知らない。


 義母上を見るとそれは間違いであることに気づいた。

 …めっちゃきれてる。

 俺でもここまで怒らせたことないのに…多分だけど…

 家を襲った奴よりはマシだから、多分楽に死ねるよ。それも多分だけど…


 そんなことを考えていると、出口の方から身なりが綺麗な女性が現れた。


 義母上が礼をしたので、俺達も慌ててそれに続いた。


「おひさしゅうございます。ローズ殿下」

「久しぶりです。マリアンヌ。今日はどうしたんですか?」

「それが━━━━(さっきのやりとり)


 見る見るうちにローズ殿下の顔が青くなっていった。


「とオドール殿がおっしゃられたので、これ以上、無知の私が、王族の皆様方を拝見せずにすんで安心していましたのよ」

「そんなことはないだろう?マリアンヌ以上の者は王族いや、この世界にいないぞ。私が知らないだけかもしれないが、私は知らないぞ」

「またまたご謙遜を…陛下の代理である近衛の方が嘘をおっしゃるはずありませんわ。私に気を使ってくれなくてもよろしくてよ」

「いや…少々お待ちいただけないだろうか?おいっ確認せよ」


 ローズ殿下の近衛らしき人がオドールさんに近づきいろいろ聞いていた。

 話の内容は義母上の正体を明かし、義母上がどんな立場にいるのかを説明していた。


「申し訳ありませんでした。私が悪うございました。許してください。それまでこうしておきます」


 オドールさんは土下座していた。


「そうだったんですね。分かりました。ゆる…あっ、ローズ殿下を待たせる訳にはいけませんね。それでは事情を説明してください」


 かわいそうに…許しがないから土下座で説明していた。


「ということですの。うちの子で勘弁してもらえないかしら…そうしてくれたらいろいろと、忘れることもできそうだわ」

「それは…」

「難しいかしら…」


 ローズ殿下の耳を扇子で隠し小声で呟いた。


「陛下が最も信頼していた元宰相が魔族なんか知られては困るんじゃないかしら?」


 ローズ殿下の目が見開いた。


「マリアンヌ…私を、陛下を脅す気か?」

「いえっ…滅相もない。どうしてそう思われたのかしら。貴族の内乱の危機を救った私が脅すんですか?」


 周りがざわついた。まぁ高位貴族くらいしか知らない情報らしいし…

 義母上…なんか悪役みたいだ。


「マリアンヌっ!それは秘密だったろう!」

「そうでしたね。しかしローズ殿下がお忘れなのかもと思い、仕方なく…それでどうなさいますか?」

「…くっ、認めよう。今回のこと、そして例のことはこれでチャラだ。わかったな」


 残念。くっころチャンスだったのに…くっみとだったか。


「はい。存じ上げています。私のワガママを叶えていただき感謝いたします」

「ふんっ!ご子息の安否までは保障しないがな」

「はい。それは息子も覚悟しております」


 保障してくれよ。


『まぁ問題ないじゃろ』

『俺の考えでもいけるか?』

『大丈夫じゃろ。なんかあっても死ななければ、主の義母がなんとかするじゃろ』

『じゃあ普通にやるかな…』

『それは面白うない試合になるのぉ』

『別にタヌの面白さは求めて無いんだけど…』

『それもそう。でもなんの見どころもない試合になるよ』

『そうなんだよな…せめてツバキくらい強ければな…どうするかなぁ。負けてもいいか』

『主、それはあれでなければ負けてはならぬぞ。普通に負けるなんて妾が許せん』

『分かったよ。あれでやるか』


 タヌ達と話している間にローズ殿下は奥に歩いていった。


「義母上。死ななければ大丈夫ですよね?」

「はい。私が治すから安心しなさい」

「負けても構わないですか?」

「…そうですね。ちょっと挑発しすぎたので、あなたが負ける分には構いません」

「ありがとうございます」


 義母上も奥の方へ歩いていった。


「カイはん。うちは負けるのは見とうないで」

「大丈夫。本気ではやるから」

「ようわからんな。本気でやるんやったらなんで負けるん?」

「それは本番を楽しみにしてくれ」

「なにやるんかわからんが楽しみにしとるわ」

「私はカイ様が無事で戻られることを願っています」


 ここでエルザ達と別れ、奥に入っていった。


 まぁ師匠の代わりくらいはつとめるさ。

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