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【一部完】世界を救っているのに自分は気づかない話  作者: おむすびさん
三章【里帰り】~誰もが凱旋できる訳ではない~
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 契約内容を聞いて、デメリットは別に問題がなかったように思えたし、それを上回るメリットがあったので名前を考えることにした。



 名前はイレイスになった。

 せいれいのせをなくして、俺の名前のスを付けた簡単な名前だ。


 契約をしたところで目が覚めると朝だった。



 もう少し考えればもっと良い名前が出ると思う。


『例えばなに?』


 そう言われると困るが…



 部屋を出て、食卓へ行くと義母とエルザは朝食をとっていた。

 挨拶をして席に着くと、案の定昨夜の分と今朝の分が出てきたので、少しため息が出そうになった。


「はぁーっ」

 俺じゃなく義母がため息をついた。


 どうしたのか聞きたかったが、どうも嫌な予感がして聞かなかったことにしたかった。


「どうされました。奥様」

 どうしようと迷っているとセバスが声をかけた。

「聞いてくれる?親の嘆きを…」

「はい。私でよろしければお聞きします」


 そこからセバスへの愚痴に見せて、間接的にお説教をされた。


 内容は昨日の報告が問題だったらしく、俺が昨日報告だと思ってたことは、報告ではなく命令に等しい行為らしい。


 話を聞いていると考えるまでもなく、義母が言うことが正しい。

 それが辛い。


 まだ義兄も跡を継いでいないので、現在義母がこの家で一番偉い。


 そんな偉い人に「俺これやってるから後は頼みます」と、偉い人の返事も待たずに丸投げしたようなものだ。


 義母は自分にされたから怒っている訳ではなく、こんな常識を知らずにこの先、大丈夫かと俺の将来が心配らしい。


 謝るタイミングを待っていた。


 愚痴が終わったタイミングで謝ろうとしたが…難しく、朝の食卓に沈黙が続いた。


「…申し訳ありません。お義母様。僕が今後気を付けるので許してあげて下さい」


 エルザが義母の愚痴が終わったあとの沈黙に耐えきれなかった。


 気持ちは嬉しいが…エルザが謝ることではない。


 一応俺もそれに合わせて謝ったが、謝意が義母に届いているかは微妙だ。


 エルザに俺のことをこれからも頼むや、見捨てないであげて等を話していた。


 そんな風に幸先悪く朝が始まり治療へ向かった。



『イレイス聞こえるか?今から治療が始まるから、顔の方へ移動してくれ』

『分かりました。マスター』


 契約したおかげで念話で話すことが出来るようになった。

 これのデメリットは、タヌと同じように俺の考えていることがイレイスにバレるくらいだ。


 それにイレイスがいる体の部位が強化される。頭にいたときに記憶力が強化されたみたいにだ。


 念話出来るようになったので、強化したい体の部位を指示できる。

 どんな風に強化されるか、指示に従ってくれるか、強化された時のデメリットはなんなのかはまだわからないが…


 まだわからないことだらけだが、おいおい試していくしかない。


 朝のことがあったが、義母はプロなので治療は全力でしているように見えた。




 それからもなんやかんやあったが(タヌのフラグは回収されたりしたが)半月くらいで治療が完了した。


 その間体もあまり動かせなかったので、なかなか辛かったがこれも良い経験だと笑える日が来ればいい。


 俺の周りやべぇ。特にシュリさんと義母。ついでにセバス。

 一応俺も援護したよ。一応だけど…


 俺も強くなったつもり…最初に比べると実際強くなった訳だが…上には上がいるものだ。

 それに貴族って怖い。強さの形も様々だな…と思った。


 閑話休題。



 なんだかんだあったが無事に治療が終わった。

 治療をしたことで得たメリット、デメリットもタヌとイレイスがいることのメリット、デメリットもわかった。


 完全に分かっている訳ではないが…


 しっかり分かっていないが、治療が終わり生まれ変わったみたいだ。



 リハビリは上手くいった。

 体をあまり動かしてなかったのでかなり不安だったが、治療した為か思ったほど体は重くなく、以前の体のキレを短期間で戻すことができた。


 いろいろとあったが戦力はアップした気がする。

 久しぶりに納得がいく動きが出来るようになった。剣術大会に出場することは無理だが、見学するために王都に行くことはできそうだ。


 シュリさんの魔法の本格的な訓練は、俺に諸事情があり延期になった。

 シュリさんにも理由を話すと、それならということで納得してもらった。


 延期にはなったが、シュリさんも王都へ一緒に付いていってくれる予定だ。

 ザーザさんはこの街のお店で留守番らしい。


 いろいろやらかしているので、王都までの道中や王都のなかでもやらかすかもしれない。

 頼りになるシュリさんが付いて来てくれるのはかなり安心だし、義母もお願いしますと頼んでいた。


 義母の俺に対する信頼や信用はあまりないみたいだ…


 剣術大会を見学しに、エルザとシュリさんの三人で王都へ行こうと思ったが、エルザはここに残り、義母の元でもう少し学びたいらしい。


 かなり悩んだみたいだったが、このまま俺の役に立たなくなるよりは、少し離れてでも義母の元で魔法だけでなくいろんな事を鍛えて、役に立てるようになりたいらしい。


 エルザはいてくれるだけで戦闘でも、戦闘がなかったとしても安心するのたが、どうやらエルザは気にするらしい。


 少し寂しかったが、エルザ自身が決めたことだし、エルザと義母は仲も良い。


 それに加え、義母はエルザが知りたいことをいろいろ教えてあげられるエルザの師匠だ。

 心配することは特にないし、無理矢理連れていくのは俺の我が儘でしかないので了承した。


 それに別れるといっても、一月くらいの短期間だ。

 剣術大会が終わってしばらくたったくらいに、俺の誕生日でこの本邸で祝ってくれる。


 この国では年始で全国民が一緒に年をとるので、俺は世間的には成人している。

 しているが、俺はいろいろあって成人の祝いをしてなかったので、俺の誕生日に成人の祝いをしてもらえることになったからだ。


 理由が理由なので恥ずかしいが…



 そんなエルザのやりとりを見ていた義母が、「それでも連れていきなさいよ。女心が分かってないわね」と呟いていた。


 あれ?俺間違えたの?

 今更、無理矢理連れていくのも違うと思うし、義母の言いなりになるのも違う気がしたので、聞こえなかったことにした。


 男の俺に女心が分かる日は来ないと、確信した出来事でもあった。


 閑話休題。


 王都に出発するまで有意義な日々を過ごしていた。


 聖霊の力を使った時の効果とデメリットの確認や、タヌとイレイスに二刀流の使い方を教えてもらったりしていた。


 そんな日々を過ごしていると、王都へ向かう出発の日になった。


 聖霊の力を使った時のメリット、デメリットはタヌが教えてくれた。

 イレイスが教えなかった訳ではない。

 教えれなかった。


 イレイスは契約したのは俺が初めてで、経験不足や知識不足でわからなかったみたいだ。


 タヌは長年、人を操つっ…

『ゴホンっ!』


 とにかくいろんな経験や知識は豊富なので、使う前と使ってるいる時、使った後のちょっとした違いが分かるみたいだった。


 二刀流を教えてくれたのはタヌだったが、教え方が本能的というかなんていうか、とりあえず擬音が多かった…シュッとかズババとかだ。

 俺には分かりにくかったので、イレイスが通訳をしてくれて助かった。


 まぁそんな感じで過ごしたので少し大変だったが、有意義でなんとなく俺の力は増している気はする。



 ザーザさんは留守番の予定だったが、なぜか付いていくことになった。

 シュリさんと二人っきりは緊張するので助かったし、ザーザさんもB級くらいの腕があるそうだ。あまり期待しないでくださいと言っていた。


 こういう人に限って、できる人っぽい気がするので少し期待してしまう。




 男の人とパーティー組むのは久しぶりで嬉しい。昔のトラウマを少し思い出すが、ザーザさんなら大丈夫だろう。



 それにエルザとツバキと組んでいた時、周りからはなんか面倒臭い目で見られるのに、一対二で女性の意見の方が優先される。思っている以上に大変なのだ。


 それが今回は男が多数だ。それならば男の意見が……


 うん。ないな。シュリさん相手に意見するなんて…


 少し考えただけでそれは無理だということに気付いた。


 やらかす前に気付けて良かった…


 シュリさん達に迷惑をかけないようにしないと、でもまぁ行って帰るだけだから大丈夫かと思いながら王都へ出発した。

 お読み頂きありがとうございます。

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