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【一部完】世界を救っているのに自分は気づかない話  作者: おむすびさん
二章【ダンジョンの町でハーレムパーティーと呼ばれて~本当に呼ばれてるだけ~】
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 落とし穴から落ちて何秒もかからないうちに、下の階層に落ちた。


 もちろん俺は悲惨な状況だ。

 これはマジでヤバイかもしれない。


 俺の足は見るも無惨なほど悲惨な状況なのに、思った感覚と違う。めちゃくちゃ痛い訳じゃない。そう。痛くないのだ。


 落ちた後は足だけではなく、体全身にダメージがあるのだが、どこも痛くない。意識が曖昧で(まぶた)がくそ重い…


 これ治るのか?俺…このまま…と不安だったが、さすが魔法という不思議パワー。結果的には治った。が地獄を味わった。

 完治するのに、二回の上級水回復魔法が必要だった。


 地獄は一回の治療が終わってから始まった。

 めちゃくちゃ痛すぎて、脳がストップをかけ意識が途切れそうになるが、ツバキに殴られてなんとか意識を保って足が治るのをなんとか見ていた。

 なにもツバキは好きで俺を殴っている訳ではない。

 俺のために仕方なく殴っているのだ。…多分。


 不思議パワーの弱点で治療を受ける人の意識がないと、治療が上手くいかない場合があるらしい。その為に俺の意識を保とうとツバキは頑張っている。はず…


 魔法という便利な力があるのに、医者がいて高給取りなのはこのためだろう。


 トロール戦より長いはずもないのに、この十分強(十分とちょっと)の時間が何時間もの時間に感じた。

 体の治療が終わった後に、中級魔法で顔の治療もしてくれた。


 何でこんなに簡単な事を今まで考えなかったと後悔した。

 死ぬほど痛い思いをしている時に思いついた。

 クッションになる物を下にして、一緒に飛べばダメージ少なかったのではないだろうか?と。


 薄々勘づいてはいたが、やはり俺の頭の出来はそこまで良くないようだ…痛い思いをしないと気づかない…



 いや違う。人間そんなものだ。発明や現実を打開するには痛みが必要なのだ。

 大人が子どもに勉強しなさい。というのも、勉強していればもっと良い生活が出来たと、今の痛い現実から知り、子どもに同じ思いをさせたくないからだ。と思ってしまった。


 これは俺の考えとは違うと思う。

 そう言う理由は、勉強していれば将来なりたいものになれる可能性を増やす目的や、勉強したことが役に立つことがあるからだと思う。


 少しひねくれた考えでは、私は勉強してこなかったけど、地頭が良くて今の地位にいる。と自慢したいだけか、君は地頭良くないから勉強しなさい。と見下したいだけだと思う。


 どうやら前世(以前)の俺は、勉強してなくて痛い現実を知っている可哀想な奴だった。と魂が覚えていたのだと思う。

 どんな感情なのかはわからないが、なぜか泣きそうになった。


 人間なんてものを人間の俺が考えたところで分からないが、少なくともラキは俺以上に馬鹿だろう。というか、そうだと確定してもいいくらいだ。あいつには実績もありすぎるし…


 五十歩百歩だろうという声が聞こえた気がした。


 もしも、無事にダンジョンから出れたら学園に行こうと決心した。フラグにならないよな…


 閑話休題。


 大変な目にあったが、なぜかこの辺りに気配が俺達以外感じない。

 普通、落とし穴から落ちた後にすぐにでも、魔物が来るのだが…

 単純に運が良いと考えることもできるが、とてもそうとは思えない…


「カイ様。難しい顔をしてどうしました?まだ不調なところがありますか?」


 エルザが俺のことを心配していた。


「エルザのお陰で快調だ。ありがとう。近くに魔物の気配もないし、ここで一人ずつ仮眠をとろう。エルザは魔法を使い過ぎだから、先に休んでもらう。ツバキ辛いかもしれないが、エルザの次に休んでもらうから我慢してくれ」


「うちは最後でも大丈夫や。それよりカイはんは大丈夫なん?一番キツそうやけど…」

「そうです。顔色が悪いです。カイ様が先に休んでください。あんなヒドイ怪我をしたばかりなのに…僕はまだ大丈夫…」


 二人とも俺を心配してくれた。


「それはダメだっ!確かにかなりキツイがそれは全員そうだ。それでエルザの回復を優先させるのは、別に優しさとかじゃない。エルザのバフや回復がないと俺達はつむからだ。だから先に休んでもらう」

「それは…そやな。うちやカイはんが回復しても、エルザはんが回復してへんかったら無理や」

「そういうことだ。ただ二人には感謝をしたい。ありがとう。二人のうちどちらがいなくても、俺は死んでいた」


 本当に今回は不味かった。ダンジョンに対しての心構えが全く足りていなかった。なにがストレス発散だ…


「それをいうなら…」「それ言うねやったら…」

 仲良く同じ事を言った後に、俺のことも誉めてくれた。


 三人それぞれお互いの健闘を讃え合った。


 讃え合った後に、休んでいない二人で反省会をすると言ったら、エルザを複雑な顔をし、ツバキが「あないな目にあったのに、カイはんは変わらへん」と苦笑いしながら言ったことに対して、エルザも同調していた。


 二人は笑顔まではいかないが、緊張が少しほぐれた顔になり少しだけ安心した。


 嫌な予感はするが、それを今言ったところでどうにもならないし、不安にさせるだけだ。

 どうにもならないことを考えるより、次の行動に備えて、少しでも体を回復させる事がよほど大事だ。


 エルザがテントに行き、休んでいたときにツバキと反省会をした。


 ツバキは俺が後半のトロール戦で見せた動きを誉めてくれた。


 だがあそこまでギリギリで避け続ける動きはもちろんだが、それをやろうとする頭がヤバかったし、落とし穴の後に俺の姿を見て、それを今までやっていたのかと思うと…とドン引きしていた。


 自分のこともヤバイ奴と思っていたが俺には負けたと、欲しくもない勝利を頂いた。

 トロール戦の避け方は経験だから、ツバキも近いうちに出来る様になるだろうし、今回の落とし穴は二人を抱えたからと説明しても、俺の勝利は揺るがなかった。


 今回はツバキと相談をして、エルザが起きるまで寝かせておいた。

 低層なら大丈夫だが、中層で帰還中に倒れられたら本当に詰むので、エルザを全快に近い状態にしたかった。


 学園に行くことも話すと、まだ俺に勝ち越してないから、嬉しいことに俺と一緒にいてくれるらしい。


 剣術談義や何気ないことを話していると、途中ツバキが座ったまま寝てしまった。

 隣で話していたのでツバキの頭は俺の肩に乗っている。


 本当はダメなんだろうがそのまま寝かせておいた。

 横にした方が良いのだろうが、起こしてしまいそうだったのでそのままにした。


 意外にツバキは自分に厳しいので、起きたら自分を責めるだろうから…


 エルザは好きなだけ寝かせたが、ツバキには難しいので少しでも長い時間眠ってほしかった。


 ツバキならどんなに疲れていても、緊急時にはすぐに起きることができるだろうし。

 出来ればこのまま魔物が来ないことをなにかに祈った。



 珍しく祈りが通じたのか、エルザが起きるまで魔物が来なかったので良かった。


 だが眠すぎて幻覚を見た気はする。どんな幻覚だったか、なに一つも覚えていないが…

 なにか俺の…ヤバイ思い出そうとすると頭が痛くなり、やめておけと拒否反応が起こる…


 エルザが起きてきたので、ツバキを起こさないように抱えようとしたが、エルザに回復したばかりの足に負担がかかるので自分が運ぶ。と言って、ツバキをテントに運んでいった。 


 エルザもいろいろと強くなったなと感じて、ツバキを運んでいるエルザが頼もしく思えた。



 エルザがテントから出てきた後、なんで起こしてくれなかった。と怒られたが、理由を説明すると納得してくれた。

 ただエルザは俺に早く休んでほしいらしい。

 それくらい俺の顔がヤバイそうだ。


 自覚はしているが、それでも我慢したいのが男だろう。特に好きな人達の前では…



 もちろんエルザとも反省会をした。


 一通り反省が終わったあと、落とし穴に二度と落ちないでほしい。と泣きながらお願いをしていた。

 

 落とし穴の発明を話して説得した。

 もしかしたら誉めてくれるかもと期待したが、結果はいうまでもあるまい…


 まぁ悲しい雰囲気よりは幾分かはマシだ。


 学園に行くことを話すとエルザも賛成してくれた。

 ついてきてくれるだけじゃなく、復学も考えているらしい。


 他にもいろんな話をしていたと思う。

 なにを言ったかところどころ覚えてなくて、支離滅裂なことも言っていた気もするが、そんな会話にもエルザは付き合ってくれた。


 ツバキには悪いが時間になったので、エルザに起こしに行ってもらった。


 俺もこれから仮眠をとる訳だが、しっかり時間になったら起こすようにお願いして眠った。

 今回俺が起きるまで待ったら、ヴォルさんのところで眠った記録を越す気がする。


 眠っている間、懐かしい顔ぶれを見た。

 エルザやツバキはもちろんだが、ドルク(師匠)やヴォルさん、それに子爵家執事のセバス、付き合いが浅いシュリさんとダンジョンにいるはずのない人達がいた。


 これが走馬灯なのか…俺は死ぬのか…

 確かに無理をした自覚はあるがこんな所で…


 学園にも行けてないし義母達を見返してない、父上との約束も果たせずに向こうでまた会うのも気まずいし…

 なにより俺のワガママで付き合わせた二人が助かるまでは…


 死にたくないし死ねない。


 命を賭して産んでくれた母上に申し訳が立たない。


 そんな事思っていたら、幼女が泣いていたので励ましてあげた。

 まさかあれが母上じゃないよな…


 そんな複雑な思いを抱えたまま、意識がまた遠のいていった。



 周りの眩しさに意識が戻った。

 次に目が覚めると…知らない…

 最後まで読んでいただきありがとうございます。

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