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【一部完】世界を救っているのに自分は気づかない話  作者: おむすびさん
二章【ダンジョンの町でハーレムパーティーと呼ばれて~本当に呼ばれてるだけ~】
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 今回は家具等を運ぶことを頼んだので、男性のごつい奴隷が何人か来ると予想して待っていた。


 ルータさんが連れて来たのは、俺と同じくらいの年齢で、同じくらいの身長の眼鏡をかけた可愛い女性だけだった。


 きちんとした格好で、言われなければ奴隷だと絶対わからない格好で、むしろお嬢様みたいだ。



 奴隷といっても首輪や足枷は付いていない。

 普通に考えれば、仕事中邪魔にしかならないものを付ける意味はない。


 逃亡防止のために犯罪奴隷はついているらしい。

 俺が奴隷と思っていた人達は犯罪奴隷で、もしかするとバルザ街でも奴隷の人はたくさんいたのかもしれない。


 閑話休題。


 この子に掃除はともかく、家具を運ぶことができるのか?


「こんにちは。エルザといいます」

「カイです」

「えっ、僕を買うんですか?条件多いですよ」


 はっ?なに言ってるの?


「ありがとうございます。あなたならこの子を買ってくれると思いました。この子は元々貴族でして二年前のモンスターパレードで両親の領が━━」


 ルータさんを止める隙もなくエルザの事を話し始めた。


 分かった事はエルザは、元貴族で父上が死んだモンスターパレードで領が侵略されて家族が死んだ事。


 回復魔法や自分や他人の能力を上げることが出来る為、冒険者の俺にはピッタリである事。


 エルザの権限は多いが元貴族で魔法を使うので高価な事。


 そしてこれが一番の問題だが、この場で俺が買わないといけない雰囲気が出来上がっている事だ。


 くそっ!やられた…どうする?…そうだ!


「すみません。今回は家具等を運んでもらうのですが大丈夫ですか?」


 俺は初対面の人をはっきりと拒絶できるほど強くない。あまり人と関わらないことで拒絶していた。


 そして一つの光明が見えた。

 どうみてもエルザに多くの家具を持てるようには見えない。

 これを契機にやんわり断ろう。

 まだ大丈夫だ。


「大丈夫です。エルザはなんと!次元カバン持ちですから、ポーターとしても優秀ですよ」


 ノーっ!次元カバンがあった。

 というかなんでこんなに次元カバンがありふれているんだ。国宝級の代物じゃなかったのか?


「それに元貴族なので家具を選ぶセンスはありますよ」


 別にセンスなんていらないよ。

 俺の家にお客さんなんて来ないだろうし…

 そうだ。エルザは元貴族だった。


「そうなんですね。エルザさんは優秀なんですね。でも元貴族が住むような家や食事は用意できませんよ」


 どうだ俺の家なんか知らないだろうし、知っていても俺の家は貴族の屋敷とはいえない。

 別邸よりも狭いしな。


「大丈夫です。その点も心配でしたが、あそこの家ならエルザの条件に合っています」


「なんで知っているんですか?」

 まさかこの短時間で調べたのか?


「あぁ失礼しました。あそこの不動産屋は私の実家の商会の関連でして、あの家の賃貸が決まったと兄が喜んでいたので、どんな人か教えてもらってたんですよ」


 そんな繋がりがあるなんて…

 俺は最初から鴨られていたのか…

 それにしても俺の個人情報なんて、大きな組織なら簡単に手に入るんだなぁ…


「そうなんですか?ご主人様凄いですね」


 おいおい、なんでエルザまで乗り気なんだ?


「そんな事ないよ。それにご主人様でもないし…あと食事は大丈夫なんですか?」


「はい。元貴族なのにエルザは料理が得意でして大丈夫ですよ」

「はいっ!料理は僕に任せてください」


 だからなんでお前はそんなに乗り気なんだよっ!くそっなにかないか…

 なにか…そうだ!


「エルザさんの権限ってなにがあるんですか?」

「そうですね…詳しい事はまた奥の部屋でよろしいですか?」

 奥の部屋に向かった。

 もうこれに賭けるしかない。



 部屋でエルザの権限について聞いた。

 …が特に問題がなかった…


 魔物を討伐するのは、家族の仇なのでむしろ積極的にやりたいようだし、試しに能力向上の魔法を俺にかけてもらうと驚くほど効果があった。


 家事も料理だけではなく、掃除や洗濯も人並みには出来るそうだ。

 期間は高いだけあって長いし、労働時間や休日は融通が利く。


 逆にダメな事を聞きたいくらいだったが、それを聞くのはなんかダサいので聞けなかった。


 ダメ元で最後に質問をしよう。

 意外に上手くいくかも…


「エルザさんは僕の奴隷になる事に抵抗はないんですか?」

「はいっ!条件が守られるのなら問題ありません」

 ですよね…

 ダメ元はやはりダメだった。


「ルータさん。エルザさんのお値段はどのくらいですか?」

「このくらいです。値段が値段ですし、やはり難しいですか?」


 値段は本当に高価だったが、報酬でホクホクになった貯金を九割程使えば買えた。

 今思えば全財産をお店に教えるなんて悪手でしかないだろう…


「……」

「エルザはもう少し条件を変えないと難しいようだよ。これ以上値段を安くする事は出来ないからね」


 エルザは下を向いてしまった。


 これ以上どう条件を悪くするんだよ。休日もなく24時間働かせるのか?

「分かりました…僕」


 エルザがなにか言いかけたが…くそっ!


「大丈夫です。その条件で買いますよ。ただご主人様呼びはやめてくれ」


 まぁ…こうなる事は分かっていたよ…

 モンスターパレードの話を聞いた時から抗えない何かがあった。


 エルザは驚いていた。

 買う気はなかったがその事を出さないようにしていたが、元貴族だからか俺のポーカーフェイスを見破っていたか…


「ありがとうございます。カイ様ならそう言ってくれると思っていました」

 俺の名前を知ったからなのかエルザは更に驚いて、あわあわしていた。

 そうだよ!お前の勘違いだよ。



 それから購入の手続きをした。

 やはり人を売買するとあってか、それともエルザだったからか時間が掛かった。

 魔法がかかった書類を読んで条件に問題がなかった為サインした。


 条件を見た時に夜の仕事はしない。と書いてあったので、それは困るというとエルザは頑張ります。と言って無くなった。


 二人だから夜営の交代とか、魔物を討伐する際や依頼を受けている時に、夜になったので帰ります。では困るだろう。



 奴隷館を出ると辺りは暗くなっていたので家具は明日にして、食料品だけ買って家に帰る事にした。


 今までは人が多いので、避けて通っていた市場に初めて来た。


 食料品の安さに少し驚いて、しばらくは生活できそうな事に安心したが、そこはポーカーフェイスで貫いた。


 ぽこぽん亭の主人どんだけぼってたんだ。と思ったりした。


 家に着くまでいろんな話をした。


 敬語をやめて欲しかったが無理っぽかった。

 貴族、特に女性はそういう傾向があるらしい。


 呼び名はお互い呼び捨てで呼ぶ事にしたが、他人がいるときはカイ様と呼ばせる事にした。


 別に他人にどう見られてもどうでも良いが、エルザが気にするみたいだった。

 俺は様付けの方が恥ずかしいのだが…


 その他にもエルザの年齢は俺の2つ上の17才だったり、学園に通っていたりとわかった。

 それに武器以外の装備品は持っているみたいだった。


 エルザの魔法はなにが使えるかと聞くと、中級と上級の水魔法の回復と、中級水と中級風のバフを使えるらしい。


 攻撃魔法は才能がないからと恐縮していたが、二人しかいないパーティーで正直中級の攻撃は使えないし、魔術師として中級だけでなく上級を使えるだけで尊敬に値する。


 俺にはもったいない能力を持っていたので、俺の方こそ敬語を使わないといけないかもしれない…


 そもそもの疑問だが、次元カバンを売れば奴隷にならずに済んだのではの質問には、形見だったらしい。


 気持ちは分かるが奴隷に落ちずに済むなら、両親もそれを望むのではないかと思ったが、それを俺が言うのも違う気がして軽く同意しておいた。


 俺も折れてしまった剣の柄を持っているので、人の事は言えないし言ってほしくない。

 「そんな柄持っているより、宝石付いているし売れば良い値段するよ。そうした方が死んだ━」と言われたら、お前になにがわかる。と怒りそうだ。


 俺とエルザでは状況は全然違うが、似たような感情だろうと推測している。


 軽く同意した時、驚いた後に嬉しそうにしていたし。

 まぁ勘違いかもしれないが、それで不都合もないので別にいいだろう。


 家に帰った時エルザに驚かれた。

 思ったより大きかったようだ。

 個室も7部屋しかないし庭も狭い。


 でも喜んでくれて嬉しかった。


 少し鼻が高くなったが、家に入るとエルザに優しく注意されて高くなった鼻が折れてしまった。


 どうやら俺は詰めが甘い星の元からやって来たようだ…

 最後までお読みいただきありがとうございます。

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