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【一部完】世界を救っているのに自分は気づかない話  作者: おむすびさん
一章【孤高の魔術師編~ただのボッチ~】
11/59


 出発前に副マスと話した場所に連れて来られた。


 中に入ると出発前のメンバーがいた。


「ただいま戻りました。カイです」

「少し遅かったので心配しましたよ。なにかありましたか?」

「えっ?約束の時間じゃないですか?一週間の期間ですよね?」

「そうですけど…出られてから9日目ですよ」 


 えっなんでだ?ヤバい。もしかしてヴォルさんのところで二日間爆睡していたかもしたのだろう…


 どうしよう。怪我もしてないし、特に変わった事もなかったし…


 あっ!あいつがいた!


「すみません。なんか変な奴がいて多分盗賊だと思うんですが殺されそうになりました。そこで少し怪我をして休んだのですが、もしかしたらそこで日にちが狂ったのかも…」

「こんなときにそんな事をする人がいるなんて…それでゴブリンの上位種はいましたか?」

「いや、それがいなくて…」

「はぁーっ!?いない訳ねぇだろ!ちゃんと探したのか?俺の父さんが死んだんだぞっ!ゴブリンに殺られた。運良く生き残った人が言っていた…」


 ラキ()が立って叫んだ。


「はぁ…ラキさん少し黙ってもらっていいですか?それか出て行く方がいいですか?」

「はい…黙ります(なんで俺が怒られるんだよ…)」

 座りながら愚痴っていた。まぁ気持ちはわかるが…


「カイさん。続けて下さい」


 えっ…続きってなんだ?いなかったで終わりでしょう?

返答に困り泣きそうになった。


ラキよ!今こそ叫ぶ時だ!

ラキを見ていた。


「カイさんすみません。気持ちは分かりますが…続けて下さい。捜索範囲はどこまで終わりましたか?」


 えっとなんで謝られたんだろう?

 でもなにが聞きたいかが分かって助かった。


「全部確認しましたがいませんでした。見つからなかっただけかもしれませんが…」

「本当ですか?本当に全部?一週…じゃなくて9日間で?無理じゃないですか?」

「えっと…軍団って事は百匹はいるでしょう?あの捜索範囲のなかで百匹住める開けた場所は限られてくるので、きっと大丈夫ですよ」


 そんな探し方だったので少し不安だったが、なにしろ俺にはヴォルさんのお墨付きがあるのだ。


 ヴォルさんが分からなかったのなら、どれだけ時間を使ったって俺に分かる訳がない。


「きっとじゃねぇ!しっかり探せよ!その辺でサボってたんじゃねぇか?」


 奴がまた叫んだ。まぁ必死なのだろう。だが甘い!お前が…というか誰かがこんな事言うと思った俺にぬかりはない。


「ラキさんっ!あなたは…」

「大丈夫ですよ。副マス。証拠はありますよ。これです」


 薬草やキノコを大量に取り出した。


「詳しい場所は秘密ですがこれが森にいた証拠です。ラージュさんなら分かりますよね?次元カバンに入れてたので鮮度抜群ですよ」

「…そうですね。貴重な物ばかりです。鮮度も良いですね。なぜこれを…」


 ラージュさんが聞いてきた。副マスはなんか難しい顔をしていた。


 理由は複数ある。

 戦いに必要だと思ったからや、森にいた証拠にもなるし、いなかったがゴブリンの軍団が侵攻するならダメになる確率が高いので採ってきた。

 そんな話をした。



 ~ラージュ視点~


 確かに高級ポーションを作る素材や鍛冶で使う素材もあるけど、なんでこんな時にベッドで使う物ばかり…新手のセクハラですか?


「そうですか…ちなみにこれをなんに使うか分かりますか?」

「そんなの知らないですよ。採集依頼で高額だったので貴重なポーションとか?」


 えぇ貴重ですよ。戦いには全く使えませんが…いや、あれもある意味戦いか?ってなに考えてんのよ!


「もしかしてなんかの毒物ですか?」


 ある意味毒物になるわね。依存して…ってなに考えてるの私。


 カイさん分かって聞いてないですよね?


「それなら今は使えませんが、次回の防衛の時とかに使えますね」


 なんに使うのよ!やっぱり分かってないのかしら?


「あぁ…そうですね。ギルドで買いとりますよ。少し報酬は少なくなりますが…」


 でもこれだけあれば、いろいろ使えるわ。

 復興にも先立つものは必要だし…


「そうですね。買い取ってもらっていいですか?ただ少しだけ残しておきますね。僕にも必要になるかもしれないですし、何に使うか教えてもらっても良いですか?」


 本当に分かってないのよね?新手のセクハラじゃないでしょうね。


「これはポーションに、これは装備を作る時に使いますが…すみません。他は私もなんに使うかまでは…」


 例のブツは知らない振りをした。


 おいっ副マス!なんだその顔は?

 副マスに向かって笑いかけると目をそらした。


 まぁいいわ。あの辺りやその辺りの貴族や商人に━━。

 今回の引っ越し騒動で、街にも少なくないダメージを負ったからできるだけ早くこの街を回復させなくちゃ。


 ~カイ視点~


 そうか。やっぱりその辺りも企業秘密なのか…報酬が良い物はそれだけ素材自体も秘密になっているんだな…

 まぁいつかわかるかもしれないからとっておこう。


 そうだ!貴重な物ならシュリさんが喜ぶかも…

 そしたらヴォルさんの牙で刀を作ってもらう時に使ってもらおうと「装備を作る時に使うものは多めにもらってもいいですか?」と聞き了承をもらえた。


「カイさん。他に持ってきた物はないですか?」

「えぇっと、ゴブリンがいたのでそれの魔石と装備品、それとさっき言った変な奴の装備品と遺体ですね」

「えっ遺体ですか?…返り討ちなさったんですね…」


 殺したとは言っていなかったか…


「とりあえず見せてもらっても良いですか?」

「えっと、遺体もあるので副マスだけで良いですか?少し刺激が強いかもしれないので…」


 ここにはラージュさんやラキの幼なじみだけではなく他にも女性がいる。

 彼女らに見せて喜んだりはしないだろう。

 俺は気を使える男なのだ。


「そうですね。そうしましょう。私も個人的な質問があるんですよ。それではこちらの部屋へ」


 元いた部屋の奥にある内扉から隣の部屋へ行った。



 部屋に入り回収物を取り出していっている間に、報酬の話をされた。

 緊急時なのになかなか奮発してくれた。


 だが薬草等の買取りを入れてだったので少し残念だったが、まぁ次元カバンがなければあの量は無理だったしな…と納得した。


 ただ、本当にゴブリンの軍団がいなかった場合はその二倍くれるそうだ。


 報酬はギルドカードに入れておくと言われた。


 今考えると採集依頼とあまり変わらなかったなぁ。


 価値が低そうな物から順番(ゴブリンからの得物~変な奴からの得物)に出していき最後は遺体だった。この順番だと遺体は最後にした。正直使い道はないが…


 ちなみにヴォルさんの牙は見せなかった。


 だがその遺体が問題だった。なんと公爵の息子の可能性が高いらしく、いろいろ話したが結局見なかった事にしようという事になった。


 なんであんな所に公爵の息子がいるんだよっ!黙って家にいろよ!頭おかしいんじゃなんじゃないか!


 あぁ…おかしかったか…

 あの強さで勇者の代わりだもんな…


 副マスは意外に一番価値が低そうな割れた魔石や、杖が気になったようでいろいろ質問された。


 結局あれは賢者ゴブリンだったらしい。魔石の大きさで普通のゴブリンではないらしい。

 もっと強いゴブリンの可能性もあるそうだ。

 割れているのでしかるべき所で調べないとわからないそうだ。譲ってくれと懇願された。


 おおっ!俺よく生きていたな。ちゃんとステップアップしてるじゃん。まぁ卑怯な方法だったが…


 ただ副マスは俺の戦い方に感心していたのでいいだろう。

 この世界の魔物が強いのが悪い。


 譲ってくれといわれたが、初めての上位種のゴブリン討伐の記念だったので渡さなかった。


 余談だがゴブリン達の討伐報酬も追加された。


 次に食いついたのは、ゴブリン達の装備品で元はここの騎士の物らしい。

 それで遺族に返してほしいと言われた。

 ラキの親の物もあるらしい。


 謝礼を貰える権利があるのだがタダで譲ってあげた。

 なんかこれ以上もらうと、もらい過ぎのように感じたし、なにより故人が死んで大変だろうから売る気持ちにはなれなかった。


 俺もそうだったしな…


 それを言うのはなんか恥ずかしかったので、ラキに「俺がいなくなった後に少しは反省しろ…」と伝えてくれと副マスに話すと、苦笑いで「そうですね…」と頷いていた。


 小さな声で「カイさんも素直じゃないですね」とバレていた。

 恥ずかしい…


 ちなみに公爵の息子の装備品が、一番食いついてなかった。

 食いついていないわけではなく、これを見せて公爵の息子かもとなったので、それどころじゃなかっただけかもしれないが…


 そんななか盗賊の指輪を見せるのは気が引けた。

 さすがに次元カバンは驚かれたが…もっと頑張れ公爵家!


 公爵家の装備品だけあって価値はあるそうだが、遺体を見た後に、バレる可能性があるので、売るのはやめておいた方がいいと忠告された。


 分からないように加工して自分で使うか、家族や仲間にあげるのが無難らしい。


 自分で使うには大きすぎるし、家族や仲間なんていないし出来る気しないけど…まぁ最悪分解して素材で使えばいいか…


 副マスの個人的な話は、剣聖と知り合いか?や貴族の関係者ですか?と聞かれたので、知りません。違います。とだけ答えた。


 剣聖なんて知り合いいないし、きっと義母に廃嫡されているだろうから違うと答えた。

 ここから足がついて、暗殺者なんて来られたら訳も分からず死んでしまう。

 余計な事は言わずに簡潔に答えた。


 副マスから剣聖の話をしてくれた。

 知り合いらしい。


 剣聖の名前はドルルークという事と、その剣聖と一人の弟子が魔森に突っ込んだらしい。

 あぁ帰りのやつは剣聖様か…凄かったな…


 どうやら俺を剣聖様の弟子だと勘違いしたらしい。

 その弟子とは俺は同じ年なのだが、俺と違って剣の天才で既にA級の腕があるらしい。

 そんな人がいるところにはいるんだなぁと感心した。


 感心したが少しは悔しかった。

 でも「カイさんは魔術師だからあまり関係ないかもしれませんが…」と言われて、軽く肯定だけしておいたが魔術師だった事に気が付いた自分が少しおかしかった。


 俺は魔術師なんだ。ギルドカードにも書いてある。

 …中級は使えないから自称だけど…


 話を聞いている時にドルク(師匠)がちらついたが、どんな人か聞くと粗暴で王様でも誰でも違うと思ったら文句を言うらしいし、剣の才能が一目で分かるらしい。


 全くドルクとは違うな。と思って、ドルクを頭のなかから追い出した。


 剣聖の弟子ならなんとかなったらしいが、俺は違うのでバルザ街から出る事になった。住むところもなくなったし…


 とりあえず今日はここで休んで、明日出発する事になった。


 万が一ゴブリンの軍団がいたら、剣聖が教えてくれるみたいなので俺の役目は終了だ。


 それなら出来るだけ早く出た方がいいだろう。剣聖様に会いたくない。


 俺を見てガッカリするだろうし、俺も剣の才能がないとはっきり言われると俺もガッカリする。

 剣は好きなので続けるとは思うが、悲しい気持ちにはなる。


 時には知らない方がいいこともあるんだ。


 次に行くのはどんな街が良いかと副マスに聞くと、いろいろな街の事を教えてくれた。

 副マスのプレゼンが上手いのかどの街にも行きたくなった。

 おいおい決めていけば良いか。


 善は急げと出る準備をした。

 次元カバンを返してよく考えると記念は一つでいいなと考えた。


 賢者ゴブリンの杖があるし、割れた魔石を副マスに渡した。

 いろいろ教えてくれたし、まぁ口止め料にでもなればいいだろう。



 部屋に戻りラージュさんに別れの挨拶して、シュリさんのところへ向かった。


 ラージュさんには「私の為に残って。お願い」と可愛く止められて勘違いしそうになった。

 しょうがない事情でって事だけを話して納得してもらった。


 帰り際、「それなら仕方ない…もう少し高くで吹っ掛けて…」と呟いたのが聞こえた。


 なるほど…やはり勘違いだった。


 辺りは暗くなっていたがシュリさんの店はまだ開いていた。

 今回は門前払いされなくて、ヴォルさんの牙にも食い付いていい感じだった。


 どうせなら良いものにしたかったので、薬草等をカウンターの上にバーンと置いて「これも使いましょう」と言った後、少しの沈黙の後殴られた。


 しかもパーではなくグーだったのでぶっ飛んだ。


 相当怒っていたのか真っ赤な顔をして「私に必要ありません!持って帰って下さい!」と言わて、出した物を入れた後、ザーザさんに肩を貸してもらいながらお店から出た。


 シュリさんには必要なかったようだ。

 ラージュさん鍛冶に使うって言った物もあったのにな…

 ザーザさんは少し欲しそうにしていたから、半人前に必要な物なのかもしれない。


 その際ザーザさんに「勇気がありやすね。応援してます」と軽く押されながら応援された。


 こうなったら必ずシュリさんに作ってもらうと決心して「いつか首を縦に振ってみせます」と宣言して帰った。

 ザーザさんに「男ですね」と感心された。


 決めたからには、ヴォルさんの牙での装備は必ずシュリさんに作ってもらう。


 ただ、いくら油断してたとはいえ素人に殴られるなんて…と少し落ち込んだ。

 一応首や体を回してダメージは軽減させたつもりだったが甘かったのか、かなり痛くて体にダメージが残った。


 門に帰るとラキがまた絡んできた。

 俺と勝負しろと言われて何度か断ったがしつこいので受けた。


 シュリさんに殴られた事もあってか、完膚なきほどボコボコにしてやった。

 ちょっとやり過ぎたのでいろいろアドバイスをして部屋に戻って寝た。


 センスないよと忠告したのに、「俺は剣が好きで、剣で生きると決めてる」って言った時は仲間を見つけたようで嬉しかったので、盗賊の指輪を渡した。

 なんか恥ずかしくて、お前なんかこの指輪で十分だ!と心の中で悪態をついた。


 朝起きるとラキは素直なのか、俺のアドバイスを実践していたので驚いた。


 さすがに一緒にやるのはお互い嫌だろうから、離れた場所でルーティーンをした。

 魔術師のアドバイスを本気にするなんてやっぱりバカだなと思ったが、今よりはマシにはなるだろうと思いなんかよくわからない感情になった。


 次の街ではどうなるかな?

 期待と不安を背負ってバルザ街を出た。

 お読み頂きありがとうございます。


 またつぎの話は別視点です。


 ちょっと別視点ばかりだなと反省しています。

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