勇者の代わりになりたかった男
上手くいかない事もあったが、やっとこれを手に入れた。俺の伝説はここからだ!
俺が転生し公爵家の嫡男に産まれて22年。
ここは【世界を救うならハーレムが必要だ】略して【セカハレ】の世界だ。
主人公ラキがハーレムを作りながら世界を救うゲームだ。
冒険者編と学園編を選んでプレイできるエロゲーで、誰も仲間にしないでソロクリアするのは無理ゲーだ。
何人かのプロゲーマーが挑戦したが無理だった。
パーティーを組まないと勝てない強さの魔物が出てくるし、最初に幼なじみを仲間にしないと、プロゲーマーでない限り詰むゲームでもあった。
トレーニングやイベント等で、攻撃の種類や移動速度等の操作性は良くなるが、レベルなんてないので油断すると、最弱のゴブリンパーティーにも10秒かからずに殺される。
魔物一体一体の強さもランダムで、序盤幼なじみを仲間にしていても、強いゴブリンにエンカウントしてしまうとプレイヤースキルが必要で、上手じゃないと負けてしまうし、勝てたとしても幼なじみが死んだらそれだけで詰んで、また最初からという鬼畜っぷりだった。
『エロゲーを鬼畜仕様にするのは間違ってるだろうか?』に改名しろ!とコメントした人に多数のいいね!が付くほどのクソゲーだった。
しかし仲間のキャラデザや性格が多種多様だったので、エロゲのなかでは意外にも人気だった。
弱いが街にいる決まったNPCも仲間に出来る。
年齢、性別問わずいろいろいた。
俺はやった事ないが、薔薇プレイまで出来たからなのかもしれない…
主人公が自由に動かせるのでテキトーにプレイすると詰むゲームではあったが、運営がしてほしいプレイで進めると、ゲームが好きなら大体の人はクリアできるようにも出来ていた。
だが逆にそれから出来るだけ外したプレイでクリアをして、プレイヤースキル等を見せる事が流行っていたようにも思える。
いろんな人との絡みを強みにしていたが「魔物娘がいない」や、「百合プレイが出来ない」という声があり、魔王版が発売された…のは今はどうでもいいか。
俺は剣術大会の一回戦で敗北するキャラで、戦闘操作を覚える為のチュートリアルキャラだった。
カマセキャラにもならない。ただそれだけのキャラだ。
しかもその後、廃嫡された事をテロップで知る…
それに気付いたのは5才の頃だった。
そんなのはゴメンだと頑張った。
しっかり強くなる為に調べて、父に頼んで年齢に適したトレーニングをした。
剣聖に教えてもらったこともあったが糞野郎だった。いつかボコボコにしてやると心に誓い頑張った。
その成果が出て、二年前の剣術大会では主人公に完封した後、勢いのまま準優勝した。
シナリオでは主人公が8位以上で学園編が選択できるようになり、それ以下だと冒険者編しか選べないので、主人公は冒険者にでもなるのだろう。
決勝の相手は剣聖の弟子で絶対に勝てないキャラだった。剣聖の弟子ではあったが違う奴だった。
本来の相手はいかにもカマセっぽい見た目の奴だった。
それに負けるのが嫌で準決勝でわざと負けるプレイヤーもいたくらいだ。
決勝でいくつかの条件を満たして負けると剣聖の弟子編が追加されるらしい。弟子編はプレイした事ないのでどんなシナリオかは知らない。
そんな負けイベント(本来の相手ではないが)なので負けるのは仕方ない。
決勝戦条件をクリアしたと思うのだが剣聖のイベントはなかった。
相手が違ったからなのか、主人公専用のイベントだったらしい。断ってやるつもりだったのに残念だった。
弟子編のイベントはなかったが、無類の剣好きである、父親から次元カバンをプレゼントされたので良かったと思おう。
剣術大会の後、まずはパーティー集めをしようとしたが難航した。
ハーレムメンバーは誰が推しキャラになっても大丈夫なように設計されている。
幼なじみみたいに回復の魔法が得意なら最高の回復魔法、攻撃魔法が得意なら最強の魔術を覚えられる。
それぞれ強みがあるのだが、それでも強いというか便利なキャラが三人いる。
一人はおじいさんキャラでいらないし、一人はまだ子どもだし、他にもいろんな理由があり無理だ。
実質今できる仲間は一人だ。
老人(女)は百歩譲って俺はわからないが…熟女好きが世の中にはいるのでわかるが老人(男)は誰得なんだ?
その一人とは冒険者編、学園編でも仲間に出来るが、学園編なら序盤に仲間に出来るので、学園編を選ぶ人が多かったと思う。
そいつだけはなぜか回復とバフを最高水準まで覚えられる。
上手い人なら幼なじみとそいつだけでクリアできる人もいた。
そいつは伯爵家の娘でキャラデザは俺の好みではなかった。
しかし主人公の幼なじみは無理だった。
剣術大会の時に誘ってはみたのたが「私には無理です。他に相応しい人がいらっしゃいます」と断られた。
伯爵家の娘を仲間にしなくてもクリアは可能だったが、それは幼なじみがいるからだ。
他の回復魔法使える仲間は他国にいて、すぐには仲間に出来ない。
このゲームは回復役がいないと無理ゲーなので、仲間にする事にした。
俺は学園に入学していて、もう三年生だったのでタイムリミットは一年間だけだった。
一年間そいつの好感度が上がるように行動したのにダメだった。
そいつに時間を掛けたせいで、二年間で他のメンバーの好感度を高めていたはずなのに、結局学園編の他のメンバーも仲間に出来ずに卒業した。
ここから俺の人生はおかしくなった。
冒険者編のハーレムメンバー、果てには男の仲間も探したが見つからないか、見つかっても断られた。
仕方なく父親の力を借りて手下や奴隷を仲間にした。
そこから主人公に先駆けて、いろんな便利なアイテムを探して、有用なアイテムは手に入れたが聖剣や賢者の杖だけは見つからなかった。
聖剣はうちにあるはずなんだが…
アイテムを探しにいくたびに手下や奴隷は死んでいった。
やはり本来の仲間じゃないと厳しい…
その際にモンスターパレードが起こってしまった事があったが、あいつの故郷だったので自業自得だ。ざまぁと思っていた。
だがそれによって魔聖が死んだのは想定外だった。
誰が最強の魔法教えてくれるんだよっ!大人しく王都にいろよ!
それに魔聖や弓聖を仲間にしたかった。
ゲームでは出来なかったが、リアルなら出来るかもと密かに狙っていたのに…
あぁ勘違いするなよ。そういう意味ではなく、ただ単に仲間にしたかっただけだ。
ショックが癒えていないなか更に落ち込む事になった。
魔聖が死んで暫くして兇聖まで死んだ。
なぜだ?王都強襲編まで出ないはずだろ?聖霊の指輪はどうなるんだよ!?
聖霊の指輪を全勢力をあげて探したが見つからなかった。
おかしい…調べて分かったのだが、倒したのは主人公の父だった。
ハーレムメンバーの一人にセクハラするだけの存在に、兇聖を倒せるはずがない…
そして兇聖の装備品はあるが、聖霊の指輪だけがない…
もしかすると敵側に転生者でもいるのか?
聖霊の指輪がないとマジで鬼畜ゲー、更に無理ゲーになる。
バトル中、魔法を受けてしまうと怯んでしまう。
その隙に攻撃されるとクリティカルになって怯む、また魔法…という嵌め技をされる事もする事とある。
された場合、仲間が助けてくれない限り死んでしまう。
ゲームなら運が悪かったとセーブしたところから始めればいいが、今は一回でもその嵌め技を使われると結果は見えている。
だから基本どんな魔法も避けなければならないし、受けた場合は助けるように言っていた。
聖霊の指輪は下級魔法を全カットしてくれる凄いものだ。
中級魔法以上は隙が出来るので邪魔すれば大丈夫だ。
敵が多い時に万が一喰らってしまってもダメージはあるが怯まない。
聖霊の指輪を使わずに、ラスボス前まで行けた攻略動画を上げた人の再生数が伸びるほど、聖霊の指輪がないと鬼畜度が増す。
無理ゲーといったのは、ラスボスはソロ戦なのだが、理由は開幕と共に最上級魔法を使ってくるので、聖霊の指輪を装備している人しか生きないからだ。
ソロ戦となるのだが、ここまで来れるプレイヤースキルがあるなら勝てる。
ラスボスを倒すと一人だけ生き返す事ができ、仲間に装備していた場合は主人公を必ず生き返すし、主人公に装備していたら、ラスボスに殺された仲間を選ぶ事ができる。
そして、その一人と特別な夜をむかえるのだが…
てか詰んでんじゃん。もう世界救えないじゃん。
諦めかけたが、そういえばリメイク版にはもう1つ出てきた。プレイヤースキルで使わずにここまで来たのに、それがないと無理ゲーはヒドイ!という声を反映させたらしい。
そこかよ!その前にエンカウントの難易度を下げろ!という声が多く出たのはいうまでもない。
だがプレイした人には意外にも好評で3人生き残るので…
閑話休題。
それに賭ける事にした。
早く行動したかったが、父親から領地の勉強と結婚をしろと催促があったので、その間勉強やパーティーに出席した。
もう一度貰えるイベントはまだ先だし、主人公にはスパイをつけているので、万が一主人公がゲットしたら奪えばいい。
敵側に転生者がいた場合の事は今は考えない。
父の援助がなくても俺は詰む。
転生者がいないなら大丈夫だと思うし、いたとしても二つ目を知らない可能性もある。
それに手に入らなかった場合は人側は詰んでいるので、最期の時まで好き勝手に生きればいい。
一年間で領地の勉強を終わらせ婚約者もでき、旅を再開することにした。
父が出征パーティーを開いてくれた。
その出征パーティーでいいことを聞いた。
最後の学園生活を無為にしたあいつが奴隷になっている情報だった。
元貴族なのでなかなか値段が張るらしく、なかなか買い手がつかないようだ。
久しぶりに良いニュースだ。だが残念な事に聖霊の指輪の目的地とは逆方向だ。
奴隷の方はいつでも出来る。それよりも聖霊の指輪だ。それがないとマジで詰む。
とりあえず予約だけしておけば大丈夫だろう。
そして聖霊の指輪を得る為にランモ街に来た。
値段を吹っ掛けられたり、いろんな条件を出されたがなんとかゲットできた。
上手くいかない事もあったが、やっとこれを手に入れた。俺の伝説はここからだ!
これであいつを買えればなんとかなる。
だがせっかくここまで来たので【あれ】を見とくかと思い、まだ予約の期限まで余裕があったし、例え遅くなっても早々には買われないだろうと考え魔森の中に入っていった。
目的の場所に着いた。着いたが着くまでに俺以外全滅した。
一昨日の賢者ゴブリンが強すぎたので仕方ない。俺も指輪を手にいれてなければ終わっていたかもしれない。
これは偽物かもしれないと少し疑っていたが、本物のようで安心した。
死んだ奴らには代わりがいるし、あいつが俺の奴隷になれば問題ないからな…
必要な犠牲だったと思おう。お前達の仇はとってやるからな。
たどり着いたのだがどこにもない!どうしてだ…もう敵側に渡ったったのか…【あれ】は魔王版の伝説のアイテムだった。
焦っているとガキがやって来た。
俺も少し驚いたがガキも驚いていた。
「なにやっているんですか?」
「俺は勇者の代わりに世界を救う男だ。その為にここまでやって来た。お前の方こそ何をしにここに来た。仲間はどうした?はぐれたのか?それとも全滅か?俺は一人でここまでやって来た強者だ。一人なのなら一緒に帰ってやろう」
ツイている。こんな奴でも肉壁や囮にはなるだろう。
無事に街に着いたら俺はちょっとした英雄にもなれるし、もしかしたら俺の知らない仲間キャラなのかもしれないし悪い事等なにもない。
初級光魔法のライトで照らしながら近づいた。
すると、そのガキが【あれ】を持っていた。くそ、こんな時に…と思ったが、俺に助けを求めた。罠か!?
「お前はなんで正常なんだ?さては魔族だな!」
渾身の振りをしたが避けられた。
やはり俺を油断させるために近づいたのか!
「なにするんですかっ!さては盗賊ですね。なんでこんな時に…ヴォルト!」
俺を盗賊扱いするなんてあり得ない…
だが残念だったな下級魔法なんて俺には効かない。
お返しのファイアをしたが、避けられて俺の腕に短剣が刺さっていた。
俺のファイアを目眩ましにしやがった。やはり魔族だ。こんなガキにそんな芸当が出来るはずない…
腕を怪我したと思った瞬間には、魔族は距離を詰めて来たので応戦したが腕をケガしたから力が入らない。
このままでは殺られると思った。すぐに距離をとった。
「すまない。勘違いしていたようだ。俺の仲間になれ!」
さすがに苦しいか?
「…そうなんですか?勘違いだったんですね」
「そうだ!すまなかった。謝礼は後でたんまりやる」
ちょっと無理だと思ったがどうやら向こうはバカのようだ。
必ず魔法が当たる射程位置まで近づいたところで「ファイア!」と叫んだ。
すると信じられない光景を見た。
不意討ちで必当の距離だったのに、それを避けながら近づき額を刺された。
俺の最期の記憶は「やはり盗賊はこうでなくちゃ」と嬉しそうな声と嬉しそうな顔だった…
お読み頂きありがとうございます。
話は出来ていたのですが、今日投稿する予定の他2話もすぐに読んでほしかった為、今日になりました。




